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DM花嫁修業 笹倉心亜 第一話 ガール・ミーツ・時任

『DM花嫁修業 笹倉心亜』


DM企業戦士。
それは、会社のためにデュエル・マスターズで死闘を繰り広げ、同僚の未来を守るプロのデュエリストの事である。
互いの明日を賭け、本気で戦うその光景は決闘と呼ぶにふさわしい。そして、戦いが終われば彼らは熱い友情で結ばれているのだ。言葉を超えた想いのぶつかり合いがそこにある。
そんなDM企業戦士の中でも伝説の男がいた。最強のDM企業戦士、時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)。そして、そのライバルであり、日本一のDM企業戦士、百瀬光太郎(ももせこうたろう)。
彼らの次の世代、新しい世代の物語が始まろうとしていた。

第一話 ガール・ミーツ・時任

東京ドーム内に作られたイベントブース。そこで行われているのは、全てデュエル・マスターズのイベントだ。
その中でも一番盛り上がっているのは、『DM企業戦士百人抜きデュエル』と呼ばれるもので、時任俊之助、百瀬光太郎という二人の有名DM企業戦士と選ばれた百人のプレイヤーが戦うイベントだ。
イベントも終わりに近づき、時任と九十九人目のデュエリストとの戦いも終盤に差し掛かっていた。
「どうだ!ブロッカーが八匹!次のターンで『ダイヤモンド・ソード』だ!」
時任の前に座っている少年は、小型ブロッカーを大量に展開するデッキで鉄壁の防御力を誇っている。時任もブロッカー除去のカードは何枚かデッキに入れていたが、これだけの数を相手にする事はできない。
さらに、少年の場には『光神龍スペル・デル・フィン』が一体存在した。時任がもしものために入れていた『サウザンド・スピア』もこれでは威力を発揮できない。
「確かにブロッカーが多くて攻撃ができない。だけど、シールドはゼロ枚!俺にもまだ勝つチャンスがあるぜ!」
子供と同じようにカードで遊んでいるスーツ姿のこの男が時任俊之助である。現在、25歳のこの男は、新しいカードゲームを作るために色々な研究をしている。その研究資金を得る為に、色々なデュエルイベントの手助けをしているのだ。
「八匹もブロッカーを倒せるカードなんてないよ!『サウザンド・スピア』はもう封じた!」
「ああ、だから、このカードで倒すぜ!」
時任が7枚のマナをタップして一体の龍を呼び出す。その姿を見て観衆からざわめきが起こった。
「『ヘリオス・ティガ・ドラゴン』、召喚!君のブロッカーは全部パワー2000以下だから全部墓地送りだ!そして、『ツインキャノン・ワイバーン』でとどめだ!」
「すげえ!また時任さんの勝ちだぜ!」
「九十九連勝なんて人間業じゃないよ!」
「知らないのか!?時任さんはあの世で悪魔を666匹もデュエルで倒した事があるんだよ!」
「俺は、アメリカ中のプレイヤーを全員倒したって聞いたぞ!」
「誰なら時任さんを倒せるんだよ!」
時任は、まだ一回も負けてはいない。プレイヤーとしての力の差を見せ付けながらも、適度に加減して戦っている。子供達にとって彼は、存在しないヒーローのような偶像的な人物でもあり、同時に姿を見せた時は圧倒的な実力を見せ付ける神のような存在でもあった。多くの少年少女達が時任に憧れてこの場に集まったが、誰も彼を倒せない。それどころか、シールドゼロ枚の危機的状況に追い込む事すらできないのだ。
「うほん!」
あ、失礼。多くの子供達が時任と、隣にいるイタリア製の高級スーツを着た男に憧れてこの場に集まった。
時任の隣で戦っているのは、百瀬光太郎。時任の小学時代の同級生で、今は彼の親友でありライバルでもある。時任が勤務していた会社(現在、時任はその会社を辞めている)のライバル会社に勤めていて、仕事もデュエルもそつなくこなしている。万能という言葉は彼のためにあると言ってもいいくらい、多才で器用だ。だが、熱くなりすぎるという欠点もあり、時任にはもう少しのところで負けてしまう事もある。
「ふっ、『エメラル』でシールドトリガーを仕込んだだけで満足か?」
百瀬は対戦相手の子供に言うと、一枚のカードを取り出して『光翼の精霊サイフォス』に重ねる。
「『聖霊王アルカディアス』。光文明以外の呪文を封じるエンジェル・コマンドの進化クリーチャーだ!『シリウス』で最後のシールドをブレイクし、『アルカディアス』で直接攻撃!」
百瀬も時任と同じように九十九連勝している。光文明の防御力をうまく活かしたデッキで危なげなく勝利し続けている。
「やったな、桃太郎!次で百連勝だぜ!」
「時任!私を桃太郎と呼ぶな!私には百瀬光太郎という立派な名前があるのだ、といつも言っているだろう。進歩がない男だ」
百瀬が呆れたように言って耳を澄ませると、イベント特有の喧騒の中こんな言葉が聞こえてきた。
「やっぱり、桃太郎さんは強いぜ!」
「桃太郎さんと時任さんはどっちが強いんだ?」
「二人は互角なんだぜ!」
「時任さんと互角に戦えるなんて、桃太郎さんはすげぇや!」
光太郎ではない。桃太郎と呼ばれているのである。時任がイベントの度に、桃太郎と呼びまくるのでファンの間でもそれが定着してしまったようだ。さすがに自分のファンを怒鳴るわけにも行かず、百瀬はどこか釈然としないまま、百人目の登場を待った。

「う~んと、え~と…。う~あ~」
とある高校の教室。ゾンビのような声を出しながら、一人の少女が何か作業をしている。机の上で散らばっているのはデュエル・マスターズのカードだ。真剣な表情でそれを見ているのは、かわいらしい高校生の少女である。
栗色のストレートの髪は、柔らかい日の光に当たって煌いている。顔の形は全体的に丸く、彼女の表情、そして性格のせいもあって幼く見える。宝石のような丸い目は机の上のカードから離れない。
「う~ん、わっかんないよおぉ~~っ!限界だー!」
「心亜(ここあ)!」
心亜と呼ばれた少女が真っ白に燃え尽きてギブアップを宣言したのと同時に、少女と同じ制服を来た少女が入ってくる。
心亜の長い髪とは対照的に、スポーティな短い髪。顔のパーツ全体、特に目元がシャープである。ゆったりおっとりとした感じの心亜の声とは正反対に、声にも綺麗に響く鋭さがあった。
「あ、香奈ちゃん。部活はもう終わったの?」
「今日のところはね。来週からは地区大会に向けて忙しくなるよ」
「香奈ちゃんに言われるまで演劇部も大会があるなんて知らなかったよ。準備、大変だね」
「手伝わせちゃって悪かったね。あんたもカードの大会があるんでしょ?準備はいいの?」
「大丈夫だよ。大会は二十日の日曜日だもん!」
「二十日…?」
香奈は、心亜に聞いた日付を反芻する。そして、携帯電話を取り出して今日の日付と時間を確認した。
「心亜!二十日って今日!今日だよ、心亜!」
「えええ~~っ!!あ、あわわわわ…どうしよ香奈ちゃん!」
「どうしよって、その大会いつまでやってんの?」
「受付は三時までだよ」
「じゃ、まだ間に合う!行っといで!」
「うん、行ってきまーす!」
心亜は、デッキを片付けるとデッキケースに入れて教室を出た。「こけるなよ!」と香奈が注意する前に廊下から、派手な音が聞こえる。
「大丈夫か…アイツ?」
どこか抜けているところがある友人、心亜は明るいがとんでもないミスを犯すような少女だ。今回のミスも日にち忘れと遅刻だけで済めばいいのだが…。
「あれ?これってカード?」
心亜が座っていた場所から少し離れたところに一枚の光るカードが落ちている。香奈は、「これが切り札なんだよー」と心亜が詳しく説明していたのを思い出した。詳しい事は知らないが、心亜にとってそれが大事なカードである事くらいは判る。
「じゃあ、まずいじゃん!あいつったら、もー!」
香奈は、心亜を追うためにカードを持って教室を飛び出した。心亜は既に廊下にはいなかった。
「アイツ、足速いんだよね…。追いつけるかな?」
考えながら香奈は走る。何だかんだ言って、友人の事を大事に思っているのだ。

笹倉心亜(ささくらここあ)は、都内の高校に通う一年生だ。大好きなのは、デュエル・マスターズ。今日、東京ドームには憧れている人が来る。その人物の名は時任俊之助。DM企業戦士だ。
ただの高校生である心亜と時任には何の接点もない。一年前の彼女は、デュエル・マスターズなど知らない普通の少女だった。だが、弟が時任の試合を見ている時に心亜も彼の戦いに引き込まれたのだ。
「『ボルベルグ・クロス・ドラゴン』、百瀬を攻撃だ!!」
一年前のDM企業戦士日本一決定戦。時任のデュエルにかける想い、楽しそうに戦う彼の笑顔、そして逆転勝利のカタルシスを見た時、心亜は弟に言っていた。
「あたし、デュエルやるよ…!」
それから、心亜は時任に憧れて戦いをこなしていった。彼女が対戦する時の相手は、いつも弟だったがそれでも心亜は満足だった。
今回、時任と百瀬が百人抜きをするというのを見て、心亜はそれに弟と一緒に応募した。結果、弟は抽選にもれ、心亜だけが時任と戦う権利を手にしたのだ。
しかも、最後の一人。大勢の観客に見守られながら最後の試合をするのだ。
「はァ…ひィ…!」
「ご、ごめんね、香奈ちゃん。今度、『エナジー・ライト』あげるから」
「それはいいから……行ってきなさい…ひィ…ふゥ…!」
結局、香奈は心亜にカードを届けるために東京ドームまで来てしまったのだ。死にそうな顔をして息を切らしている香奈を見て、心亜はおろおろしている。
「そこにベンチがあるから、座らせてあげたらどうかな?」
「あ、はい。そうですね!」
心亜は後ろから聞こえてきた男性の声をヒントに、近くのベンチに香奈を座らせる。香奈を不憫に思ったのか、ベンチに座っていた人が全員どいてくれたため、心亜は香奈を横にする事ができた。
「ひィー、ふゥー…あたし、演劇の基礎練で走りこみもやってんのに、何で帰宅部のあんたの方が圧倒的に速いのよ…」
「香奈ちゃん、しゃべっちゃ駄目だよ!こんな時の呼吸は、ヒッヒッフーだよ!」
「あたしゃ、妊婦かっ!」
「大丈夫かい?」
香奈が心亜に鋭いツッコミをした時、一人の青年がペットボトル入りのスポーツドリンクを持って二人に近づく。心亜に的確なアドバイスをした青年だ。
「あ、ありがとう…ござ…い……」
心亜は顔を真っ赤にして、その青年、時任俊之助を見た。憧れの人が目の前に立っているのだ。緊張しないわけがない。
「君が、これから俺と対戦してくれる子?」
「いえ、あたしは付き添いで、戦うのはこいつです」
時任からスポーツドリンクを受け取った香奈は心亜を指して言う。
「そっか、丁度次が百人目で君の番なんだ。よろしく!」
時任は、心亜に笑顔を見せるとデュエル台の近くまで戻った。
「時任さん、早く参加賞のサイン入りカード下さいよー」
「オッケー、『ボルメテウス・武者・ドラゴン』だよな?」
子供達と触れ合っている時任を見ても、まだ香奈にはぴんと来ない。
「ねえ、あれが心亜の王子様?隣にいる桃太郎さんって人の方がいい男じゃない?」
そう言った香奈は心亜の顔を見てぎょっとした。心亜は鬼気迫る顔で香奈を見ているのだ。その顔を見た時、香奈は後悔し、時間が戻せるならやり直したいと感じた。
「あ~、でもフレンドリーで気さくだし、時任さんの方が格好いいかも?」
「香奈ちゃん!」
怒られる、と思った香奈だったが、心亜の口から出たのは意外な言葉だった。
「ず~る~い~!時任さんと間接キスなんて~!」
「おバカ!このペットボトル、まだ誰も開けてないでしょーが!バカな事言ってないで、時任さんと戦ってきな!」
「うん!行ってくるね!」
香奈から受け取った切り札をデッキに入れて、心亜はテーブルに向かった。時任は既に着席している。
「よろしく。俺は、時任俊之助だよ」
「あ、あたしは笹倉心亜です!よろしくお願いしますっ!」
心亜は、デッキを取り出すとシャッフルを始めようとする。だが、目の前に時任がいるという極限状態であり、周りには見た事がないデュエリストが大勢いる。心亜は、大会など出た事がない。人前でデュエルをするのはこれが初めてなのだ。
「ああっ!」
心亜は、シャッフルしている途中でデッキを崩してしまう。カードの内容が時任に見える事はなかったが、恥ずかしい。
「シャッフルしづらい?だったら、こうするといいよ」
時任は、持っていたカードの束を、シールドを置くように上から五枚横に並べる。そして、その下の列にも同じように五枚並べた。上の列、下の列とやっていく内にカードの束は全て台の上に置かれた。
「こうすれば、四十枚揃っているか確認できるし、カードも混ざる。このやり方は覚えておくと便利だよ」
「ありがとうございます!時任さん!」
時任に教わったシャッフルを自分でもやっている内に、緊張もほぐれて来た。これなら、戦える。
互いに準備を終えた後、このイベント最後のデュエルが始まった。
「『ブレイズ・クロー』、召喚!」
心亜が最初に召喚したのは、最軽量のクリーチャーだった。心亜のコンセプトは『速攻』。これは時任のプレイスタイルに憧れて心亜が真似をしたものだ。
「やるな!じゃあ、俺は『怒髪の豪腕(レイジ・アーム)』を召喚だ!」
時任、そして百瀬のデッキは会場に来た子供達が真似しやすいように、ゼロデッキの改良版のデッキを使っている。時任は、ビクトリー・ソウルを自分なりにアレンジしたデッキだ。
「じゃあ、『一撃勇者ホノオ』を召喚して『ブレイズ・クロー』でシールドをブレイク!」
先制攻撃を決めたのは心亜だ。そのスピードに、観衆から驚きの声が漏れる。
「まだまだデュエルは始まったばかりだぜ!『青銅の鎧(ブロンズ・アーム・トライブ)』を召喚してマナブースト!『怒髪の豪腕』で『ブレイズ・クロー』を攻撃!」
『怒髪の豪腕』も『ブレイズ・クロー』も互いにパワー1000のクリーチャーだ。だが、『怒髪の豪腕』は条件を満たす事でパワーを増やす事ができる。
「俺は、このターンに『青銅の鎧』を召喚した。今、『怒髪の豪腕』のパワーは4000だ!」
クリーチャーを失った事を確認しつつも、『速攻』という自分のコンセプトは変えない心亜。手を休めずに相手を攻撃して勝つ、彼女なりの策略なのだ。
そのスピードは、時任にも少なくないダメージを与えている。これだけの速度があるデッキでは、さすがの彼も防戦一方だ。
「『ブレイブハート・ドラグーン』を召喚!『ホノオ』で攻撃です!」
二枚目をブレイクされる時任のシールド。それを見た時、彼の顔が輝いた。
「よっしゃ!シールドトリガー、『ナチュラル・トラップ』!『ブレイブハート・ドラグーン』をマナに送る!」
墓地に送れなかった事は問題だが、相手のテンポを崩すという事が何よりも重要だ。時任は、それをよく理解していた。
「よし、俺はマナを溜めて『クリムゾン・チャージャー』で『ホノオ』を墓地に!」
「そんな!」
唯一残っていた心亜のクリーチャーも、時任の火呪文で焼かれてしまう。『ホノオ』は攻撃時のみパワーが上がるのだが、平常時のパワーは低い。その隙を狙われた。
「『青銅の鎧』で攻撃!」
ようやく時任の攻撃が通る。だが、時任であっても読めない事態は起こるのだ。
「えっと…シールドトリガー!『スパイラル・ゲート』です!」
心亜は『スパイラル・ゲート』で時任の『怒髪の豪腕』を手札に戻す。それを見て、時任は微笑んだ。
「すげぇ…燃えてくるぜ!」
時任に褒められた事に感激しながら、心亜は一枚のカードを出した。
「『フォーチュン・ボール』です!」
時任のシールドは『ブレイズ・クロー』と『ホノオ』に攻撃されて今、三枚だ。『フォーチュン・ボール』でドローする条件は満たされている。
「二枚ドローしてターン終了です」
今、心亜は時任と互角に戦っている。初めは少女だと思っていた周りの少年達も、その強さに引き込まれていった。
「すげぇよ!」
「あの時任さんを押してないか!?」
「ついに連勝記録が破られるかも!?」
だが、その期待も虚しくそこからは時任のペースでデュエルが進んでいく。
「『ツインキャノン・ワイバーン』でWブレイク!」
時任のバトルゾーンには、大型のアーマード・ワイバーン『ツインキャノン・ワイバーン』と『怒髪の豪腕』一体『青銅の鎧』が一体いる。シールドは三枚だ。
心亜のシールドは今の攻撃で全てブレイクされてしまった。バトルゾーンには『究極兵士ファルゲン』が二体いた。
「もう駄目だ…。やっぱり、時任さんにはかなわない…」
実力の差を見せられて、心亜の緊張の糸が切れる。もう、デュエルを続ける事が怖くなっているのだ。
「この…おバカ!」
突然、罵声と共に空のペットボトルが飛んできて心亜の頭に当たる。それは香奈が飲んだスポーツドリンクのペットボトルだった。
「う~、ひどいよ、香奈ちゃん!」
「ひどいのは、あんたよ!あたしが切り札を届けてやったんだから、それでさっさとその人をやっつけなさい!」
「でも、あたしの切り札を使うには……そうだ!」
心亜は、『ツインキャノン・ワイバーン』の攻撃でブレイクされたシールドを再確認する。その中に期待していたカードは確かにあった。
「シールドトリガークリーチャー!『エクスプレス・ドラグーン』!」
心亜が念のために入れていたシールドトリガー付きのティラノ・ドレイクだ。特殊能力はないが、ティラノ・ドレイクである事が心亜にとって重要なのだ。
「ヒューマノイドが二体と、ティラノ・ドレイクが一体で合計三体!行くよ、超進化!」
三体のクリーチャーの上に、香奈が持ってきた光る切り札が重ねられる。その切り札の存在は、時任もよく知っていた。
「『超新星マーズ・ディザスター』か!」
進化元を三体必要する超新星の一つ、『超新星マーズ・ディザスター』。巨大なパワーと小型クリーチャーの一斉除去能力を持った心亜の切り札だ。
「時任さんに憧れて使ってるんです!『マーズ・ディザスター』で『ツインキャノン・ワイバーン』を攻撃!そして、メテオバーン!」
心亜が進化元のカードを一枚捨てる事で、時任の『怒髪の豪腕』と『青銅の鎧』が破壊される。『ツインキャノン・ワイバーン』のパワーでは『マーズ・ディザスター』に勝てないので時任はクリーチャーを全て失った。
「すごい!あたし、時任さんに勝てるかも!?」
心亜がそう思うのも無理はない。彼女の手札には、『ブレイブハート・ドラグーン』がある。次のターン、『マーズ・ディザスター』でシールドをブレイクし、『ブレイブハード・ドラグーン』で攻撃すれば、心亜の勝ちだ。
「ああ、勝てるかもな。俺のクリーチャーが出ても、召喚酔いだ…。だけど!」
時任の目に強い光が灯る。それは、本当に強い勝負師だけが灯すような意思の光だ。
「俺にも、切り札がある。俺はそれを信じてる!来いっ!『ボルシャック・大和・ドラゴン』!!」
時任が山札をめくった時、彼の魂に呼応してそのクリーチャーは姿を見せる。武者のような甲冑を着たその龍は召喚酔いしない時任の切り札だ。
「『ボルシャック・大和・ドラゴン』でとどめだ!」
時任を追い詰めたが、最後の最後で逆転されてしまう。心亜は、放心状態でしばらく場を見ていた。周りの観衆も、しんとしてその光景を見ている。
やがて、ぱちぱちと拍手する音が聞こえる。それは、香奈だ。香奈が心からの拍手を心亜に送っているのだ。
「すごいよ、心亜!あたしはルールよく判らないけど、あんたがすごいってのは判った」
香奈に釣られて、多くの観衆も拍手を送る。たくさんの拍手をもらいながら、心亜はその光景が信じられずにぽかんとしていた。
「ありがとう。いいデュエルだったぜ!ところで、参加賞のカード何がいい?」
「あ…」
時任に話しかけられて、心亜は気がつく。参加賞として、時任のサインが入った好きなカードをもらえるのだ。
「じゃあ、『ヴァルディオス』!時任さんも使った事がある『機神装甲ヴァルディオス』がいいです!」
『機神装甲ヴァルディオス』も『マーズ・ディザスター』と同じように時任がよく使う切り札だ。心亜が憧れているカードでもある。
「オッケー、ちょっと待ってて」
時任は、その旨をスタッフに伝える。数分後、スタッフが戻ってきて時任と話し込んでいた。どうやら、良くない話らしい。
「弱ったな…。『ヴァルディオス』の在庫、今、ないんですか…。うーん…あ、そうだ!」
時任は、心亜と戦っていたのとは別のデッキを取り出すと、その中の一枚を取り出して、そこにサインを書いた。それは、『機神装甲ヴァルディオス』だったのだ。
「これをあげるよ。また、デュエルしてくれよ!」
「はいっ!」
時任とのデュエルに感激した心亜は彼と握手する。イベントは大成功で終わったようだ。

「心亜…」
「なぁに、香奈ちゃん?」
イベントの帰りに、二人はファーストフード店によっていた。心亜は、時任にもらった『ヴァルディオス』をじっと見つめている。
「心亜、負けちゃったけど、いいね。デュエルって」
「うん…!」
お気に入りの『ヴァルディオス』と『マーズ・ディザスター』を持ったまま、心亜は香奈に満面の笑顔を見せた。

DM企業戦士。
それは、会社のためにデュエル・マスターズで死闘を繰り広げ、同僚の未来を守るプロのデュエリストの事である。
今、新たなる世代の戦いが始まろうとしていた。

次回に続く

第二話予告
時任「よっ!俺はDM企業戦士、時任俊之助だ!」
百瀬「諸君、元気にしていたか?百瀬光太郎だ!」
時任「とうとう俺達が主役の新作、『DM企業戦士 時任俊之助2~熊本の逆襲~』がスタートだぜ!」
百瀬「違うぞ、時任!主役は私達ではない」
時任「げげっ!マジで!?」
百瀬「そうだ。次回は、アルバイト先を探していた心亜嬢が偶然とある求人情報を見つける」
時任「それは、花嫁修業のための学校『馬庭カルチャースクール』の求人情報だった。探していたのは、何とDM企業戦士!?」
百瀬「次回『第二話 少女歩けばバイトに当たる』」
時任「次回も見てくれよな!」

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