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『コードD』File.45 永遠の復活

『コードD』




 デュエル・マスターズ。
 それは、魔力によって生み出された四十枚のカードを使用する戦闘魔法の奥儀。
 これは、デュエル・マスターズカードを使って戦う若者達の『ウソのようなホントウ』の物語である。
 総一郎は彩弓と彩矢に征市が試作型の人造デュエリストである事、そして、二人が征市のバックアップのために作られた存在である事を語る。突然、突き付けられた事実に驚き、彩矢は征市達の前から去る。
 真実と彼女を守るために行動を共にしていた十也の前に永遠と念が現れる。十也は決別のために念に挑み、永遠は逃げようとする真実を追った。奮戦するも十也は念に敗北し、征市に見守られながら機能を停止する。そして、永遠の切り札が真実に襲いかかった。

  File.45 永遠の復活

 自分は作られた存在だった。自分の中にある感情も、内に秘めた想いも作られたものなのだろう。魔道書同盟に対抗するための切り札、相羽征市のバックアップとして作られた自分に最初から植えつけられていた感情だ。
 夢中になって走っている内に、彩矢の中で征市との思い出が溢れだす。その綺麗だったもの全てが張りぼてのように空しく感じられる。植えつけられた感情によって作られた偽物の思い出。それを壊して忘れてしまえたら、どんなに楽だろうかと考え、走る。
「好きじゃない!好きじゃない!多分、もう……好き、でいられない」
 俯いてしまう。いつもの自信に溢れた自分ではないようだ。否定したところで、自分の感情を消せる訳がない。だが、自分の感情を否定したかった。
 そう感じながら歩いていると、何かにぶつかって立ち止まる。ぶつかった相手に謝ろうとして顔を上げた時、彩矢は言葉を飲んだ。
「へぇ、こんなかわいい子にぶつかるなんて、運命って奴を感じるな」
 そこに立っていたのは相羽征市だった。彩矢は驚いてもう一度相手を見る。顔も声も征市と瓜二つだが、服が違った。目の前の男が着ているのは黒いタキシードだ。征市のトレードマークとも言える赤いブレザーではない。
「え、あの……ごめんなさい!」
 彩矢は何も考えられずに男の横を走っていった。征市の事ばかり考えていたから、征市の幻覚が見えたのか?そんな事を考えずにはいられなかった。
「いるはずない。それに初めて会ったみたいな事を言ってた……」
 自分の中にある感情。そして、新たに生まれた困惑を抱えながら彩矢は目的地も考えずに走り続けていた。

 自分にぶつかった少女の後ろ姿を眺めた後、男は歩き始める。
「運命、か。言う事が少し安っぽいかもしれなかったな。ま、オリジナルほどじゃないだろ」
 五分もせずに男は目的地である教会に辿りつく。教会に入った彼は、床に敷かれていた赤い絨毯をめくり、そこに隠されていた地下に向かうための階段を下りる。階段の先にある金属製の扉を慣れた手つきで開け、魔道書同盟の秘密基地に入った。彼が扉を開けた瞬間、部屋にいた幻と全が闖入者を見る。
「永遠様はいないのか」
 彼は部屋を見渡して、二人に聞こえるように呟く。「じゃ、ここにいる必要はないな」と、言って部屋を去ろうとした。
「あんた、待ちなさいよっ!」
 その背中に全の声がかけられた。タキシードの青年は面倒くさそうに振り返り、全を見る。
「あんた、じゃない。チェス駒のキングだ。それに、俺に命令する権利があるのは永遠様だけだ。お前らじゃない」
「君を作ったのは僕達だ。主の言う事には従うべきだと思うよ」
「ドラゴンボールの人造人間は自分を作った奴を殺したけどな」
 タキシードの青年は自分の言葉が面白かったのか、声を出して笑った。
「安心しろよ。お前達の命令を聞かないだけだ。殺すような事はしない。俺が殺す相手は相羽征市とトライアンフだ。そうだろう?お前達が倒したいけれど倒せない。柳沢研究所に残っていた相羽征市のデータの一部を移植して俺を生み出した。認めたくないけれど、その実力は認めざるを得ない。屈辱的だよな?」
「僕達を馬鹿にしているのか!」
 幻が激昂して、キングの胸倉をつかむ。キングは見下した目で自分を生み出した者達の一人を見ていた。
「事実だろ?だけど、俺が奴らを倒してすかっとさせてやるから安心しろよ」
 その言葉を聞いて、幻は腕を離す。彼の目はまだ、キングを睨み続けていた。キングは幻に背を向けると扉に向かって歩いていった。

 総一郎は、倒れていた真実を両手で抱きしめた。呼びかけても、返事はない。彼女はそのまま静かに黒い粒子となって消えていった。手放さないように強く抱きしめても無駄だった。総一郎の目の前で彼女は消え、その手に残ったのは黒い表紙の本だけだった。
 すぐ近くに永遠と念が立っている。総一郎は右手で魔道書を抱きかかえながらゆっくり立ち上がると、二人を見た。
「何故、俺から奪っていく?真実は、お前達の仲間だったはずだ」
「そうだね。でも、裏切ったじゃない。それに、総一郎から奪うのが楽しいんだよ。次はお前の命さ」
 永遠はデッキケースを持って笑いながら答える。間髪入れずに、念が自分のデッキケースを取り出して、前へ出ようとした。それを永遠が手で制する。
「永遠様!?」
「総一郎と戦いたいんでしょ。でも、いくら念でもボクの楽しみを取るのは許せないな。判ったら、黙ってそこで見てな」
「……御意にござります」
 主の言葉に頷いて、念は一歩下がる。腰の辺りで彼の右手が震えていた。永遠はそんな念を見る事もなくシールドを並べる。総一郎も叩きつけるような仕草で地面に五枚のカードを置く。それらは総一郎を守る赤いシールドとなって主の前に並んだ。
「ははは!行くよ、《スペース・クロウラー》だ!」
 《フェアリー・ライフ》でマナを増やした後、《スペース・クロウラー》を召喚して手札を増やす。三枚の中から最適な一枚を入手し、永遠は唇のはしをつり上げて微笑んだ。
「ブロッカーか。邪魔だな」
 総一郎は怒りを抑えて手札から、一枚のカードを引き抜く。彼が場に投げつけたそれは、炎を纏って場に出ると龍の形に変化した。《ボルシャック・NEX》だ。《コッコ・ルピア》を前のターンに出していたからスムーズにつながったのだ。
 《ボルシャック・NEX》は握っていた手を開く。そこから火の玉が飛び出し、《スペース・クロウラー》の体を貫いた。周囲を自由に飛び回った火の玉はファイアー・バードへと姿を変え、《ボルシャック・NEX》の前に立った。
「《ボッコ・ルピア》か。こんなとこじゃなくて、もっと後で使った方がいいんじゃないの?」
 総一郎が《ボルシャック・NEX》の効果で場に出したファイアー・バード《ボッコ・ルピア》は場にいるドラゴンの数だけ相手のブロッカーを破壊する能力を持つ。ドラゴンが多く入っているデッキなら、後半に出した方が強力な効果を発揮するカードだ。
「お前のデッキに多くのブロッカーが入っていないと考えた。ブロッカーを大量に並べるデッキなら、真実が負けるはずがない」
「へぇ、思ったより冷静。もっと挑発してやればよかったよ」
 永遠はカードを引きながら、過去の総一郎との戦いを思い出していた。
 総一郎と永遠が戦場で出会ったのは、大戦が終わる直前だ。接戦の末、念に勝利した総一郎は仲間を失った怒りをカードに込めて戦った。冷静さを欠いた攻撃的な戦い方だったが、それでも永遠を追い詰める事に成功した。倒すには至らなかったが、追い詰める事で『永遠の牢獄』に閉じ込める事ができた。
 あの時のように冷静さを欠いた総一郎なら勝つ事は可能だ。しかし、永遠でも冷静な総一郎を倒す事は難しい。
 《サイバー・ブレイン》での手札補充を終えた永遠のシールドを《ボルシャック・NEX》が砕いていった。
「冷静さと怒りは共存できる。今の俺は仲間の想いも真実の想いも背負っている。お前の野望をここで止めてみせる!」
「仲間の想いを背負っている?不愉快だよ」
 永遠は総一郎の言葉を聞いて唇の端を歪めた。
「ボクだって、ボクを作った人間達の想いを背負っている。だから、ボク達を生み出した主人達の怒りと憎しみを生きている人間全員にぶつけてやるんだ!」
 永遠が怒声と共に投げたカードから黒い手が伸び、《ボルシャック・NEX》の胴を殴りつける。《ボルシャック・NEX》はそのまま倒れていった。
「戦いのBGM代わりにいい事を教えてあげるよ。ボク達の主がボク達に何を託したのか。聞きたいでしょ?」
 そう言う永遠の顔はいつものような笑顔に戻っていた。しかし、その瞳には今まで以上の怒気が含まれている。
 総一郎も魔道書同盟がどうして人間を憎むのか、詳しい理由は知らなかった。彼が無言で頷くのを見た時、永遠の口が開いた。

 二号は玄関を出て、外を見ていた。しばらくすると中に入る。その後、一分もせずにまた外に出るのだ。
 征市達が家を出てから、落ち着けない。口ではうまく説明できないが、悪い予感がしていた。
『総一郎、征市、早く帰って来てくれよ』
 祈るように呟きながら玄関の近くで空を見上げていると、奇妙な黒い光が見えた。その光は二階の窓から出ている。あれは、総一郎が連れていた少女がいた部屋だ。
『何だよ!何が起こってるんだ!?』
 奇妙な光は、一分もせずに消えた。少女に何か異変があったのではないかと思い、二号は玄関に急ぐ。
 玄関に入ると階段から少女が降りてくるのが見えた。少女は真っ直ぐ玄関に向かって歩いてくる。
『駄目だ!どこに行くつもりなのか判らないけれど、行くんじゃない!』
 二号が少女の周囲を飛んで注意するが、少女は歩みを止めない。注意を聞かずに、扉を開けて外に出てしまった。
『まったく!悪い子だな――え……?』
 風が吹いて少女の顔を覆っていたフードがめくれる。その顔には、人間にあるべきものがついていなかった。目も鼻も口もない顔だった。
『に、人間じゃない……。総一郎はこんな奴を連れてたのかよ。何で……』
 二号は驚き、しばらく絶句したまま少女を眺めていた。しかし、少女を外に出すべきではないと考え、少女の前まで飛んで彼女の体を押し戻そうとした。
『ほら!帰るんだ!外は危ないぜ!』
「……邪魔」
 二号は少女が口を開くのを初めて見た。それと同時に、彼の体は見えない何かによって衝撃をくわえられたように飛んでいった。二号が突っ込んだのは、玄関だ。体中を打ち付けてしまい、痛みが走る。
『いてて……。動けねぇ……』
 少女を止める事は不可能だと悟った二号は、体を引きずって家の中に入った。征市に電話をかけるのだ。彼か総一郎なら、止められるかもしれない。
 このまま少女を放っておけば大変な事になる。二号はそう感じていた。
『そうなる前に止めてくれよ。頼むぜ、征市!』

「《ボルシャック・大和・ドラゴン》でとどめだ!」
 征市の命令と共に、《ボルシャック・大和・ドラゴン》の燃え盛る刃が防衛男を切り裂く。デュエルを終え、デッキを一度デッキケースにしまった征市はネクタイをゆるめながら周りを見た。冬だというのに、額には玉のような汗をかいている。
 防衛男以外にも、過去に全が作った怪人が何体か並んでいた。征市を邪魔するように、彼の周りを取り囲んでいる。
「魔道書同盟の奴ら、こんなので俺を倒せると思ってんのか?お前らじゃどれだけ集まっても俺には勝てねぇよ!そこをどけ!」
 征市が一喝しても怪人達はどく気配を見せない。彼の目の前にいたブリキ男がデッキケースを取り出したのを見て、征市もデッキケースからデッキを取り出した。
「こんなところで油売ってる場合じゃねぇんだよ!」
 シールドを並べながら周囲を見た。何度も戦った事がある怪人達で強さも判っている。この程度の怪人がどれだけ集まっても、自分を倒す事はできず足止めにしかならない事も判っている。
 だが、その足止めが厄介だった。征市と怪人達の間に力の差があっても、勝負が一瞬で終わる事はないのだ。
「この野郎!さっさと落ちろ!」
 征市の切り札がブリキ男を薙ぎ倒す。すると、入れ替わるようにして別の怪人が征市の前に立った。
「怪人のわんこそばか?そんなにいらねぇんだよ!」
 征市が叫んだその瞬間だった。黒と緑の光弾が征市のそばにいた二体の怪人を吹き飛ばした。そして、風と共に二人のデュエリストが征市の横に立った。
「セーイチさん、絡まれちゃってどうしたの?」
「僕達も手伝います!」
「陸……!湊……!」
 陸と湊はデッキケースからデッキを取り出し、五枚のシールドを並べた。光弾で吹き飛ばされた怪人はすぐに立ち上がりデッキを取り出すと彼らの前に向かう。
「悪い、二人とも。俺が行くための道を開いてくれ」
「あいよ、りょーかい!急ぐって事は、何かあったんだね?」
 陸の問いに征市は首肯する。仲間達にはそれだけで言いたい事が伝わった。
「じゃ、余計な時間はかけてられないな。さっさと行くよ!あの世で神様に懺悔しな!」
「哀しい器よ、眠りなさい」
 三人が目の前の敵と対峙した時、征市のポケットで携帯電話が鳴った。だが、征市はそれを取らずに目の前の敵に集中する。
「今、電話にかまっている余裕はない。こいつら倒してじいちゃんを追う!」
 その頃、デュエルに集中する三人を見る黒い影があった。キングだ。征市が怪人と戦い始めてからずっとその様子を見ていた。微動だにせず戦いを見守っていた彼は
「オリジナルの力ってのはこんなもんか。ま、怪人ごときじゃ倒せる訳がないな。だが、貴重なデータが取れた」
と言って征市達に背を向けて歩き出した。そして、一度立ち止まってこう言い残した。
「じゃあな、オリジナル。次にお前と会う時がお前の最期だ」

「ボク達が生まれた国は魔法の研究が盛んだった」
 戦いの手を休める事無く、永遠は自分達の過去について口を開いた。総一郎も魔道書同盟の過去について全てを知っている訳ではない。彼が知らなかった真実が、ついに語られ始めたのだ。
「優れた魔法使いがたくさんいて、魔法で他の国の奴らも幸せにしてやっていた。だけど、ジェネラル・ヴェルナーに滅ぼされた。これは知っているね?」
 永遠は過去を語りながらもカードさばきが鈍る事はなかった。切り札と言えるゴッドの片割れ《龍神メタル》を場に出してターンを終える。
「今まで恩恵を受けていながら、他の国の奴らがボクらの主達を助けてくれなかった」
 それを口にした時、初めて永遠の動きが止まる。双眸が総一郎を睨みつけた。震える声で彼女は話を続ける。
「ヴェルナーが怖い?奴の矛先を向けられていたボクらの主はもっと怖かったんだよ!ボクには判るさ!主達の気持がね!怒りも恨みも憎しみもボク達、魔道書同盟が全て受け止めているんだ!怖かった!許せなかった!何もかもぶち壊してやりたかった!」
 小さな子供が怒るような金切り声で永遠が叫ぶ。人類に対する怒りを全て総一郎にぶつけるように彼女は話していた。
「国を失った主達が自分達の魔法の全てとデュエル・マスターズに関する知識を書き記し、さらに新たな魔法の知識を自動的に学習する機能をつけた五冊の魔道書。それがボク達、魔道書同盟だ!人間を憎む理由はあっても愛する理由はない!」
「それが、真実を殺した理由か?」
「何度も言わせるな!姉さんはボク達を裏切って人間についたんだ。消えて当然だよ!」
 それを聞きながら、総一郎は叩きつけるようにしてカードを場に投げる。金色の光と火の粉をまき散らしながら《聖霊龍騎アサイラム》が場に現れた。
「永遠!ここで滅べ!」
「冗談じゃないよ!滅ぶのはお前だ!そして、人間達だ!」
 《メタル》の横に片割れの《龍神ヘヴィ》が現れる。二体の背中が融合し、つなぎ目に巨大な目が現れた。
「《ヘヴィ・メタル》!シールドを蹴散らせ!」
 永遠の命令を受け、《ヘヴィ・メタル》が叫び声をあげる。邪悪な龍神が黒と赤の翼を羽ばたかせると、総一郎を守っていた五枚のシールドの内、三枚が砕け散った。彼はそのカードに戻ったその三枚を手に取り眺める。
「お前を許す必要はないな」
「何言ってんのさ。許しを乞うのは人間達だよ。許すつもりなんかないけどね!」
 怒りを込めた視線を総一郎にぶつけたまま、永遠は口だけで笑う。腹に強い怒りを抱えながら、総一郎は手札の中から一枚のカードを出す。
「ブロッカー《白騎士の精霊レオニダス》を召喚する」
「今さら、そんなブロッカー?」
 永遠は馬鹿にした目で総一郎を見た。《白騎士の精霊レオニダス》は特殊な効果を持っている訳ではない。ただのブロッカーだ。《ヘヴィ・メタル》の攻撃を受け止める程度の事しかできない。
「そんなの出しても《アサイラム》は守れない。ボクの《ヘヴィ・メタル》の特殊能力があるからね!」
 《ヘヴィ・メタル》の融合部の目が怪しげな光を放つ。すると、その光に吸い寄せられるように《アサイラム》が《ヘヴィ・メタル》に向かってふらふらと歩き始めた。
 《ヘヴィ・メタル》は相手のクリーチャーに自身への攻撃を強制できるクリーチャーだ。パワーが低いクリーチャーを一掃する事ができる。
 だが、《アサイラム》は《ヘヴィ・メタル》に突撃する事はなかった。総一郎が投げた一枚のカードに吸い寄せられたからだ。そのカードは金色と赤の光を発しながら《アサイラム》と《レオニダス》を吸い寄せ、竜巻を起こす。《ヘヴィ・メタル》で勝利が決まると思っていた永遠は不安そうな顔でその竜巻を見ていた。
「これが俺の切り札。お前を裁く龍の姿だ!行け、《超聖竜(スーパーチャンプ)シデン・ギャラクシー》!!」
 竜巻を突き破って現れたのは赤い右半身と白い左半身を持つ切り札《シデン・ギャラクシー》だった。竜巻を突き破った勢いを維持したまま、《ヘヴィ・メタル》へ突撃する。
「まず、これで一つ!」
 《シデン・ギャラクシー》の体から赤い光が飛び去っていく。その直後、《シデン・ギャラクシー》の剣が《ヘヴィ・メタル》の目を切り裂き、融合を解除させた。融合が解けて《ヘヴィ》と《メタル》は苦しそうにうめく。
次の瞬間、《シデン・ギャラクシー》の剣が《ヘヴィ》の体を両断した。長い断末魔の叫びと共に《ヘヴィ》はその場から姿を消した。
「進化クリーチャーか。確かに《ヘヴィ・メタル》じゃ《シデン・ギャラクシー》のパワーにはかなわない。だけど、《ヘヴィ・メタル》はゴッドだ。破壊されても、片方が残っているさ!」
「お前……俺の切り札の真の力を忘れたのか?」
 永遠が総一郎の低い声に驚くよりも先に《シデン・ギャラクシー》が動いた。持っていた剣が生き残った《メタル》に突き刺さる。
「そんな……どうして……?」
 倒れて行く《メタル》と総一郎を交互に見ながら永遠が呟く。
「俺の切り札、《シデン・ギャラクシー》はメテオバーンを持つ進化ボルテックスクリーチャーだ。攻撃時に進化元のアーマード・ドラゴンを捨てれば、二回攻撃ができる!」
 《シデン・ギャラクシー》は永遠に剣の先を向けた。それは、必ず倒すという総一郎の意思表示のようなものでもあった。
「まだだよ。まだボクには打つ手がある。《ストーム・クロウラー》を召喚!そして、《ヘヴィ》の効果で《ストーム・クロウラー》と総一郎の《シデン・ギャラクシー》を破壊!」
 新しい《ヘヴィ》が場に出た瞬間、黒い風が《シデン・ギャラクシー》を包む。強力な切り札であっても、除去に耐えられる強さはない。《ヘヴィ》の能力で炭のように黒く変色し、粉々に砕けてしまった。
「それでも俺は負けない!《セイント・ボルシャック》を召喚!」
 エンジェル・コマンドのような鎧を纏った龍《聖霊龍騎セイント・ボルシャック》が総一郎のカードから場に出る。そして、その勢いを緩めずにシールドに突進していった。
「《セイント・ボルシャック》はスピードアタッカーだ。さらに攻撃時のパワーは13000に到達する。《ヘヴィ・メタル》でも倒す事ができる!」
 炎を纏った《セイント・ボルシャック》の爪が永遠のシールドを貫いた。勝利を確信して総一郎の頬が緩む。
「あれ?油断なんかしていいのかな~?」
 砕かれたシールドが永遠の手元に飛んでいく。永遠は笑い声をあげながら、右手でその中の一枚を上空へ弾いた。空に浮いたそのカードが黒く光り、空中に巨大な魔方陣を作り出した。
「シールド・トリガーか!?」
「そうさ。《インフェルノ・サイン》だ!」
 《インフェルノ・サイン》によって作り出された魔方陣から《メタル》が姿を現す。そして、《ヘヴィ》と《メタル》は融合し、永遠の場に再び《ヘヴィ・メタル》が並んだ。
「《セイント・ボルシャック》も《シデン・ギャラクシー》もボクの《ヘヴィ・メタル》にとっては強敵だよ。だって、どっちが攻撃してきても《ヘヴィ・メタル》は倒されちゃうんだから。でもね……。それは《ヘヴィ・メタル》だった時の話」
 永遠の指が手札から一枚のカードを引き抜く。
 その行動を見た総一郎の右足が一歩後ろに動いていた。彼が意識して動いたのではない。本能的な恐怖が彼を内側から動かしたのだ。久しく忘れていた恐怖が彼に襲いかかる。過去の戦いで嫌と言うほど味わった、死と隣り合わせの恐怖が。
「これが姉さんを殺した切り札。そして、今からお前を殺す切り札。ボク達の邪魔する者を全て殺して人間達全員に恐怖を与えて消し去る切り札!」
 永遠の指がマナゾーンのカードをタップしていく。そして、彼女の手で光り輝く切り札に一つずつマナが吸い取られていった。マナを一つ吸収する度に、カードの光が強くなっていく。
「《破壊神デス》召喚!!」
 空が暗雲に包まれる。そして、稲光と共に黒い雲の中から腕組みをした巨大なクリーチャーが降って来た。
 外見を例えるなら、それは人間が想像した悪魔と神を掛け合わせた存在というべきだ。羽に埋もれた腕を組み、上空から見下すような目でその場を見ている。
「あはははは!どうしたの?怖いの!?ボクの切り札がそんなに怖い!?」
 永遠が腹を抱えて笑っているのを見て、総一郎は自分が汗をかき、体中が震えている事に気がついた。見ると、総一郎だけでなく、念も青い顔をしている。永遠の味方である彼もこのクリーチャーに怯えているのだ。
「無理もないか。前の大戦でボクが使ったのは《ヘヴィ・メタル》だけで、《デス》までは入っていなかった。人間に閉じ込められている時に、ボクは切り札を進化させたんだよ!」
 突如、融合していた《ヘヴィ》と《メタル》が二体のクリーチャーに分かれる。すると、それらのゴッドは《デス》の翼に吸い寄せられるように飛んでいった。
「どういう事だ!?何が起きている?ま、まさか……!」
「そうだよ。君の想像は当たっている。《ヘヴィ》と《デス》と《メタル》は三体で融合する事ができる!」
 分離した《ヘヴィ》と《メタル》は、《デス》に引き寄せられるように飛んでいった。そして、空中で三体のクリーチャーは融合し始める。《デス》を中心に右翼に《ヘヴィ》が、左翼に《メタル》が取りついた。《デス》とそれぞれのゴッドが融合した箇所には、《ヘヴィ》と《メタル》が融合した時のような巨大な目が現れる。
 その目は、総一郎の場にいる《セイント・ボルシャック》を見ていた。
「楯突く者には死を。《ヘヴィ・デス・メタル》!!総一郎の全てを滅ぼせ!」
 三体が融合したゴッド《ヘヴィ・デス・メタル》はゆっくりと地上に降りる。それと同時に巨大な二つの目から幾筋もの黒い光線が発射された。音も無く連射されるそれらの光線は《セイント・ボルシャック》の腕や脚を貫き、勢いを止めずにシールドまで到達した。《セイント・ボルシャック》の肉体が跡形もなくなっても、光線の連射は止まらない。
「《セイント・ボルシャック》を貫き、シールドまで攻撃できるのか!?」
「いや、ちょっと違うね。《ヘヴィ・デス・メタル》は三体が融合するのと同時に相手のゴッド以外のクリーチャーを全て破壊する事ができる。その効果で《セイント・ボルシャック》を殺したのさ。そして……」
 説明をしている永遠の指が総一郎のシールドを指す。残されていたシールドは《ヘヴィ・デス・メタル》の攻撃によって穴だらけになっていた。
「ワールド・ブレイカー。つまり、一度の攻撃で相手シールドを全てブレイクする事ができる。それに、《ヘヴィ》が持っていた攻撃を強制させる能力だって持っている。しかも、三体がリンクした《ヘヴィ・デス・メタル》は呪文や能力によって選ばれない!」
 破られたシールドを手札に加えた総一郎の顔が少しずつ青くなっていく。《ヘヴィ・デス・メタル》の圧倒的な能力を説明される度に、絶望的な気持ちが心の中に広がっていくのだ。
「この切り札があれば、ボクは絶対に負けない。人間が抵抗してくるかもしれないけれど、こいつで皆殺しにしてやるよ」
 永遠の言葉は総一郎の耳に届いていた。だが、それに反応する事はできない。青ざめた顔で自分の手札を見ている。真実の魔道書を握る右手に少しずつ力が加わり、震えていた。
「ねえ、念」
 永遠に声をかけられた念は、今まで自分が動ける事をまったく忘れていたような奇妙な感覚を覚えた。永遠の言葉によって、初めてこの場で動く事を許されたようなそんな感覚だ。
「あんなのが、念の求めていたライバルなの?もう、見る影もないくらいボロボロだよ!ボク達を相手に戦った連中の一人とは思えないね!」
「……はい」
 返事に困った念は一言だけ返す。それが永遠の満足する返答だったのかは判らない。彼女は総一郎を見て最後の一撃を放つために動いた。
「終わりだよ、総一郎。お前と人類の終わり。全ての終わりの始まり!」
 《ヘヴィ・デス・メタル》の巨大な目に黒い光が集まっていく。数秒経ってから、二条の黒い光線が発射された。

 息も絶え絶えになった征市が見たのは、二条の黒く太い光線とそれを受けて吹き飛ばされる祖父の姿だった。征市はそれを見て、倒れて行く総一郎の元へ駆け寄る。
「じいちゃん!」
 征市は倒れた総一郎を抱き起した。同時に、彼の腕の中で祖父はせき込み、口から息と共に赤い血が噴き出す。それを見て、征市は何をすればいいのか判らなくなった。
 早くしないと祖父が死んでしまう。先日、自分の前に戻って来て、ようやく自分を認めてくれた祖父がいなくなってしまう。たった一人の家族がいなくなってしまう。
 どす黒い絶望ばかりが心の中に溢れて、どうすれば総一郎を助けられるのか、その方法が思いつかない。救急車を呼ぶという当たり前の事さえできずにいた。
「やっと来たね、征市君!夢の中では何度か会っているけれど、実際に会うのはこれが初めてだね!ボクが魔道書同盟のボス、永遠だよ。総一郎ばかり見ていないで、ボクも見てくれないかな」
 高い声が耳障りだ、と征市は感じていた。反応がない征市を見て、永遠は再び口を開く。
「総一郎。これで判ったよね?人類で最も強いデュエリストは、今、ボクに負けた。人類でボクに勝てる奴はいないって事だよ。そして、ボクの計画の準備も整った。ボクの計画を知ったから、日本に戻って来たんでしょう?ボクの計画に必要な征市君を守るためにね!」
「知られて、いた……か」
 かすれるような声で総一郎が答える。だが、その目は虚ろで永遠を見る事ができなかった。
「計画に必要って……どういう事だよ!」
「それはね。……ん?」
 説明をしようとした永遠が頬に指を当てた瞬間、彼女の横に小さな人影が現れた。征市はその姿と顔を見て愕然とする。
「あいつ……じいちゃんが連れてきた子か?でも、何で顔がないんだよ!?」
 その少女の顔を見て、征市は思い出す事があった。トライアンフに入る直前に起こった仮面のプライズの事件だ。征市はあの事件で、人間の顔にのっぺらぼうのような形で寄生する仮面のプライズの親玉を退治した。そして、機能を停止した仮面のプライズを運んだ。
 機能を停止してトライアンフアメリカに保管されていたはずの仮面のプライズが活動を再開していて、祖父が連れてきた少女の顔を覆い隠している。その事実に征市は困惑していた。
 永遠だけは何もかも理解しているらしく、少女の顔に手を伸ばした。
「やっと来たね。こんなちゃちなプライズで魔力を封じ込めていたんだ。判らないわけだよ」
 少女の顔に触れていた永遠の右手が紫色の光を発する。それと同時に、少女の顔を覆っていた仮面のプライズがひび割れて行く。細かくひび割れた仮面は少しずつ地面に落ちていった。そして、完全にそれが砕けた瞬間、少女の顔を見た征市は息を飲んだ。
「永遠と……同じ顔だ」
 隠れていたのは永遠と全く同じ顔だった。目を閉じている少女の頬に手を当てたまま、永遠は笑う。
「ボクだ!ボクの体だ!憎い敵が二人死んで!征市君が目の前にいて!ボクの体がある!今日は何て運がいい日なんだ!ボクの計画に必要なものが全部揃って、ボクの計画に邪魔なものが全て死んだ!さあ、人類への復讐劇の始まりだ!」
 突然、永遠と少女の姿が黒い光に包まれる。あまりにも眩い光で、征市も念も目を閉じてしまった。しばらくして目を開けると、そこに立っていたのは永遠一人で、少女の姿はなかった。
 残った永遠の姿に変化はない。しかし、彼女の周りを流れる空気が一変していた。彼女の周りの空気だけが、無尽蔵に溢れる魔力によって変質しているように、征市には思えた。
「どういう事だ。お前ら、合体したのか?」
「そうだよ。魂と体に分かれていたボク達が完全に一体化したのさ」
 永遠は低い声で笑うと、右手でデッキケースを持ち、征市にそれを突き付ける。しかし、永遠の右手でデッキケースは音を立てて砕ける。砕けたデッキケースからこぼれ落ちたカードを拾おうとして永遠がしゃがむと、カードは灰になって風に流されていった。
「今のボクじゃ、魔力に耐えられないカードは使えないって事か。じゃ、ちゃんとしたデッキを作らないと」
 立ち上がった永遠の顔は意外な事に笑顔だった。征市を倒せない事への不満を感じているようには見えない。
「ボクの体が手に入ったんだ。焦る事はないさ。近い内に征市君も、トライアンフも、人類も全て最期の時を迎える。楽しみだね。だから、楽しみは取っておかなくちゃね!」
 永遠は征市達に背を向けると、念に「行くよ」と言って歩き始めた。念は何も言わずにその背中を追う。
「征……市」
 総一郎の声を聞いて、征市は我に返る。総一郎は孫に手を伸ばしていた。震えるその手には、一枚のカードが握られている。
「じいちゃん、しゃべるな!今、救急車を呼ぶから!」
 ようやく、自分がやるべき事を思い出し、征市は携帯電話を取り出す。だが、それを遮るように総一郎が彼の腕を掴んだ。
「時間がない……。よく、聞け。お前は……永遠と戦ってはいけない」
「何で……。何で、戦っちゃいけないんだよ!」
「いけないんだ……。お前が戦ったら……人類は永遠の計画によって最期の時を迎える。だが……」
 総一郎は征市に一枚のカードを握らせると、満足したように目を閉じた。
「だが……永遠に勝てれば、計画は阻止でき、る……。征市、未来を……頼、む……」
 総一郎の手から、力が抜けた。祖父の体を抱いていた征市は、その体がとても軽いものになってしまったように感じた。そして、陸と湊が来るまでそのまま動かずにいた。

 総一郎の葬儀が行われたのは数日前の事だった。突然、戻って来て、すぐにいなくなってしまった祖父は、もう征市の元には戻ってこない。どうして、戻ってこないのか、そればかりを考える日々が続いていた。
 暗い部屋で灯りも点けずに征市はテーブルの木目を見ていた。仲間がやって来てにぎわう事もあったこのダイニングが、今だけはひどく広く感じる。
 総一郎が死んでから生きるために必要な最小限の事だけをする生活をしていた。失ったのは総一郎だけではない。十也も念に倒され、真実も敗れて魔道書の姿になってしまった。たった一日で多くのものを失ってしまった。
『征市、そろそろ寝ろよ。いつまでも、起きていると体に悪いぞ』
「ああ」
 征市の事を思って言っている二号の言葉にも、機械的な感情のない相槌しかできない。征市は、自分の心の中が空虚なものになっているのを感じながら、ネクタイを取って立ち上がった。
「永遠の奴、来ないな……」
 自分の本当の体を手に入れて喜んでいた永遠は、未だ姿を見せる様子はない。まだ、彼女が使えるようなデッキができていないのかもしれない。そんな事を考えながら廊下を歩いていると、征市の視界に一人の男の姿が映った。
「よう、クソオリジナル。暗い顔してんな」
「俺の偽物……?いや、チェス駒のプライズか」
 征市の前に立っていたのはタキシードを着て腕組みをしている男だった。奇妙な点があるとすれば、自分と同じ顔をしている事くらいだ。その事から、征市は以前、自分達が戦ったチェス駒のプライズを思い出したのだ。
「ご名答。察しがよくて助かるぜ」
「チェス駒のプライズごときで倒せるとか思われてんのか。嘗められたもんだな。確かに、今の俺はボロボロだけど、こんな奴に負ける気はしない!」
 怒気を孕んだ口調で告げた征市の言葉を聞いて、チェス駒のプライズの男――キングは眉を動かす。
「チェス駒のプライズごとき?お前、俺を幻の奴が使ったザコキャラと勘違いしてるんじゃねぇのか?俺はあんな奴らとは違う!チェス駒のキング!つまり、王だ!永遠様の隣で、永遠様のためだけに戦うと誓った最強のプライズだ!」
「何が最強だよ!今の俺は機嫌が悪いんだ。覚悟しろ!」
 征市がマッチを擦ると、炎から赤い革のデッキケースが現れる。五枚の赤いシールドが並んで準備が終わった。
だが、それを見てもキングは準備をしない。彼はポケットからデッキではなく、掌に収まるくらいの瓶を取り出すと床に叩きつけた。すると、床から茶色い煙と共に数体の怪人が飛び出してくる。
「お前の相手はこいつらだ。俺じゃない」
「逃げるのか!臆病者!」
「憶病じゃねぇよ。これも戦略だ」
「何を言って――」
『征市!大変だ!』
 ダイニングから二号が勢いよく飛んでくる。そして、現状を目の当たりにして
『なんじゃ、こりゃ!何で、怪人がこんなところにいるんだよ!?』
と、叫んだ。征市は二号を見ずに目の前の怪人とのデュエルを始める。
「どうしたんだよ、二号!怪人なんか、すぐに倒してやるから慌てるな!」
『落ち着いている場合じゃねぇよ、征市!火事だ!家が燃え始めてる!』
 それを聞いて、征市は振り向き、二号を見た。
「火事って、どうして?」
『判らねぇよ!とにかく、燃えてるんだ!』
「まさか……!」
 征市はキングを見る。彼は歯を出して笑っていた。
「怪人なんかじゃ、時間稼ぎくらいにしかならない。そんな事は判っている。だけど、お前の逃げ場を奪う時間は充分に稼げるはずだぜ」
「馬鹿言え!それでも、俺は――」
「デュエルをしている間は結界があるから、それで守られている。それに、いざという時はデュエル・マスターズカードで壁を作って炎から身を守るっていうんだろう?だが、それも無理だ」
 キングは征市の反論を遮って説明を続ける。
「デュエル・マスターズカードはお前の体を外敵の攻撃から守る役割は果たしても、酸素は作ってくれない。お前は焼け死ぬんじゃない。一酸化炭素中毒で死ぬんだ」
 キングはそう言い残すと、征市に背を向けて去って行った。
「待て!」
 そう言って、追いかけようとする征市の前に怪人が召喚したクリーチャーが立ちふさがる。それを見ながら征市は手札からカードを引き抜いた。既に焦げ臭いにおいが鼻を刺激している。
「急ぐしかねぇ!何とかして生き残る!生き残って……」
 征市は自分の言葉に驚いた。生き残ったとして、何をするのか。自分にとって唯一の家族である総一郎はもういない。それなのに、生き残る事に意味があるのか。
「生き残って……それから、俺は何をしたいんだよ……?何をすればいいんだよ……」
 征市の手からカードがこぼれ落ちる。
『何やってんだ!戦え、征市!戦わないと死んじまうんだぞ!』
 二号の声をも征市には届かない。近づいてくる火の気配を感じながら、征市はフローリングの床を見つめていた。

 『File.46 彼女達の想い』につづく
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