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DM花嫁修業 笹倉心亜 第二話 少女歩けばバイトに当たる

『DM花嫁修業 笹倉心亜』


DM企業戦士。
それは、会社のためにデュエル・マスターズで死闘を繰り広げ、同僚の未来を守るプロのデュエリストの事である。
最強のDM企業戦士、時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)と対戦した笹倉心亜(ささくらここあ)。惜しくも敗れてしまうが、時任を追い詰めたそのプレイに多くの人々が心打たれた。そんな彼女が新たなDM企業戦士として、今、立ち上がろうとしている。

第二話 少女歩けばバイトに当たる
「やったー!香奈ちゃん、やったよー!」
商店街にあるとある店から飛び出したその少女は手に何枚かのカードを持っていた。それらのカードはデュエル・マスターズカード。世界一クールでスリリングなカードゲームだ。
少女の名は、笹倉心亜。
デュエル・マスターズを好んでいて、最強のDM企業戦士、時任俊之助に憧れている少女だ。時任に憧れているため、プレイスタイルも時任を参考にした火文明メインの速攻デッキを使う事が多い。
「ん?何々、光っているカードでも当ったの?」
全体的にかわいらしい心亜とは対照的に、スポーティな印象な少女が彼女に近づく。その少女の名は、森本香奈(もりもとかな)。心亜の友人で、先日、心亜にデュエルのイベントに付き添いとして行ってから、デュエル・マスターズに多少、興味を持ち始めている。
「えへへ~、見て!時任さんにもらったのと同じ『機神装甲ヴァルディオス』だよ!」
「ああ、あのサインしてもらった奴」
「そうそう!時任さんもよく使っているカードなんだよ!」
時任の切り札の一つ、『機神装甲ヴァルディオス』は、彼がDM企業戦士として初めて自分でデッキを組んだ時の切り札で、局面において何度も彼を助けているカードだ。時任俊之助の代名詞と言ってもいいカードである。
「これを使ったら、時任さんみたいにもっと強くなれるかも~。そのためには色々な人と戦いたいな~」
「色々な人、ねぇ……」
「できれば、時任さんみたいにDM企業戦士っぽくデュエルをやってアルバイトもできれば一番だよ!」
「そんなうまい話があるかっ!……あれ?でも待てよ?」
香奈は心亜の腕をつかんで突然、引っ張り始める。「ちょっと、香奈ちゃん!?」と、心亜も困惑しているようだ。
「確か、DM企業戦士のバイトの求人があったような……。さっき、見たんだよ、あたし」
「え、本当!行こう!香奈ちゃん!」
「え?ちょっと!」
今度は、心亜が香奈の進もうとしていた方向に香奈を引っ張って歩きだす。散歩中に暴れまわる犬を引っ張る飼い主のように、香奈は心亜に引っ張られていった。
「あんたが先に行って、場所判るの?」
「あ、そっか」
少し考えてみれば、すぐに判る事である。だが、心亜はDM企業戦士のバイトと聞いて、待っていられなくなったのだ。
「どこなの、香奈ちゃん!」
「少しは落ち着きなさいって。こっち」
香奈に引かれて、心亜は市民会館の前に到着する。市民会館には、色々な情報が集まってくる。デュエル・マスターズのサークルのメンバー募集などもたまに行われている事がある。
市民会館前にあるフリーペーパーの棚に、アルバイト募集の冊子や市民向けの情報誌と共に、目的の広告は置かれていた。
「うわーっ!本当だ!DM企業戦士のアルバイト募集って書いてある!香奈ちゃん、行ってくるね!」
「待ちなさいって!こういう時は、まず電話!あと、履歴書書いて!」
「大丈夫だよ~。ここに、「デッキを持って気軽にお越し下さい」って書いてあるもん!じゃ、行ってくるね!」
広告を一部持つと、心亜は走り出す。デュエルが関わっている時の心亜の体力は凄まじいものがあり、演劇部に所属していて走り込みなどの基礎練習をしている香奈よりも速い。もう追いつく事は不可能だ。
「相変わらず子供っぽいっていうか……。どれどれ」
心亜の様子に呆れたような顔をしながら、香奈はその広告を見る。DM企業戦士のアルバイト募集をしているのは、『馬庭(ばば)カルチャーセンター』という会社である。駅前にある企業で、香奈も昔からその存在を知っている。だが、どんな事をしている企業なのかは知らない。
「馬庭カルチャーセンター……。もしかして、これは!?」
いや、知らないのではなく、忘れていたのだ。馬庭カルチャーセンターの仕事内容について思い出した時、香奈は心亜を心配した。
「大丈夫かな、アイツ。馬庭カルチャーセンターって、花嫁修業とかを教えてるところなんだよね……」

馬庭カルチャーセンター。
T市に昔からあるカルチャーセンターだ。花嫁修業に関する事柄を教えているため、華道、茶道の他に掃除や料理に関する事柄も教えている。だが、近年の不況の煽りを受けるだけでなく、花嫁修業という言葉が死語になり始めている事から、顧客は年々減少している。
料理の講座を細分化したり若い女性の興味を引くような講座を設立したりするなどして、最近の経営状況は少しはよくなったものの、決して儲かっているとは言えないのだった。
その馬庭カルチャーセンターの受付に二人の人物がいる。
「多田(ただ)君、準備はできているザマスか?」
眼鏡をかけた、きつそうな印象を与える女性。一昔前の教育ママを思わせる風貌のこの女性の名は、馬庭華江(ばばはなえ)。名前からも判るように、馬庭カルチャーセンターの社長であり、家事は万能、華道、茶道、絵画などの腕前もプロ級の文化人だ。30代後半にしては、花嫁修業という古い考えを持っているように思えるが、彼女にとってこれは決して古いものではない。
「もちろんですよ、どんな強い人が来ても勝ってみせますって!」
調子のいい受け答えをしているグレーの背広を着た青年は、多田太郎(ただたろう)22歳。今回、DM企業戦士として馬庭カルチャーセンターの中で選ばれた社員である。
社長の華江は、DM企業戦士同士の対決を取りまとめている金井(かない)社長の知り合いである。今回、金井社長の温情で、DM企業戦士を一人用意し対決で勝てば融資を受けられる事になっている。多田の能力に不安を感じた社員一同が、DM企業戦士のアルバイトを雇う事に決めたのだ。
「不安ザマス……。多田君は、これからやってくる笹倉さんと戦って、その適正があるかどうかを調べて欲しいザマス」
「任せて下さい!僕の方が強いって事を見せてやりますよ!」
「……」
多田は、華江の言った事を全く理解していないようだった。今まで、ぱっとした仕事をしていなかった彼が、DM企業戦士という社運を賭けた戦いに参加できると聞いて舞い上がっているのかもしれない。
「大船に乗ったつもりでいて下さい!僕なら、最強のDM企業戦士って呼ばれる日も近いかも……。そしたらその時は、ここにテレビの取材とかが入るかもしれませんね!すごく楽しみだなあ!」
「すごく不安ザマス」
華江は厳しい口調で言うが、能天気な多田青年には聞こえていない。
「さあ、どっからでもかかってこ~い!」
「こんにちはっ!」
「ひえっ!」
『馬庭カルチャーセンター』と白い字で書かれたガラスのドアを開け、一人の少女が入ってくる。それは、早速行動を開始した心亜だった。突然現れた心亜に、多田は驚き頭を隠すようにしてその場にうずくまった。
「えと……あたし、笹倉心亜って言います!DM企業戦士のアルバイト募集の紙を見て来ました」
「そうザマスか。DM企業戦士の……」
頭を抱えて震えている多田を無視して、華江が心亜に近づく。教育ママを思わせる外見の華江を見て、心亜は本能的に恐怖を感じたのか、一歩後ずさる。
「あ、あの……」
「わたくしは、この馬庭カルチャーセンターの社長をしている馬庭華江と申します。そして……」
華江は握手の意味を込めて右手を差し出し、受付の中に隠れている多田をちらっと見る。
「受付の中に隠れているザマスが、この中にあなたの面接をする多田太郎という社員がいるザマス。多田君、脅えてないで出てくるザマス」
「は、あはは……!や、やだなぁ、社長!僕は脅えてなんかいませんよ。ちょっと持病のギックリ腰で倒れてしまっただけですって!うん、負けるのが怖くなんかないぞー!」
多田は、大きな声を出して元気である事をアピールしている。
「当社はDM企業戦士に社運を賭けているザマス。どうしても、強いデュエリストが必要なんザマス。この多田君に勝てたら、採用するザマス」
「はい!判りました!」
「社長、僕が勝ったらどうなるんですか?」
「その時は、多田君が強いという事を認めざるを得ないザマス」
「よし。笹倉さん、君には悪いけれど、僕の強さを証明してあげよう!」
華江に連れられて、心亜と多田は一つの空き部屋に入る。今は使われていない部屋のようだが、細かいところまできちんと掃除されていた。
「デュエルは、時間制限なしの一本勝負ザマス」
「よーし、がんばるぞーっ!」
心亜と多田はデッキをシャッフルし、シールドを展開。そして、五枚のカードを手札としてくわえ、デュエルがスタートする。
「行っくよーっ!『ブレイズ・クロー』を召喚!」
先にクリーチャーを召喚したのは、後攻の心亜だった。今日の心亜のデッキは、時任と戦う時に使ったデッキの改良型だ。『ヴァルディオス』を使うために、改良を施してある。
「速いデッキだ!すごい!でも、僕のデッキの敵じゃないや!『ゴッド・ルピア』召喚!」
多田青年が召喚した『ゴッド・ルピア』に驚く心亜。このクリーチャーの出現によって、彼のデッキがゴッドをメインにしたデッキである事が判る。
「わあ……!どんなゴッドが出るんだろう?楽しみーっ!」
心亜はテンポよく、二ターン目で『究極兵士ファルゲン』を召喚する。軽量でありながら、高パワーのクリーチャーが出現して、多田は目を丸くして驚く。
「げぇっ!もう二体も!それに『ファルゲン』強すぎ!」
「えいっ!『ブレイズ・クロー』でシールドブレイク!」
「わわっ!こっちはまだ一体しかクリーチャーがいないんだから、攻撃は勘弁してよ~」
「えっ……でも……」
「多田君、それはできないザマス。『ブレイズ・クロー』は可能であれば攻撃をしなければならないクリーチャーザマス。一度召喚されたら、デュエリストの意思とは無関係に攻撃し続けるザマス」
華江に一喝されて、多田はブレイクされたシールドを手札にくわえる。その中にシールドトリガーはなく、いいカードでもなかったらしく、顔全体でショックを表している。
「うぅっ!そう簡単に負けるもんか。僕のデッキはゴッドデッキ。即ち神のデッキだ!切り札の一つ『千呪の魔象ギリメノアイル』を召喚!」
多田が呼び出したのは、本来4コストのクリーチャー『ギリメノアイル』。『ゴッド・ルピア』の効果により、コストを減らし、3コストでの召喚に成功したのだ。
多田青年は、心亜が召喚した『ブレイズ・クロー』をじっと見ている。今、『ゴッド・ルピア』で『ブレイズ・クロー』を攻撃すれば、相撃ちに持ち込む事は可能だ。速攻デッキ相手に攻撃できるクリーチャーを野放しにするメリットは何一つない。
「僕のターン、終了だよ」
だが、多田はここでターンを終了した。
「多田君、諦めては駄目ザマス!」
「大丈夫です、社長……!僕には、僕の考えがあります」
絞り出した多田の声は、少しだが自信に溢れていた。彼のデッキの全てを知り尽くしているのは彼自身なのだ。戦うべき完璧なタイミングも、全て彼だけが知っている。
「じゃ、あたしは『アクア・スーパーエメラル』召喚っ!」
「げげっ!」
しっかりした顔をしていたのは一瞬だった。心亜が召喚した『アクア・スーパーエメラル』を見て、すぐに情けない顔になる。
「社長~!ごめんなさい、やっぱり僕にはもう駄目です~!」
「多田君、さっきの意気込みはどうしたザマス!」
今まで冷静だった華江も、少々言葉の中に怒気が混じる。
「だって、あれ光ってるじゃないですか~!すごいカードですよ、きっと!」
「そうだよ!『アクア・スーパーエメラル』で手札を一枚シールドに置いて、シールドから一枚手札に!やった!」
偶然にも、心亜がここで手にしたのは彼女の切り札『機神装甲ヴァルディオス』だった。進化元のクリーチャーも存在し、次のターンでマナの準備も整う。美しい流れだった。
だが、美しい流れの中にある一つのひずみを見逃さない者が一人だけ存在した。社長、馬庭華江である。
(心亜さんのマナゾーンには、『ブレイブハート・ドラグーン』がある。あれは、最初にマナに置いたカード。それ以外のカードは『アクア・サーファー』が二枚。本来であれば、最初のターンから一体ずつクリーチャーを召喚し、三ターン目にはスピードアタッカーを召喚して一気に攻撃するデッキ。どうやら、事故を起こしたみたいザマスね)
心亜の猛攻で多田のシールドは、二枚目、三枚目とブレイクされていく。三枚目を手札に加えた時に、涙目になっていた彼の目つきが変わった。
「よし、まだまだ行ける!かかってこい!」
「かかってこい、って言われても、あたしのターンはこれで終わりだよ」
「よっしゃ!」
間違いなく、劣勢。だが、多田には勝利のための方程式が組みあがっていた。
「最初に僕が使うのは、呪文『フェアリー・ギフト』だ!この効果で次に呼び出すクリーチャーのコストを3減らす!さらに『ゴッド・ルピア』の効果も合わせて4コスト減らして1マナで召喚だ!二つ目の切り札『地武神オルメガス』!!」
多田が第二の切り札として召喚した『オルメガス』は『フェアリー・ギフト』を使わなくてもこのターンで召喚できるゴッドだ。だが、多田はコストをさらに減らし、1マナで召喚した。これが彼の秘策である。
「僕の『オルメガス』はバトルゾーンに出た時、山札からゴッドを一枚持ってくるカード。僕が手札に加えるのは『ギリメノアイル』とリンクできる三つ目の切り札『千刃の武象ギリトラワンガ』だ!」
「え……あ、そうか!」
心亜も、そして華江もようやく多田が『フェアリー・ギフト』を使った理由を理解する。残ったのは2マナ。そして『ゴッド・ルピア』により、コストを1減らされた『ギリトラワンガ』は2マナで召喚できる。
「『ギリトラワンガ』を召喚!『ギリトラワンガ』と『ギリメノアイル』をゴッドリンク!!リンクしたゴッドで、ファルゲンを攻撃!」
リンクしたゴッドは、召喚酔いを無視して攻撃する事ができる。その事を忘れていた心亜は一瞬、口を開けたままポカンとしていたが、慌てて『アクア・スーパーエメラル』に手をかける。
「あ、『アクア・スーパーエメラル』でブロック!」
「そうか。『アクア・スーパーエメラル』はブロッカーか」
心亜が操る最大のパワーのクリーチャーを倒す事に失敗した多田は悔しそうな表情になり、ぎりぎりのところで『ヴァルディオス』の進化元を守った心亜は安堵の表情を浮かべた。
「でも、まだだ!『ゴッド・ルピア』で『ブレイズ・クロー』を攻撃!」
同じパワーで相撃ち。これによって、多田の方が優勢になってきた。
「どうだ!これが、ゴッドデッキ。神の力だ!すごいだろ!」
有利になったためか、多田の言葉にも余裕が見えてきた。弱気になったり強気になったり忙しい男である。
「うん、すごい。すごくて強い!四ターン目なのに、ゴッドがこんなに並んでいるなんてすごい!でも、あたしは負けない!だって、今のあたしには時任さんがついているんだもん!」
「え?今、何て……」
多田が言いかけるのも気にせず、心亜はマナをタップする。4マナタップすれば、彼女の新しい切り札の出番だ。
「『ファルゲン』を進化!『機神装甲ヴァルディオス』召喚!!」
ついに現れる心亜の切り札。それは憧れの一枚であり、夢の一枚だ。
「ぎゃーっ!」
多田は大げさな声で驚くと、椅子ごと後ろに倒れた。そして、口を押さえたまま震えている。
「さ、サインが……。あの伝説のDM企業戦士、時任俊之助のサイン入り『ヴァルディオス』だ!もう駄目だーっ!!」
「『ヴァルディオス』でシールドをWブレイク!!」
「ひぃーっ!もうやめてーっ!」
敗北を覚悟し、二枚のシールドを手札にくわえる多田。最後の一枚を見た時、そこで再び彼の顔が引き締まった。
「残念だったね。君には時任さんがついてたけれど、僕には神のご加護があったよ。シールドトリガー、『ナチュラル・トラップ』超動!」
多田の『ナチュラル・トラップ』は心亜の『ヴァルディオス』を絡めとり、マナへ送る。これで、心亜のクリーチャーは一体もいなくなってしまった。
「ブロッカーもない。攻撃できるクリーチャーもない。今の君は隙だらけだ!最後の切り札『炎武神バルザック』を召喚して、ゴッドリンク!!」
これで、多田の場には二組のリンクしたゴッドが揃った。『バルザック』『オルメガス』はトリプルブレイクが可能なゴッド。そして『ギリトラワンガ』『ギリメノアイル』はWブレイクができるゴッドだ。このターンで、心亜のシールドを全てブレイクする事ができる。
「ゴッド!一斉攻撃だ!」
多田の号令を合図に、二組のゴッドがシールドを一枚ずつブレイクしていく。
「多田君、最後のシールドに気をつけるザマス!」
「うおお、そんなの関係ねぇ!」
ハイになっている多田には、華江のアドバイスも届かない。最後のシールドに仕込まれていたシールドトリガーを気にしていた華江だが、そこから出たのは『スパイラル・ゲート』だった。
「うぅ……『スパイラル・ゲート』で『バルザック』を手札に」
「残念だったな。リンクしているゴッドはどれを戻すのか、僕が選べるんだ。よっし、ここはゴッドを呼べちゃう『オルメガス』にしよう。次のターンで決着が着くけどね」
心亜の手札には、『不死身男爵ボーグ』と『一撃勇者ホノオ』しかない。スピードアタッカーが来なかったのだ。
「ここで、何か来ないと負けちゃう。何か来て……!」
祈るように山札から一枚のカードを引く心亜。そのカードが一瞬見せた輝きに華江は目を見開く。
「多田君、気をつけるザマス!まだデュエルは終わっていないザマス!」
「そうですね。次のターンで僕がとどめを指す必要がありますね。どれで勝つか決めておかないと、どっちのゴッドがいいかな?」
「考える必要なんてないよ!『不死身男爵ボーグ』召喚!」
2マナタップして、心亜が元気よくヒューマノイドを召喚した。その言葉に脅えはなく、その表情に悲しみはない。言葉には活気が、表情には勝てるという確信があった。
「最後の悪あがき?いいよ。『ボーグ』は召喚酔いだし。どうぞどうぞ」
「多田さん!召喚酔いさせないためにはどうすればいいか判る?」
心亜からの突然の質問に多田は戸惑う。
「判るよ。『ダイヤモンド・ソード』みたいな呪文を使うか、スピードアタッカーのクリーチャーを出すとか、ゴッドリンクするとか、進化とか……あ」
ようやく気付いた多田に見せるように4マナをタップした心亜。『ボーグ』に、華江が警戒した切り札を重ねる。
「切り札はいつだって切り札!『機神装甲ヴァルディオス』召喚だよ!」
「えぇ~っ!!二枚目の『ヴァルディオス』だって!?」
「うん!『ヴァルディオス』で多田さんにとどめ!」
口を大きく開けたまま、唖然としている多田に、心亜は笑顔で礼をする。最後の最後で、心亜の切り札が勝ったのだ。
「多田さん、すっごい!あんなにどんどんゴッドが出てくるデッキは初めて見たよ!」
呆然としていた多田だったが、心亜に褒められている事に気付くと偉そうな顔で答える。
「まあね。これは僕の自信作だから。今回は負けちゃったけれど、次はそうは行かないぞ」
「次はそうは行かなくても、今回だけで充分ザマス」
華江が拍手をして、心亜に近づく。
「笹倉さん、おめでとうザマス。あなたはDM企業戦士としての試験に合格ザマス。わが社に力を貸して欲しいザマス」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
華江が出した手を心亜が握り返す。
少女は、憧れの人と同じDM企業戦士の道を進んだ。
その時は、まだ誰も知らない。それが、笹倉心亜が作り出す新しいDM企業戦士の伝説の序章だという事に。

次回に続く

第三話予告
時任「やあみんな!DM企業戦士時任俊之助だ!」
百瀬「元気にしていたか、諸君。百瀬光太郎だ」
時任「今回はいいデュエルだったぜ!速攻VS高速ゴッドデッキの戦い!テクニカルなデッキの技を駆使した戦いもいいけど、殴り合いのデュエルも燃えるぜ!」
百瀬「ふっ、愚かな。デュエルは華麗に、必要最小限の攻撃で勝利するものだ」
時任「いーや、殴り合いだ!」
百瀬「違う、華麗さだ!」
時任「あーもー、桃太郎の分からず屋!こんな桃太郎、放っておいて次回予告だ。DM企業戦士となった心亜ちゃんに最初の仕事の依頼が来る」
百瀬「対戦相手は心亜嬢と同じ、高校一年生のお嬢様。そして、とある企業の社長!?この歳で社長とは……。そしてDM企業戦士であるとは……」
時任「どんなデュエルが始まるのか気になるぜ!次回は『第三話 お嬢様はDM中!』だ!」
百瀬「それよりも時任。私を桃太郎と呼ぶな!」

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