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DM企業戦士 時任俊之助 第一話

第一話 出陣!超初心者!(前編)
 ――俺はこんなところで、何をしてるんだろう?
 とあるバーにて、まだ若い青年がグラスを傾けている。スーツを着ているので、サラリーマンだろうか?酒が飲めない彼のグラスに入っているのはウーロン茶だ。
 隣には、幸せそうな顔をして寝ているOLが一人。彼女は先ほどまで酒を飲みまくり、勝手に酔ってしかも寝てしまったのだ。連れの青年は曇り空のような気分になってきた。
 青年の名は時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)。S社という広告会社に勤めるサラリーマンで二十四歳。
 隣にいる連れの女性は相原文美(あいはらふみ)。今年、S社に入ったばかりの新入社員だが、時任以上に仕事ができる。気さくで、同僚からの受けもいい。
 『冴えない男多摩市代表』とまで言われる時任と人気者の文美が何故、夜のバーに二人で一緒にいるのか、きちんと説明すれば長くなるが、かいつまんで言ってしまえば簡単な事である。
 悩んでいた時任を文美がバーに誘ったのだ。
(この子、俺に気があるんじゃないのか!?)
 愛の告白が待っていると思って期待した時任だが、文美は時任の悩み相談をしてくれただけだった。しかし、それだけでも充分ありがたい。時任には、仕事の上で悩みがあったのだ。

「デュエル・マスターズ……ですか?」
 部長に呼ばれた時任が最初に発した言葉はそれだった。
「そうだ。君もN社は知っているだろう。今、次の取引で我が社と競っている相手だ。で、取引先がそのカードゲームで勝った方と取引しようと言うんだ。君は確か、これをやった事があったよね?」
「はあ……一応」
 とは言っても、正月に親戚の子供達の相手をしただけでルールなどまったく判っていないのだ。
「よし、ではカードゲームをやるのは君に任せよう!どうやら、デュエルとは日本語で決闘を意味するらしい。これはわが社とN社の決闘だ!がんばってくれたまえ!」
 最近、腹が出てきた部長は豪快にわっはっはと笑っていた。

 改めて、とんでもない事を言われたものだと思う。急いでカードを買い集めてデッキという物を作ったが、果たしてN社に勝つ事ができるだろうか?
「はぁ~」
 本日何度目かのため息がもれる。このまま、どこかに逃げてしまいたいものだ。
「浮かない顔だな。兄ちゃん」
 隣に座っていた中年の紳士が声をかけてくる。身なりも立派で服にも金がかかっているようだった。この紳士もかなりの量の酒を飲んでいるはずだが、まったく酔っていない。
「はあ、実は……」
 時任は紳士の雰囲気に飲まれてN社とのデュエルについて話した。
「その取引先はなかなかおもしろい事を言うな」
「僕にとってはおもしろくないですよ」
 時任はやけ酒のようにグラスを傾けるが、入っているのはウーロン茶だ。酔えるわけがない。
「だが、兄ちゃん。遊ぶって事は大事だと思うぞ。人間はな、どんないい仕事をしたかも大事だが、それ以上にうまく遊ぶ事が大事だ。それが人生を楽しむって事さ」
 何故だろう。普段だったら、笑い飛ばしてしまいそうな言葉だが、目の前の紳士の言う事は心に響いた。
 たかが、遊び。されど……遊び。
 一週間かけて必死に考えて作ったデッキはスーツの胸ポケットに入っている。やってみよう。
「うお~い、ときとぅ~もう一軒行くぞ~」
 時任が決心するのと同時に、文美の寝ぼけた声が夜のバーに響くのだった。

次回に続く(あれっ?デュエルしないの?)

次回予告
 決心して取引先に出向く時任の前に、N社のデュエリストが現れる。頼むぞ、時任。S社の命運は君のデッキにかかっている!
第二話 出陣!超初心者!(後編)
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