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『決闘暴走議事録デュエマのダイゴみ外伝 スゴイよ!!タダオさん』第一話

『決闘暴走議事録デュエマのダイゴみ外伝 スゴイよ!!タダオさん』

制作:無双竜機学園生徒会(とその知り合い)

都内某所にある私立無双竜機学園高校。
それが僕、一ノ瀬(いちのせ)タダオが通っている高校の名前です。
個性溢れる生徒達がたくさんいて、毎日楽しい学校生活を送っています。
そんな生徒達をまとめるのが、僕も所属している生徒会です。
学園一の書道の達人、闘魂堂(とうこんどう)テツノスケ先輩。
暴食にして言語のエキスパート、ワンコことワン・チャン先輩。
絶対に強い学園最強の女生徒、不死鳥座(ふしちょうざ)ミヤビ先輩。
そして、生徒会長で極神寺(きょくしんじ)グループの総帥、極神寺ダイゴ先輩。
これは、僕達生徒会の愛と涙と勇気の物語です。是非、見て泣いて笑って下さい。

20XX年 某日 一ノ瀬タダオ

第一話 アイエエエ!?新たな強敵は甘味あっさり!

「遅刻だー!」
今、慌てふためきながら廊下を全力疾走している生徒の名は一ノ瀬タダオ。どこにでもいるような高校一年生の男子生徒だ。放課後、毎日のように行われている生徒会の集まりに遅れそうになっているため、全速力で生徒会室に向かっている。ふと左手首につけた腕時計を見ると、時計の針は三時二十九分を指していた。今日の会議の時刻まであと一分しかない。時間を再確認したタダオはその顔を青くした。
「いっそげー!遅れたらタダじゃすまないよー!」
必死の形相で階段を駆け上がり、廊下を走る彼の速度はとんでもないものだった。陸上部の生徒が思わず、目を留めてしまうほどだ。
「ひーっ、あと三十……、二十五……、もうちょっと!」
タダオの視界に生徒会室の扉が入る。手前でブレーキをかけると転びそうになりながら扉に手をかけた。
「失礼しますっ!間に合った!」
肩で息をしながらタダオは生徒会室の中を見る。勢いよくドアを開けた生徒を、八つの目が見ていた。
「遅いわよ、一ノ瀬さん」
「ああ、すいませ……、ってええ!?」
タダオは自分を注意した生徒を見て、思わず大声を挙げる。部屋の奥にある椅子に座っているのは彼が知っているいつもの生徒会長ではなかった。そこにいるウエーブがかった銀髪の生徒は間違いなく、彼が知っている極神寺ダイゴではなかった。
赤い口紅をひいて化粧をしている。着ている制服も女子生徒用のものだ。元々外見がいいだけに女装した姿も恐ろしいくらい似合っていた。
本来は男子生徒のはずの生徒会長、極神寺ダイゴは真正面からタダオの顔を見据えている。その顔はふざけているようには見えない。
「え?なんですか、それ?失敗したコスプレ?」
「そんな大声を挙げるものじゃないわ。一ノ瀬さん」
驚いて瞬きを繰り返すタダオの横から別の声がかけられる。それもよく知った声だが、声の主はタダオが見た事もないとんでもない服装をしていた。
「ええっと……、テツノスケ先輩、ですよね?」
生徒会室の一角を占領して畳を敷き、その上で半紙の上に筆を滑らせる。それが闘魂堂テツノスケという男だ。その行動だけ見ると、そこに座ってタダオを注意した人物とテツノスケは一致する。だが、そこにいるのはタダオに記憶にあるテツノスケとは違った。男らしい短い黒髪は長く艶やかなストレートロングになり、書道をする時に着ている作務衣の代わりに紺色の着物を着ていた。よく見ると書いている文字も『巨乳』ではなく『イケメン』になっている。
「テツノスケって誰?テツコちゃんをそんな男の子みたいな名前で呼んじゃ駄目よぉ~」
奥にいる女生徒の内、一人が甘えたような声で注意する。その手には女子高生らしくない焼酎お湯割り梅入りが入ったグラスが握られていた。
彼女は不死鳥座ミヤビ。三年生だが、二年留年したため年齢は二十歳だ。そのため、飲酒自体は違法ではない。豊満なバストと圧倒的なスタイル、学校で飲酒というモラルのなさを兼ね備えた無双竜機学園の女帝である。
彼女をよく知らない人物ならば、女子高生らしくない焼酎お湯割り梅入りというミスマッチに驚くかもしれないが、生徒会のメンバーならばそれはいつもの事としてスルーしている。
「テツコちゃん!?」
聞き慣れない名前を聞いてタダオは思わず声を出す。その表情を見て溜息を吐いた女生徒が言った。
「タダオ、初めてテツコの名前を聞いたような声を出すもんじゃあないお。生徒会室に入って来た時から、ダイコとテツコを変な目で見ている気がするお」
この語尾が特徴的な少女の名は、ワン・チャン。中国系アメリカ人の二年生だ。自分の事を『ワンコ』と呼び、周囲の人間にも自分をそう呼ぶように言っている。生徒会の中では最も小さい女生徒でキャンディの包み紙を彷彿とさせるような頭頂部の大きなリボンを含めても身長は百四十センチに満たないほどだ。
「え?で、でも?」
「それよりも一ノ瀬さん、その服装は何かしら?そんなものは我が無双竜機女学院にふさわしくないわ!」
立ち上がったダイゴ、いや、ダイコは集中線が引かれそうな勢いでタダオをびしっと指して言う。デスクの下に隠れていてよく判らなかったが、下はスラックスではなくスカートだった。
「え?女学院って何で……」
「確保よ、テツコ!」
「命令するんじゃないわ、ダイコ!」
言葉では拒絶しているテツノスケ、いや、テツコだったがその行動は素早い。あっという間に戸惑うタダオの背後に周り、彼を羽交い締めにしていた。
「何をする気なんですか!」
「強制着替えよ!その綺麗な男子制服をフッ飛ばしてやるわ!」
「げぇっ!」
ダイコは怪しげな笑みを浮かべ、手に女子用の制服を持って近づく。周囲を見るとミヤビとワンコが期待した表情でタダオを見ていた。
「何でそんな目で見てるんですか!誰か止めて下さいよ!」
「観念しなさい、一ノ瀬さん!生徒会役員たるもの、服装も全校生徒の模範でないといけないわ!男装なんてもってのほかよ!」
「嫌だーっ!」

「嫌だーっ!」
タダオが大声を出すとそこは見慣れた生徒会室だった。先ほどと同じように八つの目がタダオを見ている。
「何が嫌なのか説明してもらおうか」
そう言って正面からタダオを見据えるのは生徒会長の極神寺ダイゴだ。今の彼は女装していない。無双竜機学園男子用制服のブレザーに身を包んでいる。ウエーブがかった銀色の長髪もいつも通りだ。形の整った彼の顔が心なしか怒りに染まっているように見える。
「あ、あれ……?会長がいつもの会長だ」
「何を寝ぼけてるんだお」
呆れた顔をしながらワンコが言う。
「そんなに嫌って事は貧乳の女が大量に出てくる夢でも見たんじゃねえのか」
それに続くのはテツノスケだ。生徒会室の端で書道をしている。さっきまでタダオが見ていたテツコと違う、黒く短い髪と紺色の作務衣の姿。いつものテツノスケだった。
「夢……?あ……っ!」
覚醒したての頭がようやくまともに動き始める。さっきまでの非現実的な出来事は全て夢だったのだ。
タダオは徹夜で会議の資料を作っていたのだ。会議に資料が間に合ってほっとしたせいか、眠気に負けてしまったのだ。そのせいで居眠りをしてしまった。
「大丈夫よ、タダオ君!どんな悪夢も焼酎お湯割りを飲めば一発で忘れられるわ!」
「未成年に酒を薦めないで下さいよ!というか、会議中なのに飲まないで下さいって!」
「何かあったのか心配したが、このツッコミの切れ味、いつものタダオのようだな。」
タダオは居眠りをして忘れかけていたが、今は会議中だ。タダオは改めて気を引き締めて周りを見た。
「今回の議題は、先日、俺達が打ちのめした暗黒生徒会についてだ。俺が知る限りでは、あれ以降、奴らは大人しくしている」
「そうだな。うちの生徒と仲良く校内を歩いている姿をよく見かけるぜ」
「ワンコもこの前、一緒に学食でごはんを食べたお」
「気がいい子ばかりよね~。焼酎は飲んでくれないけれど」
暗黒生徒会とは、突如、無双竜機学園の地下から現れた闇の住人達である。世界を闇で支配する事を考えていたが、生徒会との死闘の末、それを諦めた。今では、普通の生徒として無双竜機学園で学生生活を送っている。
「さて、次の議題だが……」
「たのもー!」
聞き慣れない声と共に扉が開き、二人の女生徒が入ってくる。どちらも無双竜機学園のものではない制服だ。
一人は長くて綺麗な銀髪の女生徒だ。背が高くモデルのように整ったスタイルである。幾分か聡明さを含んだ勝ち気そうな瞳でダイゴを見ていた。口元は右手に持っていた高級そうな扇子で隠している。
「うわ……」
タダオの口から、思わず感嘆の声が漏れる。彼は、この学園に入学してから美男美女は多く見てきた。だが、部屋に入って来た女生徒ほどのルックスの持ち主を見るのは久しぶりだった。
ルックスに驚くのと同時に、タダオの脳裏に引っかかるものがあった。彼はどこかでこの美少女の姿を見ている。それを思い出すため、タダオは目を凝らして彼女の姿を見ていた。
「タダオ、お前も気になるのか」
声をひそめたテツノスケがタダオに近づく。彼も何か引っかかるものがあるらしく、注意深い目で来客の姿を見ている。その鋭い眼光に驚きながらタダオが聞く。
「ええ、テツノスケ先輩もですか?」
「当たり前だ。見ろよ、あのバスト!すげぇ!ワンダフル!ビューティホー!!」
「あー……」
それを聞いて、タダオはテツノスケの性的嗜好を思い出した。テツノスケが真剣な目で見ていたのは彼女の胸だ。確かに、テツノスケが認める程に豊満である。
「アヤメ、それでは道場破りだ」
一緒にいたショートの黒髪の少女が覚めた口調で言う。同時に鋭い切れ長の目で生徒会役員を見ていた。それは、少ない時間の中で相手の能力を見極めようとする注意深そうな視線でもあり、悪く言えば値踏みでもするような目でもあった。
「並みか」
「並みだな」
ダイゴとテツノスケは冷めた顔で黒髪の少女の胸を見つめる。それに気付いたワンコは「二人ともサイテーだお」と呟くのだった。
「似たようなものよ、シノブ。私はこの生徒会に……、いえ、極神寺ダイゴに宣戦布告をしに来たんですからね!」
連れの少女に対してそう言うと、銀髪の女生徒はダイゴを指して宣言する。
「無双竜機学園生徒会長、極神寺ダイゴ!この私、帝凰(ていおう)女学院生徒会長神河(かみかわ)アヤメとデュエマで勝負しなさい!」
「帝凰女学院?思い出した!会長、この人は帝凰女学院の生徒会長だけでなく、『カミカワ』ブランドを作り上げた若い社長さんですよ!」
タダオは今朝、母が目の色を変えて見ていたニュースの内容を思い出した。そのニュースでは婦人服のブランド『カミカワ』の新作発表会を取り扱っていた。『カミカワ』は数年前に立ち上げられた婦人服のブランドで瞬く間に勢力を拡大していった。日本で知らない者はいないほどになり、世界でも名が通じるほどだ。
「改めて自己紹介をさせてもらおう。私達は帝凰女学院生徒会役員だ。彼女は生徒会長の神河アヤメ。私は副会長にして学園くのいちの半蔵門(はんぞうもん)シノブだ」
「学園くのいちって何ですか!」
「その飴ちゃんは私特製よ!よく味わって食べなさい!」
「質問に答えて下さいよ!」
タダオの質問に答えずにシノブは丁寧に名刺と一口サイズの飴を差し出す。それらを受け取ったテツノスケ達は「あ、これはどうもご丁寧に」と言ってそれらを受け取った。
「ヒュー、ただのボインちゃんじゃねえって事か」
「わーい、この飴すっごくおいしいお!」
「若くして社長さんなんてすごいわね!うちのダイゴ君みたいじゃない!」
生徒会メンバーに注目され、アヤメは得意そうな顔をしていた。そして、自身もシノブから飴を受け取り、口の中に放り込む。
「そうよ!その勢いでもっと褒めたたえなさい!」
「今日は一体、何の用で来た?まさか、わざわざ褒められるためだけに来た訳でもあるまい」
「そうよ!本来の目的は別にある!」
アヤメは鋭い目つきでダイゴを睨みつける。ダイゴは不敵な表情でその視線を受け取った。
「極神寺ダイゴ!私があなたを超えた存在である事を証明しに来たわ!」
「だから、デュエマで勝負か。判りやすくていいな。相手になってやるから表へ出ろ!」
「望むところよ!」
二人は互いに睨み合ったまま、生徒会室を出る。そして、窓を開けると二人同時に校庭に向かって飛び降りた。それを見た生徒会役員は二人を追って窓から下を見た。
「げぇーっ!会長はともかく、アヤメさんまで飛び降りるなんて!」
「うわっ、そっちの会長さん結構大胆!下着が見えちゃったらどうするのかとか気にならないのかしら」
「案ずるな、アヤメは飛び降りる時にそんなヘマはしない。我々の完璧な生徒会長だからな」
窓から飛び降りた二人を冷静な目で見たシノブは、窓から二人を追う事もなく普通に廊下を歩いて外へ向かった。
「くのいちなのに、忍者らしく飛び降りたりとかしないんですね」
「くのいちだったら、窓から飛び降りるよりもいやらしい忍術で悩殺して欲しいぜ!……まあ、あのサイズの胸じゃ物足りねえけど」
テツノスケがそう言った瞬間、彼の足元にくないが突き刺さった。シノブは遠くにいるにも関わらず、靴に触れるか触れないかくらいの位置にある。恐るべき正確さだ。くないには「いやらしい事を言っているとモテないぞ」と書かれたありがたいメモがついていた。
「テツノスケ、口は災いの元だお」
「あの距離から届くなんてすごいわね。あたしも練習しちゃおうかしら!」
「怖いからやめて下さい。それよりも、急ぎましょう!」
タダオが急かすと、他の生徒会メンバーも走り始める。
彼らが校庭に着く頃には、大勢の生徒達がダイゴとアヤメのデュエマを見るために集まっていた。二人は生徒会メンバーとシノブを待っていたらしく、まだ戦い始めていなかった。
「ギャラリーは充分に集まった方がいい。そうだろう?」
「ええ、その通りね。衆人環視の中、あなたをボコボコにして差し上げるわ!」
二人が睨み合い、視線が火花を散らしてぶつかり合う。しばしの静寂の後、二人はデッキを取り出して叫んだ。
「聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)発動!」
ダイゴとアヤメは白い光に包まれる。同時に彼らの周囲、半径五メートルの空間も変化していた。
「これを見た事がない生徒はうちにはいないだろうけれど、説明しておくか。聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)はデュエル・マスターズカードのデッキを持った一部のプレイヤーだけが出せる特殊な空間だ」
「聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)の中ではクリーチャーや呪文などの効果は映像となって現れるわ。プレイヤーの強い気持ちが力になって発動するの~」
「ちなみに、サンデーでやってた某マンガのアレとか、《ゾロスター》が面白い扱いを受けていた某アニメのアレとは関係ないんだお」
「ワンコ先輩!ダメです!そういう事を言っちゃダメですって!」
生徒会役員が解説を終える頃には二人のフィールドは完成していた。
「ハーハッハッハ!この無双竜機学園生徒会長にして生徒王のこの俺、極神寺ダイゴの実力を見せてやる!」
ダイゴの周囲は王宮の一室のような空間に変化していた。中世ヨーロッパの大国の国王が座るような立派な椅子に腰かけている。頭の上には王冠が乗り、制服の上に赤いマントを羽織っていた。彼はこのフィールドを自身の強い思い、性欲で発動させる事が出来る。
一方、アヤメの周囲の空間は大理石で出来た神殿のような形に変わっている。彼女の服も制服から胸元を強調した大胆なデザインの白いドレスへと変化していた。
「うっひょー!大胆な胸元!そして、すっげーエロい谷間!俺、もう死んでもいい……」
それを見たテツノスケは盛大に鼻血を吹きだしたながら倒れていった。彼の顔は安らかな笑みに包まれていた。そして、誰も彼の心配をしなかった。
聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)が現れた事で生徒達の興奮も最高潮に達していた。ダイゴとアヤメに声援を送る者もいれば、どちらが勝つか予想する者もいる。
「相手にとって不足はないわ!勝負よ、極神寺ダイゴ!」
「来い!神河アヤメ!」
アヤメの先攻で対戦が始まり、彼女はカードを手に取った。

二分後……。
「くっ、私が完敗するなんて……」
意気込んでダイゴに挑んだアヤメだったが、結果は惨敗だった。ダイゴのシールドを一枚もブレイクできないどころか、クリーチャーの召喚すらせずに負けてしまっていた。予想外の結果に、ギャラリーだけでなく勝利したダイゴの目も点になっていた。
「ぐぬぬ……。やるわね、極神寺ダイゴ!私が認めたライバルだけの事はあるわ!」
「あー、うん。どうも」
まだ目が点になったままのダイゴが気の抜けた声で答える。涙目になってダイゴを睨んでいたアヤメはその視線をシノブに向けた。
「こうなったら……!シノブ、あなたの出番よ!」
「心得た。任せてくれよ」
軽く息を吐いた後、シノブは隠し持っていた自分のデッキケースを取り出す。あまりの早業のいつ、どこから出したのか誰にも判らなかった。そして、瞬時にアヤメの側に移動しダイゴを見た。
「極神寺ダイゴ。次は私と戦ってもらうぞ」
「いいだろう。このままでは集まってくれたギャラリーにも悪いからな」
「聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)発動!」
既に聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)を発動させているダイゴに対抗するために、シノブも周囲の空間を変質させていく。彼女自身の服装は変化しなかったが、周囲は落ち着いた茶室に変化していた。
「行くぞ、極神寺ダイゴ!情報収集をして君の戦い方は判っている!」
「情報収集か。くのいちらしい良い戦い方だ。だが、その情報を活かせるかどうかは別の問題だがな!」
二人は目の前にあるテーブルにデッキを置く。すると、自動的に山札の上のカード五枚が横に移動し、二人の前に半透明な青い壁が五枚現れる。二人が五枚のカードを山札から引いた時、戦いの準備は整った。
「おかしいわね。極神寺ダイゴを倒すために強いカードを入れたデッキなのに、あっさり負けてしまうなんて」
「ところで、どんなカードを入れているんですか?ちょっと中を見てもいいですか?」
「どうぞ」
アヤメからデッキを受け取ったタダオは扇のようにカードを広げて中身を見た。
「ぐはー!何ですか、このデッキはー!!」
そう叫んだタダオは、その内容に衝撃を受け、デッキを持ったままその場に倒れる。白目を向いて泡を吹いていた。それを奇妙に思ったワンコはタダオの手からデッキを取った。
「ちょっと見せてもらうお。うわ~、このデッキ。入っているカードがバラバラだお!ゼロ文明を含めた全部の文明が入っている上に軽いカードが全然入っていないんだお。しかも、入っているカードの半分以上がベリーレア以上のレアリティなんだお!スーパーレア以上のレアカードを使った事がないタダオが驚いて倒れるのも無理はないお」
「さすが私のデッキね!内容を見ただけで極神寺ダイゴの部下が感動して倒れたわ!」
「レアカードが多いのはそこまで疑問じゃないけれど、どうやってこのデッキを作ったのかしら?」
「簡単!神河の財力を使い、大量に買ったパックの中から光っている強そうなカードを厳選して集めて作ったのよ!」
「アヤメ、基本パーツって知ってるかお?」
「知りません!何故なら、デュエマでデッキを作って対戦したのは今日が初めてだからよ!」
ドヤ顔だった。今世紀最上級と言えるほどの自信に満ち溢れたドヤ顔だった。あまりに自信たっぷりな返答にワンコは何も言えず頭を抱える。
「そう。初めてなんだ。じゃ、ダイゴ君とシノブちゃんの対戦を見て勉強してみようね~」
ミヤビがそう言うと、アヤメは素直に従って二人の対戦を観始めた。ワンコとミヤビも、足元で倒れているテツノスケとタダオには目もくれず観戦を始める。
「私から行くぞ。闇文明を含めたマナ二枚をタップし、《失楽のカルダモン》を召喚する!」
先に動いたのはシノブだった。彼女がテーブルに黒いカードを置いた時、テーブルの前に白い服を纏い、鎌とも杖とも呼べるような棒状の物体を持った神官のような生物が現れた。
「あんなに早くクリーチャーを呼ぶなんてさすがシノブね!」
「感心している場合じゃないお。アヤメみたいに重いカードだけじゃなくて2とか3とかの軽いカードもきちんと入れておけば、あんな風にすぐ動けるんだお」
「なるほど。参考にしますわ」
アヤメはワンコのアドバイスを聞いて手帳を取り出し、メモを取り始めた。プライドは高いが、アドバイスは素直に聞くようだった。
「2ターン目からクリーチャーを召喚するとは、速攻か?ならば、俺は後半に備えて準備を整える!水を含む三枚をタップして《コアクアンのおつかい》!これでカードを二枚手札に!ターン終了だ」
ダイゴがテーブルに青いカードを置くと彼の山札が青い光を発した。山札の上のカード三枚がめくられ、その内の二枚が彼の右手目掛けて飛んでいった。ダイゴは右手の指先でそれを受け取って手札に加える。ダイゴがクリーチャーを召喚せずにターンを終えたのを見て、シノブは口の端を上げた。
「ここまでブロッカーはなしか。噂ほどではないようだな。それとも、連戦はきついか?」
「どうかな」
ダイゴは表情を変えずに曖昧な返事をする。それを聞くよりも先にシノブが手札から一枚のカードを引き抜いて行動を開始した。
「闇文明を含む三枚をタップし《闇噛のファミリア ミョウガ》を召喚!手札を見せてもらう」
シノブが黒いカードをテーブルの上に置いた時、テーブルの前に黒い姿の獣が現れる。四足で地面を踏みしめた獣《ミョウガ》が低い声で唸った時、ダイゴの手札が彼の手元から弾け飛び、宙に飛ぶ。
「情報収集をしたと言った。君が得意とする戦略は判っている。君がよく使うカードの一つは呪文《ヘブンズ・ゲート》!今、《コアクアンのおつかい》で手札に加えたそのカードを、《ミョウガ》の力で捨てさせてもらうよ」
低く唸っていた《ミョウガ》は主の声を聞いた後、空に舞うカードに向かって大きな声で吠える。それと共にシノブが宣言した《ヘブンズ・ゲート》が弾け飛び、それ以外のカードがダイゴの手札に戻っていった。
「学園くのいちの名は伊達ではないようだな」
「これはまだ序の口さ」
彼女がそう言った直後《カルダモン》の杖がダイゴのシールドを突く。小気味のいいガラスの割れるような音と共に彼のシールドは砕けていった。ダイゴはシールドゾーンからカードを手札に戻し、策を立て直すため静かに息を吐いた。
「さすがはシノブね!何がすごいのかよく判らないけれど!」
シノブが押しているのを見て、アヤメは興奮した様子だった。目は輝き、両手を握って観戦している。
「やっぱり、ダイゴ君の情報を収集しているだけの事はあるわね。対策のカードが豊富だわ」
「そうなの?」
ミヤビの解説を聞いたアヤメはきょとんとした顔で彼女を見ている。その反応に気付いたミヤビはアヤメを見ながら解説を続けた。
「シノブって子が言ったように、ダイゴ君は《ヘブンズ・ゲート》で大きな光文明のブロッカーを出すのが得意な子よ。《ミョウガ》は相手の手札を見て呪文を選んで捨てさせる能力を持ったクリーチャー。相手の情報を得て妨害するのには最適ね」
「それに、最初に召喚した《カルダモン》も厄介だお。《カルダモン》はパワーは低いけれど、バトルした時に相手クリーチャーを強制的に相討ちにできるスレイヤーっていう能力を持っているんだお。だから、ダイゴがどんなに高いパワーのブロッカーを出しても相討ちにされてしまうんだお」
「さすがはシノブね!何がすごいのか、やっぱりよく判らないけれど!」
「……こいつ、何でこんなので社長になれたんだお?」
丁寧な解説を聞いて、アヤメは晴れ晴れとした顔をしていた。そして、ワンコは自分の疑問を頭に浮かべ、眉間に皺を寄せた。
「だが、それだけで俺の戦い方を封じられたと思うなよ。《光陣の使徒ムルムル》を召喚!軽いクリーチャーは軽いブロッカーで仕留めるだけだ。ターンエンド!」
ダイゴは金色のムール貝のようなブロッカー《ムルムル》を召喚しただけで行動を終える。
「静かな動きだな。やる気を失ったか?」
「どうかな。言っておくが、俺は俺のやり方で何人もの敵を倒してきた。俺のやり方を知ってその対策をしただけで勝てると思うなよ!」
ダイゴの行動を見てもシノブは慌てるそぶりすら見せなかった。前髪をさらりとかきあげると、引いたカードを加えた手札を見て数秒思案する。
「自分のやり方に信念がある相手は嫌いじゃないよ、極神寺ダイゴ。だが、そのこだわりが君を殺す!水文明を含めた四枚のマナをタップし《凍結のカルマ フラペチーノ》を召喚する」
シノブの場に新たに現れた青い服の神官のクリーチャーが左手に持った杖を振った時、ダイゴの《ムルムル》は地面に倒れ、動きを止めた。その横を《カルダモン》と《ミョウガ》が走り抜けていく。
「私が用意した極神寺ダイゴ対策はスレイヤーと手札破壊だけではない。どんな巨大ブロッカーもタップしてしまえばブロックはできまい!」
シノブが召喚した《フラペチーノ》は相手クリーチャー一体をタップした上に、次の相手のターンの最初にアンタップされないようにするクリーチャーだ。これにより、ダイゴのシールドを守る者はいなくなった。無防備なシールドに《カルダモン》の杖が突き出される。
「確かに、《ムルムル》でブロックはできなくなったな。ならば、これで《カルダモン》を止めるだけだ!」
ダイゴが目にも留まらぬ速さでカードを投げると、《カルダモン》とシールドの間に突如、小型の飛行機のようなクリーチャーが現れた。そのクリーチャーは《カルダモン》に体当たりをすると爆発して消えていった。
「《光牙忍ハヤブサマル》を使った。これで厄介なスレイヤーはこれで消せたな」
「くっ、ニンジャとは卑怯な!」
「えーっ!学園くのいちを自称する人が言う言葉ですか!」
いつの間にかタダオが起き上がって驚いていた。彼は目を見開いてシノブを見る。
「タダオ、大丈夫なのかお?」
「大丈夫です。会長が戦っているのに、寝てなんかいられませんよ。戦いをメモして、僕も強くならなくちゃ……!」
タダオは懐からメモ帳を取り出し、対戦のメモを取り始めた。
「学園くのいちだが、卑怯な真似は嫌いなのだ!正々堂々が私の生きる道だ!」
「そうよそうよ!シノブ、卑怯な奴はやっつけてやりなさい!」
「言われるまでもない!まだ《ミョウガ》は生き残っている!シールドブレイクだ!」
《ミョウガ》の牙がダイゴのシールドに食い込む。二枚目の青い壁もひび割れ、砕け散った。ダイゴは冷静な目つきで破られたシールドを確認すると、即座にそのカードの名を叫ぶ。
「シールド・トリガー発動!《クリスタル・メモリー》だ。これで山札を見て好きなカードを手札に加える」
シールド・トリガーだったが、形成を逆転するほどの力はない。まだ自分のペースで戦いが進んでいる事を確信したシノブはほくそ笑んだ。
「おい、生徒会長。どうしたんだよ……」
「あの変態生徒会長が負けてるぞ」
二人の戦いを見ていた周囲の生徒達も動揺し始める。動揺するのはタダオも同じだった。今まで多くの強敵を打ち倒して来たダイゴが負けるのではないかと不安になる。
「会長……」
「それじゃ、そろそろ行くか」
そんな周囲の声を聞いていたのか、ダイゴは少し明るい口調でそう言うとマナにチャージしたカードを含めた五枚をタップする。
「光と水を含めた五枚をタップ!《知識の精霊ロードリエス》を召喚する!」
「ここで出して来たか。ドロー出来るブロッカーを!」
「ああ。俺の戦略にとって重要なカードの一つだからな。今日はデッキに四枚入れている。《ロードリエス》の能力で一枚ドロー!」
「だが、もうマナのカードは全てタップされた。一体をブロックしてももう一体のクリーチャーがお前のシールドを喰らう!」
「誰がターンを終えると言った?」
「何……!?」
驚くシノブの前でダイゴは手札を扇のように広げる。そして、その中から一枚を引き抜き、マナをタップせず場に出した。
「G(グラビティ)・ゼロ!《巡霊者ウェビウス》をタダで召喚!そして、《ロードリエス》の能力でドロー!さらに《ウェビウス》を召喚しドロー!」
「むむむ。G・ゼロとは卑怯な真似を……」
「卑怯じゃない。これが戦略だ!」
突如、ダイゴの場に並んだ合計三体のブロッカーを見てシノブの顔に焦りの表情が浮かんだ。それを見たアヤメは疑問を口にする。
「あ、あれは何なの!極神寺ダイゴがコストを支払わずに二体のクリーチャーを出したわ!ルール違反よ!シノブ、もっと怒りなさい!」
「アヤメ、あれはG・ゼロだお。G・ゼロは特定の種族がバトルゾーンにいればタダで使えるんだお」
「ダイゴ君が出した《ウェビウス》はエンジェル・コマンドが場にいればタダになるクリーチャーよ。それにブロッカーだから、《ロードリエス》でドローも出来るの」
「なるほど。よく考えられたコンボね」
感心したアヤメは今、聞いた事を手帳にメモしていた。同じようにメモを取ったタダオはダイゴを見る。
「さすが会長だ!一気にやっつけちゃって下さい!」
「何よ!勝つのは私のシノブよ!シノブ!絶対に勝ちなさい!」
ダイゴは両陣営の応援者の言葉を聞いて軽く微笑んだ。そして、挑発的な視線でシノブを見る。
「少しはギャラリーが楽しんでくれたようだな。このまま、俺のペースで行かせてもらう!」
「まだだ!まだ私の極神寺ダイゴ対策のカードは終わっていない!」
ダイゴの気迫に気圧されながらもシノブはカードを引く。
それから、数ターンが経過した。
ダイゴのシールドの枚数は二枚。それを二体の《ムルムル》と《ロードリエス》が守っている。
シノブのシールドもダイゴと同じ二枚だった。バトルゾーンには《レディ・パーロック》が三体。そして、シールドを守るように《チリ》が一体立っていた。
「そろそろ行くぞ。《ヘブンズ・ゲート》!俺は《真実の名 バウライオン》二体を場に出す!」
ダイゴが呪文をテーブルにかざす時、空の雲を切り裂いて金色の光が校庭に降り注いだ。光の道を進みながら、獅子のような顔をした二体の巨大な天使が舞い降りる。
「来た!会長の切り札、《ヘブンズ・ゲート》だ!」
タダオが興奮した口調でその名を叫ぶ。周囲で観ていた生徒達の反応も同じだった。見慣れた切り札の存在が喝采を上げさせる。興奮のボルテージが校庭を包み、熱狂的な空気を生み出していた。
「ここで切り札の登場か。ここまで待たせたにしては、随分と大人しいクリーチャーを出してくる」
周囲とは正反対の反応をするのは対戦相手のシノブだった。攻撃可能な大型ブロッカー二体を前にしても、表情が変わらない。冷静な表情はただの仮面なのか、それとも本当に恐れていないのか、タダオには判らなかった。
「そう思うか。俺の《バウライオン》を舐めてもらっては困るな」
ダイゴが墓地に手を伸ばした瞬間、墓地が金色の輝きを発した。その中から四枚のカードがダイゴの右手めがけて飛んでいく。
「呪文回収か」
「その通り。《バウライオン》一体につき、二枚の呪文を墓地から回収できる。ターンエンドだ。次のターンで終わらせてやるぞ!」
「大した自信だな。慌てふためくのが容易に想像できるよ」
やはりシノブは不気味なほどに冷静だった。指先が震える事なく、山札の上に触れる。対戦中、何度も見たドローだったが、今、引いた一枚だけは別格の一枚のようにタダオには思えた。
「私の切り札も出番を待っていたようだ。そして、最良のタイミングで来てくれた。行くぞ!まずは闇文明と水文明を含む六枚のマナをタップ!」
「多色クリーチャーか!」
今までシノブの場には単色のクリーチャーしか出ていなかった。それ故、ダイゴは彼女の行動に驚く。シノブはその反応が気に入ったのか口の端を軽く釣りあげた。
「出るわよ。シノブの切り札!すごく強いのよ!」
アヤメは腕を組み、仁王立ちでそれを見ていた。その顔は満足したようなドヤ顔だった。
「一体、どんなカードなんですか?」
「ふっふっふ、私もよく判らないけれど、あの切り札が出たら相手のクリーチャーをどんどんやっつけられるような一枚よ。大量破壊兵器も真っ青よ!」
「なんてこった!何も判らないけれど、怖いですよ!」
デュエマについての知識が全くないアヤメの説明では、概要など全く判らなかった。しかし、タダオはニュアンスでその恐るべき性能を理解した。
「闇が入っているって事はクリーチャー除去のカードかお?」
「水もクリーチャー除去が得意よね。ブロッカー対策かしら?」
生徒会役員が見守る中、黒と青の光を発しながらその切り札は姿を現す。
最初にギャラリーが目にしたのは白いローブだった。次にそのクリーチャーが口に加えたロッドが見える。ローブから覗く紫色の鱗を見てギャラリーはその龍の名を思い出した。
「これが私の切り札《封滅のマントラ ストロガノフ》!パワー6000のW・ブレイカーだ!」
「パワー6000?大丈夫ですよ。会長の場には《ムルムル》が二体も並んでいます!《ムルムル》以外のブロッカーはパワーが6000ずつ追加されているんですから、あれぐらい怖くありませんよ!」
「なんですって!シノブの切り札を舐めるんじゃないわ!」
「悪いですけど、パワー6000じゃ会長のブロッカーには太刀打ちできないですよ。パワーが違うんですから」
「タダオ、その見方は甘いお」
「えっ!?」
自分の考えが正しいと思っていたタダオはワンコの一言を聞いて間抜けな声を出した。思わぬところから助け舟が入ったアヤメは「ふふん」という顔をしている。
「《ストロガノフ》はオラクルにスレイヤーを与えて、破壊された時に手札に戻すようにするクリーチャーだお。スレイヤーがどういう能力かは知っているおね?」
「スレイヤーでしかも死んでも手札に戻るって……、とんでもないじゃないですか!それに、シノブさんのクリーチャーは全部種族がオラクルなんですよ!」
「どうよ!これがシノブの真の力よ!何がすごいのか良く判らないけれど!」
説明を聞いたタダオはダイゴの表情を見る。カードを持っていない左手を、口を覆うように当てている。その目つきは真剣で、相手の行動を警戒しているように見えた。
「会長……」
「突撃だ!」
シノブの声を聞いて三体の《レディ・パーロック》が飛び出す。それを見たダイゴは自分のブロッカーに対して静かに指示を出す。
「動くな」
それを聞いたダイゴのブロッカーは動かない。二枚あるシールドの一枚が無慈悲な一撃を受けて割れていく。
「会長!ブロックして下さい!ブロックすればまだ何とかなるかもしれないじゃないですか!」
ダイゴの判断を見てタダオが怒声を上げる。観客からも「諦めてんじゃねー!」「ちゃんと戦えー!」とブーイングが飛んだ。
「勝てないと理解したのだろう。引導を渡してやる!」
二体目の《レディ・パーロック》の攻撃が通り、後ろに続いていた《レディ・パーロック》が飛んだ。その瞳はダイゴを狙っている。
「終わりだ!極神寺ダイゴ!」
「勝ったわ!」
勝利を確信したシノブとアヤメが叫ぶ。タダオは頭を抱え、ギャラリーの諦めの言葉が場を支配する。
そんな中、静かな声で発せられた一言が全てを変えた。
「シールド・トリガー」
呟くような声量で、それでもはっきりと伝わる声で、極神寺ダイゴは逆転のカードの名を宣言し、その力を行使する。
「《サイレント・スパーク》!お前のクリーチャーを全てタップする!」
ダイゴの体が金色の光を発し、三体の《レディ・パーロック》を吹き飛ばした。その光を浴びて、《レディ・パーロック》だけでなく《ストロガノフ》と《チリ》もその動きを止めた。突然の逆転に唖然とするシノブ、アヤメ、ギャラリーに解説するようにダイゴは口を開く。
「俺は《クリスタル・メモリー》で一度山札の中を確認していた。故に、シールドの中にこのカードが入っている事が判っていた!」
「ブロックしなかったのは勝負を捨てたからではなく、する必要がなかったからだったのか」
「そういう事だ。さあ、ここからは俺のターンだ。そして、これで決着をつける」
ダイゴは《ロードリエス》に一枚のカードを重ねる。それはいくつもの剣を持った巨大な王へと姿を変えていった。
「《聖霊王アルファディオス》に進化した。これでお前は抵抗できない!」
《アルファディオス》の剣がシノブを守っていたシールド二枚を打ち砕いていく。それを見た《バウライオン》が剣を構えて突撃する。《バウライオン》が黄金の輝きを発し、その場とギャラリーを光が包んだ。
「決めるぞ、《バウライオン》!必殺!閃光・フラッシュ・ダイナマイト!!」
《バウライオン》が力強く剣を叩きつけるのと共に、シノブの周囲の空間が爆発し、煙で包まれた。一瞬遅れて、ギャラリーからダイゴを称える歓声が沸き起こる。
「勝者は俺!無双竜機学園生徒会長にして生徒王、極神寺ダイゴだ!」
「必殺技の名前がダサいお」
「くっ、やるわね。極神寺ダイゴ、敵ながら天晴な必殺技名だわ!」
「それでいいのかお!」
ダイゴは聖決闘暴走領域(デュエマ・フィールド)を解除した。周囲の空間は元に戻り、彼の服装もただの制服に戻る。
「なるほど。情報通り……、いや、それ以上の実力だな」
耳元で聞こえた声に驚き、ダイゴが振り返るとそこにはシノブが立っていた。今、ダイゴのクリーチャーによるとどめを受けたとは思えないほど綺麗な顔をしている。無傷だった。
「馬鹿な……!今、お前は俺のクリーチャーの攻撃を受けたはずだ!」
「あれを見てみろ」
シノブに促されて、ダイゴは彼女がさっきまで立っていた位置を見る。そこには傷だらけの丸太が転がっていた。
「身代わりか。忍者らしいな。驚かせてくれる」
「驚いたのはこちらも同じだ。だが、次からはこうはいかないぞ」
そう言ってシノブは両手首のリストバンドを外す。それを落とすと、地面に大きな音が響いた。驚いたタダオがよく見ると、二つのリストバンドは地面にめり込んでいた。
「なるほど。全力ではなかったという事か」
「って、おかしいですよ!重いリストバンドつけたってデュエマの実力が変わるわけないじゃないですか!」
「タダオ、黙っているんだお」
「そうよ。考えるんじゃなくて、感じるの」
「えー……」
自分の意見を押さえつけられたタダオは納得がいかないという調子でぼやいた。
「お疲れ様、シノブ。極神寺ダイゴのデータは取れたわね?」
「充分だ。これからが本番だよ」
アヤメがシノブに近づき、二人が並んでダイゴを見た。アヤメはダイゴを指し、大きな声で宣言する。
「今日はただの偵察よ!これからが本番!私達、帝凰女学院から強力な刺客を送りこんでやるわ!」
「我々の刺客に勝てるかな……?」
言いたい事だけを言うと、アヤメとシノブは去って行った。それを見たダイゴは不敵に微笑みながら彼女達の背中に告げる。
「刺客か。いつでも来い。どんな奴が相手だろうと相手になってやる!」
「出来れば巨乳で俺好みの刺客で頼むぜ!」
「テツノスケは黙ってろ!というか、いつ起きたんだ!」
「というか、何で刺客と戦わなくちゃいけない事になってるんですか!」
「ワンコは刺客よりもハンバーグ食べ放題がいいお!」
「それだったら、あたしは焼酎のお湯割りがいいー!」
生徒会役員は好き勝手な事ばかり言っている。それを見てタダオは微笑んだ。
暗黒生徒会との戦いが終わってから、日常に刺激が足りないと思っていたところだ。帝凰女学院との戦いで新しい刺激に出会えるかもしれない。そう感じたタダオはダイゴに向かって言う。
「会長!」
「ん?」
「帝凰女学院に負けるわけにはいきませんよ!特訓しましょう!」
「やる気だな。いいだろう。俺に特訓は必要ないが、帝凰女学院の刺客が来た時のための対応を決めておいた方が良さそうだ。今から生徒会室に戻って会議をするぞ!」
「はい!」
ダイゴを先頭にして彼らは生徒会室に戻って行く。
今、ここに無双竜機学園生徒会の新たな戦いが始まった。

次回予告
一ノ瀬タダオです。アヤメさんは宣言通り、新たな刺客を送りこんできました。二人同時に現れたその刺客は恐るべき能力で生徒会に迫るのです!でも、大丈夫。この僕が二人とも蹴散らしてみせますよ!
『第二話 ツインドライブ』
次回もこの僕、一ノ瀬タダオに注目して下さい!
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