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転生プロジェクトX 第二話

第二話 輝く二つの槍

 周りの環境を観察し、その場で一番有利な選択をする。それが水文明の戦い方である。圧倒的な知能を武器に、他者の損害を自分の利益に変える。テクニシャンなのだ。
 しかし、そんな水文明も“王”との戦いで自らの限界を感じつつあった。知能でも技でもかなわない存在がいたという事だ。
 200年という長い年月の間、水文明は都市の復興と同時に、少しでも早く他の文明を制圧する方法はないかと考えていた。そのためには、技だけではない。鍛えられた本当の強さが必要だった。
 過去のクリーチャー戦闘のデータを検索していたデジロンはある種族に目をつけた。リキッド・ピープルである。
「こいつはいいかも」
 多くの戦闘データを見て、デジロンはにやりと笑う。
 リキッド・ピープルは火文明のヒューマノイドや自然文明のビーストフォークなどのクリーチャーと互角以上に戦える身体能力を持っている。さらに、彼らは勝つために状況にあわせて自らの形をより戦闘にあわせた形に進化させる事ができるのだ。
 その中で、デジロンが注目したのはクリスタル・ランサーだった。リキッド・ピープル達の先頭に立ち、相手の大将だけを先に打ち倒す。相手の妨害など、津波にような速度で走るクリスタル・ランサーには通用しない。
 そのスピードを活かしたいと考えたデジロンだったが、それと同時にパワーをどうするかが問題だった。
 奇襲戦法なら負ける可能性は低いが、正面からのぶつかり合いでは力負けしてしまう事が多いのだ。リヴァイアサンのような力があればいいのだが……。
 クリーチャーの強化に行き詰ったデジロンは、他のサイバーロード達と共にリキッド・ピープルの遺伝子を研究し始めた。そこに何かのヒントが隠されているはずなのだ。
「昔、クリーチャーの形を変化させる論文で『転生プログラム』っていうのがあったね」
 ドルンカの言ったその一言で、デジロンはひらめいた。その転生プログラムを読めば、クリーチャーの遺伝子の構造や、効率のいい進化の方法が判るかもしれない。
 転生プログラムは、クリーチャーの遺伝子に関する最新の論文だった。これには、リキッド・ピープルの進化の方法も載っている。
 デジロン達は持てる知識を全て使って新しいクリーチャーを創り出した。後でデジロンはこう語っている。
「クリーチャーを創っている時はこう思うよ。自分は神様なんじゃないかって」
 水文明の技術と知識が集まって最強のリキッド・ピープルが誕生した。
 クリスタル・ツヴァイランサー。
 クリスタル・ランサーの二倍近いパワーを持ち、相手の防御の隙をつくその技は健在だ。
「大変大変!来るよ、もしゃもしゃと毛の生えた野蛮なのが!」
 完成を喜んでいたデジロンの耳にドルンカの声が響く。ドルンカはクリスタル・ツヴァイランサーのテストのために、自然文明にわざと情報を伝えたのだ。
 モニターごしに見える自然文明のクリーチャーはビーストフォークだった。その数はおよそ三百。
「クリスタル・ツヴァイランサー、最初の仕事だ。奴らを消して来い」
「了解」
 輝く二つの槍を見たならば、戦わずに逃げた方がいい。何故なら彼は、水文明のあらゆる技術を使って創られた最強の生命体なのだから。
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