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『TOKYO決闘記』 第十五話 内側

『TOKYO決闘記』

 私、一ノ瀬博成(いちのせひろなり)は東京連続失踪事件の謎を追っている高校二年生だ。
 金城豪人(かねしろごうと)が住むマンションのホームパーティに呼ばれた私達は、そこで楽しい時間を過ごした。その帰りの電車で眠ってしまった青海(おうみ)ゆかりは、連れ去られてしまい、目覚めた時には診察室のような部屋にいて、『球舞』の五箇条一個(ごかじょういっこ)に出会っていた。
 そして、『エクスプロード』の保持者、墨川一夜(すみかわかずや)は四天王寺五色(してんのうじごしき)の『夢幻(ユーメイダイ・インマイショウ)』によって夢の世界に閉じ込められてしまった。二人の敵が仕掛けた特殊能力の罠。保持者達はこの罠を打ち破る事ができるのか?
 20XX年 一ノ瀬博成

 第十五話 内側
「アタシが……怪盗アルケー?」
 ゆかりは、全く予想していなかった事を言われた。東京連続失踪事件にこれ以上関わったら殺すとか、そういった脅迫めいた事を言われると思っていたのだ。
「君は、私が正気でない。狂っているとでも思っているのかな?」
「うっ……!何で考えた事が……!?」
 ゆかりの思考を読み取った五箇条は笑っていた。他人の思考を読む事くらい、自分にとっては他愛もないという事なのかもしれない。
「顔をあわせていきなりそんな事を言われたらそう思うのも無理はない。君の思考も手に取るように判る。だが……それも、表面的で一時的な感情パターンのみ。奥底に眠る君自身を読み取るのは観察力だけでは駄目だ」
 五箇条が右手を上げるのと共に、空中にいくつもの四角い鏡が現れる。それらは全て、何も映していなかった。鏡を覗き込んでいるゆかりの顔も映らない。
「これより、診察を始める。……と言いたいところだが、色々と疑問に思っている事があるようだね、青海ゆかり。君も私によく似て好奇心旺盛な人間のようだから、大サービスでいくつか教えてあげよう。まず、怪盗アルケーをどうするのか、だが……」
「そんな事はいいから、ここから出しなさい!ここはどこなの!?」
 自分のペースで淡々と話し続ける五箇条に対して、ゆかりが怒声をあげる。彼女の双眸(そうぼう)は、危険な女医を睨みつけていた。
「それは質問かね?ここから出せ、と言うがそれはできない。君は……いや、正確にはもう一人の君である怪盗アルケーなのだが、私が解体して研究材料にするつもりなのだ。研究が済んだら後は自由にしてかまわないが、その時まで君が生きていられるとは思えないのだがね」
「一体、何を……」
 するつもりなの、と続けようとするゆかりの言葉を遮って五箇条が続ける。
「さて、もう一つのここはどこか、という質問だ。質問に答えている途中で新しい質問をするのはやめてくれ。研究で私が君の肉体にどんな事をするのか教えてもいいが、聞かない方が君のためだと思うよ。ここがどこか、というのは私にもよく判らないのだが、どうやら、夢の世界らしい。詳しい事は五色が知っているのだが、彼女の説明は判りづらいので私もこの世界が何なのか完全に把握し切れていないのだ。尤も、この世界が私の能力『箱庭(フー・インサイド)』を使うのに最適の世界だという事だけは理解しているよ」
「夢の、世界……?」
 ここが夢の世界だとしたら、これは悪夢だ。だが、夢であるならば、目覚める事で抜け出す事もできる。だが、五箇条の一言はその希望を打ち砕いた。
「出る事はできない、と言ったはずだよ。夢ならば、目覚めればいいと思うだろうが、この世界は目覚める事のない悪夢。夢の牢獄だ」
「そんな馬鹿な……」
 ゆかりは、五箇条の言った事を笑おうとするが顔がひきつってうまく表情が作れない。相手の言っている事を否定しながら思い出したのだ。『球舞』のメンバーは特殊能力を使う事ができる。
 一本杉四神(いっぽんすぎしじん)は、対戦に制限時間を設け、腕時計のようなもので拘束する能力『時の奴隷(タイム・キーパー)』を持っていた。時間切れか対戦に敗北すると腕時計から猛毒が体内に流れ、死亡する。
 二階堂十三階の能力は、自分のカードが破壊された時に相手を見えない刃物で切りつける『堕ちていく必殺(ゲットダウン・メイクラヴ)』である。
 この夢の世界も何かの能力だとしたら、ゆかりには抗う術がない。この罠を打ち破れるのは、保持者だけだ。
「私のパートナー、四天王寺五色の能力は、今、説明した『夢幻(ユーメイダイ・インマイショウ)』だ。夢の世界に特定の人物の精神を閉じ込める能力。今頃、どこかで別の保持者と戦っているのかもしれないな」
「保持者?まさか……!」
 帰り際に勇騎はゆかりに、送って行こうと言っていた。ゆかりを追ってきた勇騎が閉じ込められたのかもしれない。
「んー、君の思っている事は外れだよ。五色と戦っているのは、赤城勇騎ではない。ま、そんな事はどうでもいい。私の『箱庭(フー・インサイド)』で君の中を覗かせてもらう」
 五箇条は、近くに浮いていた鏡をおもむろに手に取った。
「つまらないな。人の恋路など見てもしょうがない」
「なっ、何を見てるのよ!」
 耳まで真っ赤になりながらゆかりが怒鳴る。つまらないと言っていた五箇条だったが、その様子を見て気が変わったようだ。
「君は、赤城勇騎が好きなんだね?この鏡には、彼が映っているよ」
 ゆかりは顔中を真っ赤にしながら、何も言えずにうつむく。話題が恋に関する事でなければ、冷静に物事を考えて五箇条を出し抜く方法も思いついたかもしれないが、今の彼女は思考が暴走している。これも、五箇条の策略の一つなのかもしれない。
「ん?この赤城勇騎はよく笑う。ひょっとして、これは君の妄想か?それとも、彼の笑顔を大量に記憶しているのか?」
「あまり、そうやってこの娘をいじめるものではない」
 うつむいていたゆかりは、顔を上げる。そこには、焦ったような表情も恥ずかしがっているような表情もない。
 あるのは、自信。目の前にいる白衣を着た女から何かを盗み出してやろうという、挑発的な思いだ。
「ようこそ、怪盗アルケー!君を待っていたよ」
 五箇条はすぐに気付いた。そこにいるのは、青海ゆかりの体をした怪盗アルケーだと。
 五箇条は手元にあったリモコンのボタンを押し、ゆかりの体を拘束していたベルトを全て外した。自由になったアルケーは立ち上がると『ツナミ』を取り出す。
「間違いない。保持者のオーラだ。青海ゆかりにはなかった気配を強く感じるよ。青海ゆかりの時は保持者の気配がない。だから、あれだけ保持者の気配に敏感な赤城勇騎も気付かないのだな。これを知っているのは私だけだ!嬉しい!私だけが知っている!」
 五箇条は近くにあった机の引き出しを開けると、デッキケースを取り出す。それは灰色に輝き、戦える状態である事を表していた。
「アルケー、君を倒し、研究材料とさせてもらう」
「断る。私はお前を倒し、ここから脱出する方法を考える」
 二人の前にシールドが現れ、デュエルが始まった。

 四天王寺五色は子供の頃、親に捨てられた。
 彼女が親に捨てられたその日、四天王寺は遊園地にいた。そこは彼女にとって世界一素敵な場所で、彼女の最も好きな世界だった。彼女はそこに置き去りにされたのだ。
「あたし、遊園地が世界で一番嫌い。他の楽しい場所だったら、どこでも行くよぉ~」
 『球舞』結成直後、四天王寺をデートに誘おうとした三ツ沢は、彼女の口からその言葉を聞いた。新しい兵士を探しに行く時、遊園地を見ると四天王寺の能力は暴走する。そこにいる人を無差別に襲い、彼女も倒れる。
 『夢幻(ユーメイダイ・インマイショウ)』によって人々が最初に連れ去られる場所は遊園地だ。そこから、閉じ込められた人物の一番苦手な場所へ変わる。
 何故、遊園地なのか。四天王寺には判らなかったが、彼女と一緒にいる事が多い五箇条はある仮説を立てていた。それは四天王寺の一番苦手な場所であり、彼女の中にある悲しい思い出があの遊園地を作り出してしまうのだ、と考えた。
 施設でも、里親の前でも、心を許せるはずの友達の前でもうまく振舞えなかった四天王寺は、変わらなければならないと焦っていた。今の自分では、永遠に苦しみ続けるだけだと感じていた。だが、努力しても彼女は感情をうまく出せない。彼女の周囲には誰もいない。常に一人ぼっちだった。
 そんな時『球舞』に入り、彼女の心の奥底にある歪な思い出は武器へと生まれ変わった。自分の悪夢を他人の悪夢にする能力『夢幻(ユーメイダイ・インマイショウ)』として。そして、彼女は変わった。自分を見てくれる仲間を得て、人に甘える人格に。誰かに助けを求める人格へと生まれ変わっていた。
「あたしには、お友達がたくさんいるんですよぉ~。みっちゃんにごぉさんにろくさんにななちゃんにはちさん!九十九様はお友達っていうよりは、尊敬する人ですねぇ~。他にもたくさんお友達がいるんですよぉ~。ほら!」
 四天王寺は灰色に輝くデッキケースから大量の『ブランク』をばらまく。一夜は、その一枚一枚にデュエリストが封じられているのを見た。彼女に敗れて封じ込められたデュエリスト達の苦悶の表情がそこにある。
「お友達は多い方がいい。友達百人を目指してるんですよぉ~」
 シールドが五枚、四天王寺を守るように現れる。一夜の苦手な世界での戦いが始まった。
「『エマージェンシー・タイフーン』!カードを一枚墓地へェッ!」
 一夜がカードを捨てて手札を入れ替える。四天王寺はその様子をうれしそうに微笑みながら見ていた。
「じゃ、あたしのターン。『幻緑の双月(ドリーミング・ムーンナイフ)』でマナブーストですよぉ~」
 四天王のマナは、これで光、自然、水の三色になる。多色のデッキのようだ。
「かわいいっ!あたし、クリーチャーはかわいいのが一番だと思うんですよぉ~」
「黙れ!!」
 一夜の怒声に、四天王寺は脅える。だが、本当に脅えているのは、一夜だった。
(俺の産まれた場所を……何で、何でこんなザコが知ってやがる!!うがあ……気持ちが悪い。こんなところに、俺は、俺はアアアァァッ!!)
「くそが!『コッコ・ルピア』を召喚だ!」
 ドラゴンのコストを減らす強力なファイアー・バードだ。非常に脆く除去されやすいが、ドラゴンを使うデッキではなくてはならない存在だと言ってもいい。この事から、一夜のデッキがドラゴンメインのデッキだという事が判る。
「わぁ~、かわいい~!」
 しかし、四天王寺はそれを見て目をキラキラと輝かせている。可愛いクリーチャーが好きだという言葉は間違っていないようだ。
「じゃ、こっちは『サイバー・ブレイン』で手札を増やすのですよぉ~。そして、『幻緑の双月』で攻撃!」
 一夜のシールドが一枚ブレイクされる。
 一夜のデッキは動きが遅い。序盤は相手に攻撃をさせて耐え凌ぐしかない。もし、相手の速度が一夜の防御を上回るような事があれば、それは彼の負けを意味する。
「『黒神龍ギランド』ォ、召喚ッ!」
 今にも体が腐り落ちそうなドラゴンが一夜の場に現れる。クリーチャーでの戦いでは、すぐに破壊されてしまう脆さを持ったドラゴンだが、軽量でW・ブレイカーでもある。
「一気にやっつけちゃうですよぉ~!えいっ!『スカイソード』!」
 四天王寺の場に出るのは、『無頼聖者スカイソード』だ。四天王寺のマナとシールドが同時に増える。そして、『幻緑の双月』で一夜のシールドがまた一枚ブレイクされた。
「そんなもん、くれてやる……!『黒神龍ギランド』を『超神龍アブゾ・ドルバ』に進化ァ!!」
 5ターン目にして、早くも一夜の切り札が現れる。骨をむき出しにしたそのドラゴンは、墓地にあるクリーチャーの数だけパワーアップする能力を持っている。『エマージェンシー・タイフーン』は墓地を増やす為に入れてあったのだ。
「『アブゾ・ドルバ』で『幻緑の双月』を攻撃ィッ!!」
 『アブゾ・ドルバ』の牙が小さなビーストフォークをつかみ、次の瞬間、丸飲みにする。四天王寺が小型クリーチャーの連携で勝負してくるのならば、一体ずつ破壊していけばいい。シールドはまだ三枚あり、彼の手札には『デーモン・ハンド』も『地獄スクラッパー』もある。
「はぅ……。可哀想な『幻緑の双月』……。でも、大丈夫だよぉ~」
 四天王寺は笑っている。「それが切り札なの?」と、一夜を嘲笑うように。
「『母なる大地』!『アブゾ・ドルバ』をマナゾーンの『パルピィ・ゴービー』と交換ですよぉ~」
「ちぃっ!」
 『パルピィ・ゴービー』は出た時に山札の上を操作できるブロッカーだ。防御力が増した事は心強いが、『アブゾ・ドルバ』の凶暴性で押し切ろうと思っていた一夜にとって、これは大きなダメージだった。
「さらに、『グロリアス・ヘブンズアーム』をジェネレートしてターン終了ですよぉ~」
 四天王寺が初めて出した光のカード。それは装備(クロス)したクリーチャーのパワーを上げ、シールドを増やす能力を追加するクロスギアだった。
「保持者って、大した事ないですよぉ~。お友達にして、ず~っと一緒にいてあげますよぉ~」
「ぐっ!」
 四天王寺は、うまく一夜を追い詰めている。『夢幻(ユーメイダイ・インマイショウ)』を使った精神的ダメージを受け、彼女のペースに一夜が巻き込まれているのだ。
「失敗作……」
 そんな声を聞き、一夜ははっとなる。それは、彼が産まれたこの場所で聞かされた言葉だ。
「どこだ!……どこにいやがる!」
 一夜は周りを見る。目の前にいる四天王寺は笑っているだけだ。『ブランク』に封印された者が話しているのでもない。
「偽物」
「ゼロ号もどき……」
「使い物にならない……」
 見えない者の言葉は、容赦なく一夜を攻撃する。それは黒く、暗い狂気。
「あれあれ?そんなに汗をかいちゃって、気分悪いんですかぁ~?くすくす……ごぉさんが近くにいるはずだから、戦いが終わったら様子を診てもらえないか聞いてあげますよぉ~」
 夢の檻の支配者の言葉は、一夜に届かない。彼は、心の中にある恐怖に敗北していた。

「『クリスタル・ブレイダー』でシールドをブレイク!」
 アルケーと五箇条のデュエルもすでに始まっていた。1ターン目に出した『アクア・ガード』を2ターン目に『クリスタル・ブレイダー』へ進化させるという電光石火の早業で五箇条への先制攻撃を成功させた。シールドを手に取り、五箇条は満足そうに笑う。
「悪くない。序盤から攻撃を仕掛けてくるデュエリストは今まで会った事がない。いい経験をさせてもらって感謝するよ」
 五箇条は『テルス・ルース』を召喚する。彼女のデッキは非常に防御力の高いデッキだ。序盤よりも後半に力を発揮する。
「余裕などすぐに崩してみせよう。『ディープ・ジャグラー』を召喚!」
 アルケーが出したクリーチャーは、マナが水文明のカードのみならば、攻撃した時にドローができるクリーチャーである。速攻と同時に手札補充も欠かさない。そして、すかさず『クリスタル・ブレイダー』で攻撃をする。ブロッカーの『テルス・ルース』はブロックをせずにシールドへ攻撃が届く。
「シールド・トリガーだ、アルケー。『アクア・サーファー』を召喚する!」
 シールドから現れたのは巨大な波と、それに乗ったリキッド・ピープルのサーファーだった。アルケーの『クリスタル・ブレイダー』は波にかき消される。
「さて、このカードの出番かな?」
 五箇条が手に持っていたカードが光り、『ディープ・ジャグラー』がシールドに閉じ込められた。
「『魂と記憶の盾(エターナル・ガード)』か……」
「ご名答」
 そこで、五箇条のターンは終了する。攻撃が可能なはずの『アクア・サーファー』は動かなかった。
「攻撃にも準備が必要だ。君のように勢いに乗って攻撃してシールド・トリガーが出たら困るからね」
「ならば、攻撃しなかった事を困らせてやろう」
 アルケーは『ストリーミング・シェイパー』を使って四枚の水カードを補充する。さらに、余ったマナを使って『封魔ウェバリス』を召喚した。
「いや、困らないよ。敵を知り、己を知れば……というからね。さて、『捜索甲冑ゴロンガー』でも召喚するとしよう!」
 アルケーのシールドが二枚表向きになる。それと同時に、全く変わらなかったアルケーの表情が少しだけ変わった。
「シールドにシールド・トリガーがなかったらどうしよう、とでも思ったのかな?君は今、心の隙を見せた!君の事を覗かせて貰うよ!」
 空中にあった鏡の一枚が青く輝く。それを取った五箇条は、そこに映る光景を覗き込んだ。
「君は、ドナルド・マックイーンの作品が好きなのか。いずれ、その全ての作品を盗みたいと思っている。彼の作品の真の価値が判るのは自分だけ……。その作品の金額や知名度でしか作品の良し悪しを計れない人間と違って、自分だけはその裏にある魂をも理解できると感じている。エゴが入っているように感じるが、なかなかいい信念だと思うよ」
 目の前にいる小柄な女医は、アルケーの信念を完全に見抜いていた。アルケーの考えを知っているのは、彼女と対峙した赤城勇騎とその時そばにいた一ノ瀬博成の二人だけだ。他の人物に話した事はない。
「表情の変化から読み取っているのではないな?」
 アルケーの言葉を受けて、五箇条は愉快そうに笑った。
「素晴らしい!素敵な反応だよ、アルケー!真相に到達しようとする意思、思考力。うーん、人格は違うが、君と青海ゆかりは根本的な部分では非常に似通っている。どちらも知的だ。君を倒したら研究材料にするつもりだったが、迷ったな……。五色とは違った意味で君には協力してもらいたい」
 手札を握って臨戦態勢を整えるアルケーを見て、五箇条は西洋の映画のように肩をすくめる。
「話が脱線してしまったね。すまない。私は表情の変化から相手の考えている事を推測する事は可能だ。だが、それはあくまで観察力に優れているだけでしかない。青海ゆかりの片思いの相手が誰かなのか当てたり、君の信念を見抜いたりするのは優れた観察力でもできない事だよ。そこで、私の能力『箱庭(フー・インサイド)』の出番である」
 五箇条は、近くにあった鏡をつかんだ。それが彼女の能力の映像(ビジョン)なのだ。
「ちょっとした心の隙をついて、心の中で強く思っている事を見抜く。青海ゆかりは、現実的に考えてありえない状況に放り込まれて混乱していたようだからね。心を見るのは簡単だったよ。そして、先ほどの君だが、シールドを二枚表向きにされた時に心の隙を作った。なかなか頑丈な精神だね。怪盗で鍛えられているのかな?」
「おしゃべりな奴だ……!」
 アルケーはすでに召喚していた『封魔ウェバリス』を『魔皇バルパス』に進化させた。パワー7000でW・ブレイカーの『バルパス』は中盤ではかなり強力なクリーチャーである。五箇条は、まだブロックをせずにシールドを手札に加える。二枚目にブレイクされたシールドを見て、彼女の眉が動いた。
「うむ、助かる。『サイバー・ブレイン』だ」
 一枚のカードが瞬時に三枚に変わり、そのカードを見た五箇条は満足そうに微笑んだ。
「今回、私のデッキは非常にいい動きをしている。君のような素晴らしい保持者と戦っているせいかもしれんね。私をおしゃべりと言ったが、これも診察の一環なのだよ。君を診る作業の一つだ」
 五箇条はもう一体『ゴロンガー』を召喚する。アルケーのシールドがさらに二枚表向きになる。同時に、鏡の一枚が青く光った。
「また見えたよ、アルケー!これは……過去の君か。今の姿とは違う……。よく判らないが、今の君は仮の姿なのだな。青海ゆかりは仮の入れ物に過ぎないという事か」
 現在、表向きになっているアルケーのシールドには、『サイバー・ブレイン』以外のシールド・トリガーは入っていない。その事が、心の隙を作らせたのである。アルケーが黙っていると、五箇条はさらに話を続ける。
「私が何故、こんな戦闘の役に立たない能力を使っているのか、疑問に思っているようだね。確かに、一本杉の『時の奴隷(タイム・キーパー)』や二階堂の『堕ちていく必殺(ゲットダウン・メイクラヴ)』の方が相手に与えるダメージは大きいだろう。だが、私の能力はただ勝つためだけの能力ではない。勝利では、私の好奇心は満たされない!相手を知り、好奇心を満たすために私はこの能力を使っている!そう!」
 高らかな声で演説をしていた五箇条は、急に落ち着いた声で彼女の信念とも言える言葉を放った。
「好奇心。それは知力の源。そして、世界を進化させる力だ」
 アルケーは、五箇条の言葉には答えない。『アクア・ハルカス』を召喚した後に、『エメラル』を使って裏のままになっている一枚のシールドと手札を交換した。その中にもシールド・トリガーが入っていなかったため、アルケーは自分の行動が正しかった事に安堵感を覚えた。
「さて、さらに出たぞ。安心するのはまだ早かったようだな!今度は、君のデッキのデータだ。水文明単色のデッキで、メインの種族はリキッド・ピープルとグランド・デビル!切り札は『超新星マーキュリー・ギガブリザード』!!やった!ついに、君の戦略まで見抜いた!これで負けるわけがない!」
 苦い顔をしているアルケーに対して、五箇条は追い討ちをかけるように言い放つ。
「さっきから何もしゃべらないな。無口になっても無駄だよ。それもまた、君の感情を読み取る一つの情報なのだからね。私の『箱庭(フー・インサイド)』から逃れる術はない」
 アルケーがここまで苦戦するのは、勇騎と戦った時以来である。だが、今回の苦戦はあの時の苦戦とは違っていた。
「好奇心か……。くだらない感情で私の心を乱した事を後悔させてやる」
 アルケーは静かに言い放ち、カードと場に注意を向けた。

「えいっ!二体目の『緑神龍ダグラドルグラン』を召喚ですよぉ~。切り札が二体ですよぉ~!」
 四天王寺のシールドは残り四枚。
 バトルゾーンには『インビジブル・スーツ』と『グロリアス・ヘブンズアーム』をクロスした『緑神龍ダグラドルグラン』と、今召喚したばかりの『ダグラドルグラン』がそれぞれ一体ずついる。
 対する一夜のシールドは三枚。クリーチャーは『コッコ・ルピア』と『紅神龍バルガゲイザー』のみだ。
「『緑神龍ダグラドルグラン』でシールド二枚をマナに!そして、『グロリアス・ヘブンズアーム』の効果でシールド回復ですよぉ~」
 勝利がさらに遠のき、防御が手薄になる。悪夢の中で朽ちていく恐怖を感じながら、一夜はカードを引いた。
「これは……火文明の……」
 一夜の手元に来たのは、『竜極神メツ』だ。闇文明のゴッド、『竜極神ゲキ』とリンクする事によって真の性能を発揮する事ができる。
「この二枚は……似ている。まるで……!」
 勇騎と一夜。二人がリンクする事は絶対にないだろう。だが、酷似した存在という意味でこの二枚のカードと自分達が似ていると一夜は感じた。
 思い出す。戦場で初めて彼を見た時に感じた事を。あの時から、二人の運命は狂い始めた。似た二人が出会う事で、秩序が崩壊した。
「くくく、くっくっくっく……そうだった、俺はこんなザコに脅えてる場合じゃねェッ!ゼロ号を倒す事も、俺にとっては目的の一つ!奴を奪って俺が奴になる!そして、俺を作り上げたクソ野郎どもを一人残らず、完全に消してやる!!」
 一夜はマナをタップして二体のクリーチャーを出す。そして、同時に吠えた。
「竜極神、『ゲキ』!!『メツ』!!召喚!そしてェッ、ゴッドリンクゥゥッ!!」
 二つのクリーチャーが一つの姿になる。その荘厳な姿に、四天王寺は恐怖しながら心を奪われた。
「さあ!これでテメェは終わりだァァッ!ザコが!ザコが!ザコがァァッ!!俺を恐怖させた事を、死んで詫びろオォッ!!」
 一夜の胴体にある口のような傷が、周りの光景を吸い込む。変わりに現れたのは、ごつごつとした赤い岩肌と燃え盛る炎。地獄のような光景を見て、四天王寺は戸惑い、一夜は狂喜する。
「まず、リンクした『ゲキメツ』で『ダグラドルグラン』を殺す!」
 四天王寺の切り札『ダグラドルグラン』が破壊され、さらに、彼女のマナ二枚が砕かれた。
「さらに!『バルガゲイザー』!シールドを殴れェェッ!!」
 『バルガゲイザー』のシールドへの攻撃。同時に山札の上から『黒神龍ギランド』が現れる。
「あぅ……。でも、まだダグラドルグランは一枚あるですよぉ~。負けないですよぉ~」
 四天王寺は語尾が弱くなっているのを感じた。自分の能力も破られ、相手には強力すぎる切り札が鎮座している。1ターンで完全に逆転され、次のターンには倒されてしまうところまで追い詰められた。
だが、まだ負けると決まったわけではない。四枚あるシールドにはシールド・トリガーが入っているかもしれないし、クリーチャーが出せないわけじゃない。
「『青銅の鎧』と『テルス・ルース』を召喚!『ダグラドルグラン』に『インビジブル・スーツ』をクロスして攻撃、ですよぉ~!」
 『ダグラドルグラン』は、一夜の最後のシールドをマナにする。その時点で彼は、彼は狂ったように笑い始めた。
「かかか、はーはっはっは!シールドを潰しても、無駄だ!これで、11マナ。手札は二枚!地獄の二枚だ!!」
 一夜の手札にある二枚のカードが黒と赤に輝く。そのオーラから、四天王は何が来るのか察した。
「出やがれ!『ゲキメツ』ゥッ!!」
 場に並ぶのは、二組目のゴッド。一組でも強力なゴッドが二組も現れたのだ。
「『ゲキメツ』でシールドをブレイク!!」
 『テルス・ルース』の効果でマナ破壊は防げている。だが、ここでブロックしなければ四枚のシールドは消え、ブロックされなかった時の効果で『テルス・ルース』は破壊されてしまうのだ。
「て……『テルス・ルース』ッ!」
 『テルス・ルース』がシールドを守るように『ゲキメツ』の前に立ちはだかる。巨大な神にブロッカーが踏み潰された瞬間、四天王寺の手札が弾け飛ぶ。
「『ゲキメツ』は、ブロックされた時に相手の手札を全て奪う!テメェのミスは俺の相手をした事だ!!」
 二組目の『ゲキメツ』の攻撃によって、マナと『青銅の鎧』が消し飛ぶ。そして、その手が四枚のシールドにもかけられた。
「い……いやあああぁっ!!」
 四天王寺の叫びと共に、シールドは全て砕かれる。だが、最後の一枚が金色に輝き、彼女を照らした。
「あ……!バリアント・スパーク!あたしのデッキなら、マナがすぐ溜まるからメタモーフで相手のクリーチャーを全てタップできる……!」
 希望に目を潤ませる四天王寺だったが、それを見た一夜が近くの岩を叩いて砕く。
「カスが……!テメェのマナを良く見やがれェェッ!」
「あ……」
 『ゲキメツ』の攻撃によって二枚のマナが減らされ、残っていた彼女のマナは六枚になっていた。一枚だけ足りなかったのだ。これでは、相手のクリーチャーを一体しかタップできない。四天王寺はデュエルに負けたのだ。
「お前、友達がどうとか言ってたな?そんなもの俺にはいらねェッ!俺に近づく奴は誰だろうとぶっ壊す!!テメェも消えろォォォッ!!」
 体中が腐敗した『ギランド』が四天王寺に近づく。腐りきった体液が滴り落ち、異臭が漂っている。そんな処刑人を見て、四天王寺は感情のない顔で笑う。
「あ……あはは、あはははは……!」
 そして、そのままゆっくり目を閉じた。
「負けちゃったよ……。みっちゃん、ごぉさん、ななちゃん……さよなら。みんながあたしの事大事にしてくれたから、『球舞』に入ってからはすごく楽しかったよ。みんな、優しかったね。そう言えば……お腹、空いたれすよぉ~。もう、何も食べられないね……」
 ギランドが四天王寺を飲み込み、白い光が世界を満たす。夢の世界が崩れたのだ。
「これで、くだらない夢は終わりだ……。次は、ゼロ号……お前を消す」

「『超新星マーキュリー・ギガブリザード』を召喚!シールドを攻撃!」
「『エナジオン』でブロックだ!」
 アルケーの切り札、『マーキュリー・ギガブリザード』がバトルゾーンに出て攻撃を仕掛ける。だが、五箇条のブロッカーは堅牢な防御でそれを防いでいた。
 五箇条のシールドは二枚。だが、二体の『ゴロンガー』と一体の『パラ・オーレシス』、三体の『テルス・ルース』が防御を担当し、攻撃の切り札として『ブルー・メルキス』が場に出ていた。
 アルケーのシールドは六枚。その内四枚は表向きになっていて、中身は『封魔フォルカロル』、『アクア・アナライザー』、『サイバー・ブレイン』、『アクア・ガード』だ。残りの二枚の内、一枚は『魂と記憶の盾(エターナル・ガード)』の効果で封じられた『ディープ・ジャグラー』。そして、もう一枚は『エメラル』の効果でアルケーが仕込んだカードだ。
 攻撃できるクリーチャーは『マーキュリー・ギガブリザード』のみ。パワー、能力、共に申し分ないが、ブロッカーに阻まれている。
「ここまで来ればもう安心だ。さようなら、アルケー。このターンと次のターンで私は勝利するよ」
「そうか……。私は次のターンで勝つ。そして、真実に到達する」
「何だと……?」
 アルケーの口から聞きなれない言葉を聞いた五箇条は眉をひそめる。
「それは、何かな?赤城勇騎の真似か?無駄な事を……!何っ!」
 五箇条は、そこでアルケーのやっている事に気付いた。彼女は今、静かな気持ちでデュエルをしている。言葉だけでなく、内面的なものも勇騎の真似をしているのだ。
「物真似?実におもしろい攻略法を考えたな、アルケー!だが、私は負けるつもりはない!これを見ろ!」
 五箇条は三体の『テルス・ルース』を使い、切り札の『ヴィーナス・ラ・セイントマザー』を召喚した。パワーでは『マーキュリー・ギガブリザード』に劣るものの、場を離れにくいという長所を持っている。
「まだブロッカーは三体。そして、切り札の登場!負ける要員は何一つない!」
 『ブルー・メルキス』が『サイバー・ブレイン』のシールドをブレイクする。そして、その効果を使おうとした瞬間、『サイバー・ブレイン』の輝きが消え去った。
「なるほど……。メテオバーンで呪文の効果を消したか……。取っておかなくていいのかな?」
「貴様に私のカードを使われる事の方が目障りだ」
 アルケーの回答を聞いた五箇条は、『ブルー・メルキス』を使ってもう一枚のシールドをブレイクする。そして、『ヴィーナス・ラ・セイントマザー』が動いた。表向きのシールドが一枚、二枚とブレイクされている。
「さて、最後にブレイクするのは君が仕込んだシールドだ。最後の一枚は、『ディープ・ジャグラー』だと判っている。どんな呪文が来ても、水文明のカードでは私を倒す事はできんがね!」
 最後のシールドはシールド・トリガーだった。『アクア・サーファー』が大波と共に現れ、『ブルー・メルキス』を場から消し去る。
「なるほど。しかし、ブロッカーが三体いるのだ。それに、私の手札には『ラルバ・ギア』が一枚ある。次のターンで攻撃可能なクリーチャーを『ヴィーナス』と『ラルバ・ギア』の二体に増やしシールドをブレイクして君に直接攻撃。ブロッカーでも防ぐ術はない。詰んだのではないか?」
「詰んだな」
 アルケーが抑揚のない声で言うと、五箇条は白衣のポケットを探る。
「ん……?そう言えば禁煙をしたのだった。こういう大勝利の時に吸えないというのは……いいものではない。禁煙はやめにするか」
「勘違いするな。私の勝ちが決まったのだ」
 アルケーは山札からカードを引く。召喚するのは、『アクア・ガード』だ。
「何をやっている?私のシールドは二枚だが、ブロッカーが三体も……」
 青い閃光と共に、三体のブロッカーは消えた。驚いて口を開けたまま、五箇条は何が起こったのか必死に考えた。
「ブロッカーを過信したな。この一枚が私を勝利に導いた」
 『アクア・ガード』が姿を変えたその一枚。その存在を五箇条は失念していた。
「『クリスタル・パラディン』……」
 場に出た時に全てのブロッカーを手札に戻す進化クリーチャー。これで、アルケーの攻撃可能なクリーチャーは『マーキュリー・ギガブリザード』、『アクア・サーファー』、『クリスタル・パラディン』の三体になった。
「『マーキュリー・ギガブリザード』でシールドをブレイク!」
 五箇条が一枚目のシールドを見る。
「食らえ!シールド・トリガー、『バリアント・スパーク』!」
 五箇条が小金色に輝くカードを宙に投げる。だが、水色の輝きによってその呪文の効果は消されてしまった。
「メテオバーンを忘れたわけではないだろう……?」
 妖しく笑うアルケーを見て、五箇条は観念するしかないと悟った。最後のシールドは『アクア・サーファー』だったが、一体戻しても意味はない。
「『クリスタル・パラディン』!五箇条一個を攻撃せよ!」
 下半身が馬のようになった騎士が女医に突撃する。最後の最後でアルケーの心が少しだけ緩んだのを、五箇条は見逃さなかった。
「これは……怪盗アルケー、いや、青海ゆかりか……。雨の中で何を見ているのだ?この青い霧は、まさか……!」
 五箇条が怪盗アルケーの秘密に迫った瞬間、『クリスタル・パラディン』の剣が彼女の腹部を突き刺した。同時に白い光が壁を破り、診療所の風景は消えていく。
「これで宿主の秘密に迫る者はいなくなった。青海ゆかりは目覚めた時にこの事をただの夢として捉えているだろう。私は、怪盗アルケー。私の正体に辿り着く者はいない……」

 電車の座席で眠っていたゆかりは、夢を見ていた。『球舞』の五箇条一個に自分の事を質問される夢だ。理由は判らないが、彼女はゆかりの事を怪盗アルケーだと思っていたらしい。五箇条が、ゆかりの片思いに気付いたところで、夢は別の場面に変わった。
 それは、幸せな記憶。ゆかりはそれを見ているだけだ。彼女の記憶ではない。
 一人の幼い少女が遊園地で楽しそうに遊んでいる。周りにいるのは、彼女の両親。そして、見た事がある人間が三人いる。
 呆れたように少女を見つめる小柄な女医。少女と同じようにはしゃぐ煙草チョコをくわえた黒い服の少年。少女と少年の行動を注意しつつ、一緒に遊んでいる巫女服の少女。
 少女の周りにいるのは『球舞』の人間だった。だが、彼らに邪悪な気配はない。当たり前だ。彼らは少女の友達なのだから。
 ゆかりは、中心にいる幼い少女の顔に見覚えがあるような気がした。だけど、思い出せない。
「お父さん、お母さん、みっちゃん、ごぉさん、ななちゃん……楽しいね!」
 少女の純粋な笑顔が見えた瞬間、ゆかりは目を覚ます。降りる駅はもうすぐだ。立ち上がろうとした彼女は自分の異変に気がついた。
「あれ……?おかしいな、何で涙なんか……」
 涙を流す理由などないはずだった。胸の奥底にある理解できない物悲しさを感じ、ゆかりは手で涙をぬぐった。

 新宿の駅ビルの中にあるスターバックスで、八百万八卦(やおよろずはっけ)は一人の男を待っていた。中でコーヒーを飲みながら、静かな時間を過ごしている。
「逃げずに来てくれたみたいだね……。意外だったよ」
 八卦の前に立つのは、金城豪人だ。宿敵同士の視線がかち合う。
「ここでは、人目が気になると思わないか?俺は、静かな方が都合がいい」
「奇遇だね。僕もどこかに移動するつもりだった」
 意気投合した二人は、新宿の街を歩き、とあるビルの屋上に立った。冬の風が二人に容赦なく襲い掛かる。
「金城豪人。『球舞』のメンバーにならないか?お前の実力なら、良い待遇ができる」
「お断りだよ。自分よりも格下の人間の部下にはなりたくないし、僕は自由が好きなんだ」
 豪人は『ネオウエーブ』を取り出した。八卦を倒す準備はできている、という意思表示だ。
「そうか……。俺はお前を高く評価していたんだが……。積極的に戦いを挑んできた事も意外だったな」
「自分から戦いを仕掛けるのは嫌いさ。だけど、羽山君達との約束がある。男の約束なんて、守る義理はないんだけど……今回だけは特別さ」
「口は軽いが、義理に厚い男のようだな。他の保持者と戦った時に、お前の勇姿は伝えておこう」
 八卦もデッキを取り出す。『球舞』との戦いを終わらせるために、豪人の決闘が始まった。

 第十五話 終

 第十六話予告
 姿を見せない九重九十九に代わって『球舞』を指揮する男、八百万八卦。愛のために生きる保持者、金城豪人。それぞれの思惑を胸に、二人の男が激突する。それと同時に、殺意に満ちた一夜と勇騎の戦いが始まっていた。
「負けられない、か……。その言葉は胸に秘めておくものだ」
 暗闇を裂くような戦いが、運命を終わりに向けて加速させる。
 第十六話 王手
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