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『DAYS』 第四話 動物と音楽

DAYS

紺色のローブを纏った少女、エコーは自分の隠れ家にいた。小さいテーブルを挟んで向かいにいる同じ年頃の少女を見つめる。
『なんやねん。そんなに見つめられたら照れるやないかい!』
そう言ったのは、目の前にいる十代半ばの少女ではない。目の前の少女は眠っているらしく、目を閉じていた。両手を動かしながらエコーに話しかけるのは、少女の右手にあるクマのハンドパペットだ。緑色のスカーフを首にまいたそのハンドパペットは、持ち主の少女とは対照的にせわしなく動いている。
『このチャーリーが日本一のイケメンクマやからって惚れたらあかんで、お嬢ちゃん!』
「チャーリーと言ったな。黙っていろ。私は君ではなく、音無(おとなし)フミカと話している」
エコーの冷たい言葉が効いたのか、チャーリーはうなだれる。表情は変わらないが、その顔には哀愁が漂っていた。
『うぅ……。どーせ、ワイなんて……』
「チャーリーをいじめちゃダメ」
かわいらしい声を口から発して、チャーリーの主、音無フミカは目を開ける。
その少女は、数回、まばたきすると頭を振って眠気を振り払おうとした。同時にブラウンのお下げ髪が左右に揺れる。カジュアルなデザインで胸に黒い猫がプリントされたセーラー服に、キャラメル色のキュロットスカートを組み合わせている。その下には、赤いカラータイツを穿いていた。
服装以上に特徴的なのは、彼女の持ち物だった。動物のぬいぐるみのようなバッグやポシェットをいくつも提げていて、右手にはクマのハンドパペットがついている。そして、彼女の頭部には武骨な黒く大きいヘッドホンがある。
小さな口を開けて欠伸をした後、エコーを見る。
「君が最初から話を聞いていてくれたら、このクマと話す必要もなかった。もう一度説明する」
「大丈夫。エコーの言うこと、フミカはちゃんと聞いてた」
フミカは立ち上がり、左手で天秤の皿にあった数十枚のカードを受け取る。首と体を横に三十度ほど傾けて考えた後、彼女はそのカードの束をワニのぬいぐるみのようなバッグにしまった。
「ちゃんとやれる。心配しないで」
「心配はしていない」
互いに言葉を交わすとフミカは右手を自分の顔の位置まで持ち上げる。クマのチャーリーが再び、動き出した。
「さよなら、エコー」
『またな!魔女!』
フミカはエコーに背を向けると左手でドアを開けて去っていく。廊下からは彼女の足音と共に、優しい歌声が聞こえて来た。エコーは体の力を抜いてその歌声に耳を傾ける。
「これで、揃った」
思わず口から出た一言は、煙のように空気中に溶けて消えていった。

第四話 動物と音楽

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『DAYS』 第三話 星空と英雄

DAYS

夜はどの街にも平等に訪れる。だからと言って、夜に休む義務はない。眠らない街もある。
その青年は東京駅に降り立った。赤レンガの駅舎に背を向け、青い瞳で空を見上げる。周りがせわしなく動く中で彼だけが動こうとしない。人々は彼を避けて歩くことで流れを維持している。
「お久しぶり、東京。相変わらず星が見えないところだね」
感慨深そうな声でそう呟く。ようやく彼は動き出し、ステッカーがたくさん貼られた彼のスーツケースも動いた。歩みに合わせて彼の金髪が揺れる。
真っ白なカーゴパンツで脚を包み、真っ青なジャンパーの下からは真っ赤なTシャツが覗いている。完全なトリコロールだ。
彼は額に指を当てたと思ったら、今度はその指を折って数を数えている。
「ああ、そうだ。十年ぶりくらいか」
その数字に納得すると、再び、夜空を見上げる。彼が言うように星は見えない。
「秘密基地、まだ残ってるといいな」
何かに期待するように呟き、その青年は眠らない夜の街を歩いた。

第三話 星空と英雄

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『DAYS』 第二話 夜と交換日記

DAYS

「もうあたしには……、誰もいない。だから、お願い!あなたがあたしの家族になって!伯父さんの代わりになって欲しいの!」
シュウジは後ろから抱きついて懇願するイオリを振りほどかなかった。ただ、気だるそうな声で返す。
「断る。俺は誰かの代わりじゃねぇ。代理扱いなんて御免だね。それに、俺は家族って言葉が死ぬほど嫌いなんだ」
「どうして……」
「気に入らねぇのに、理由がいるか。理由があっても話さねぇよ。話す方も聞く方も胸糞悪くなるだけだ」
シュウジの口から発せられる言葉には、苛立ちや怒りや憎しみのようなものが混じっていた。イオリは自分にとって大事なものに対して負の感情を突き付けられたことに戸惑いを覚える。腕の力が抜け、シュウジを放した。
シュウジは少しだけ歩くと振り返る。彼の目には、その場にへたり込んだイオリの姿が映った。顔を伏せているので表情は読み取れない。だが、彼には悲しんでいる彼女の顔が容易に想像できた。シュウジは軽く舌打ちをした後、彼女を見て言う。
「家族なんて言葉は気に入らねぇ。ただ、話くらいは聞いてもいいぞ」
イオリは顔を上げた。驚いた顔をしている。彼女は何から話すべきか迷いながら、呼吸する金魚のように口の開閉を繰り返す。しばらく考えた後、ゆっくり息を吸い込んでから彼女は語り始めた。
「実は……」

第二話 夜と交換日記

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『デュエマのダイゴみ!』 舞台裏 その2

 登場人物
・ネギ博士
この記事を書いている人。ワンコとジェニーだったらワンコ派。
・わん太ちゃん
ネギ博士の脳内にいるラブラドール・レトリーバーのわんこ。

ネギ博士「それじゃ、『デュエマのダイゴみ!』の舞台裏について語ろう。今日は第一話の舞台裏について語る。書いていた時のメモとかプロットとかも載せとくよ」
わん太ちゃん「わんわん(訳:DM小説を書く人とか書きたいと思ってる人の参考になるといいね!)」
ネギ博士「参考になるかなぁ?一応、メモとかは残してあるけれど、この小説はほとんど悪ノリで書いているようなものだからね。そういうのを読んで書けるようになるものではないかも」

『デュエマのダイゴみ!』第一話はこちらです


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デュエマのダイゴみ!舞台裏その1

 登場人物
・ネギ博士
この記事を書いている人。
・わん太ちゃん
ネギ博士の脳内にいるラブラドール・レトリーバーのわんこ。

ネギ博士「『決闘暴走議事録 デュエマのダイゴみ!』も無事、完結したのであとがきっぽいものというか舞台裏みたいなものでも書いてみようと思う。ネタバレたっぷりだし、読後の楽しい気分をぶち壊すから、要注意だ。ああ、後で誤字とか脱字とか色々修正しなくちゃ……」
わん太ちゃん「わんわん(訳:書いた後で見直しても見落としちゃうんだよね)」

『デュエマのダイゴみ!』の目次はこちらです。

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『DAYS』 第一話 桜と家族

DAYS

男は油断をしていたわけではなかった。自分の作戦にミスも綻びもない。計画は滞りなく進んでいた。
男の背後にある大きな時計の針が一番上を指す。時計がこの世界に現れてからその瞬間までの十分間立っていればいいだけだった。彼の邪魔をできる存在などいないはずだった。そう聞かされていた。
それが何故、どうしてこうなったのか理解できない。
「ひ、ひぃっ……!」
男は目の前にいる怪物を見て押し殺したような叫び声をあげる。
シルバーアクセサリーを思わせるような全身銀色の細身の龍がいる。月明かりがその身を照らした。
龍は傷を負った目で男を見ている。狩る、食らい尽くす、叩き潰す。そんな龍の中の凶暴な感情が聞こえるような目だ。
「お前……、何なんだ!何者なんだ!」
男は龍の後ろで立っている“飼い主”に向かって言う。
桜の花が描かれた特徴的なシャツを着たその男は返事の代わりに気だるそうな声でこう言った。
「答えるつもりはないし、名乗るほど大層な名でもねぇ。さあ、汚ねぇ花、散らせよ……!」
主の声を聞いた瞬間、銀色の龍は男に飛びかかった。
恐怖のせいか、銀色の龍の動きはひどく遅く感じられた。金属でできているようなその肉体は月の光を複雑に反射して輝く。両手に持った紫色の剣は、この世のものとは思えない美しさと妖しさを感じさせる光を出している。
男はそれが自分を終わらせる存在だと理解していた。だが、その美しさに最後の瞬間まで見惚れていた。

第一話 桜と家族

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