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転生プロジェクトX 第八話

第八話 因縁は滅びず、憎しみは消えず

 聖霊王アルファディオスが堕ちた。そして、それは新たなる超神龍によるものだ。
 五つの文明にこの情報が伝わったのは、ヴァルキリアスを始めとしたドラゴン軍団と光文明の戦闘が終わった直後だった。光文明によって制圧されていた他文明には強力な兵器は残っておらず、ドラゴン達に対抗できる力を持っている悪魔神ドルバロムも、今は表に姿を見せない。六王戦争直後のように、沈静化したかのように見える戦渦。
 しかし、誰もが知っていた。戦いはまだ終わっていない。これは新たなる戦いの前触れにすぎない。どこかで別の文明が新たな転生クリーチャーを生み出しているかもしれない。新たなる魔導機械が敵の手に渡っているかもしれない。生きる者の混乱は最高潮に達していた。
 それぞれの文明がお互いの出方を探り合っている中で、闇文明のガーゴイル達は、自然文明にあるフィオナの森で妙な動きがあるという情報をつかんだ。フィオナの森は世界で最もマナがある場所。自然文明の重要な活動拠点だ。
 どんな動きをしているのか詳細までは不明だが、闇文明にとって脅威である事には間違いないだろう。ドルバロムの力に頼って、他文明の敷地を荒らしまわった彼らを快く思う者はいない。この機会に闇文明を潰そうとする者も現れるはずだ。
 闇文明の上層部の意見は二つに別れた。一つは自然文明に攻め込んで、フィオナの森で行われている計画を潰す事。もう一つは闇文明の陣地にとどまったまま、防御に専念する事。体制を立て直したいと思っているデーモン・コマンド達は後者の意見を採用した。だが、守っていたのでは大変な事になると考えている者達は、少数の部隊を作ってフィオナの森へ襲撃を開始したのだ。
 死鬼者デスワルツをリーダーにした暗黒の音楽隊が、レクイエムと共に自然文明の領地へと乗り込む。また、空からは飛行男の部隊が同時攻撃を仕掛けていた。
 突然の襲撃に戸惑う自然文明。ビーストフォークの部隊がただちに応戦する。始めは闇文明に押されていた自然文明も、レオパルド・ホーンがその場のリーダーとして動く事で体制を立て直していった。闇文明の部隊をフィオナの森に近づけてはならない。フィオナの森では、他の文明に遅れながらも転生クリーチャーを生み出そうとしていたのだ。自然文明の守り神、フィオナが転生すれば混乱した世界は自然文明によって統治される。だからこそ、レオパルド・ホーンは負けるわけにはいかなかった。たとえ、この身が朽ちたとしても、新たなるフィオナさえ守れれば勝ちなのだから。
 レオパルド・ホーンの鋭い爪がデスワルツの腕を切り落とす。ひるむデスワルツに続いてもう一撃。今度は首に爪が届く。油のように黒い血が滴り落ち、デスワルツは地面に崩れ落ちた。指揮系統を失って散り散りになるガーゴイル。逃げ出す者もいれば、混乱してレオパルド・ホーンに飛びかかる者もいた。
 これでよい。
 自分が犠牲になる事で時間が稼げる。デスワルツと同じように地面に崩れ落ちたレオパルド・ホーンは空を見上げた。すでに飛行男の部隊はいない。空は青く、どこまでも広がっている。守りきる事に成功したのだ。
 そこへ、飛行男を超える速度で黒い三角形の物体がいくつも飛んできた。いや、あれは物体ではない。そして、新しい魔導機械でもない。クリーチャーの部隊、それもフィオナの森へ高速で向かっていく部隊だ。
「誰か、あの飛行物体を止めろ!」
 レオパルド・ホーンの叫びもむなしく、飛行物体……いや、闇文明の新型航空戦力、滑空男は目的地に向けて一直線に飛んでいく。
「フィオナの森よ」
「やめろー!」
 滑空男の体から、泥のような物でできた爆弾がいくつも投下されていく。
「まだまだ滅べ!まだ滅べ!」
 泥に埋め尽くされる深緑の世界。言葉にならぬ叫び。黒い物体に埋め尽くされる故郷を見ながら、レオパルド・ホーンは息絶えていった。

 後日、世界にフィオナの転生は失敗した事が伝わった。闇文明の滑空男は、レーダーに映らない自分の能力を活かして次は光文明に攻撃を仕掛けるのかもしれない。

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