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DM企業戦士 時任俊之助 第二十三話


第二十三話 最悪の敵

前回までのあらすじ
 時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)達、DM企業戦士最強を決める大会が始まった。決勝トーナメント第一回戦が終了し、順調に勝ち残る時任達。その最後の試合の直後、時任と百瀬(ももせ)のフリーデュエルが始まる。接戦の末、百瀬が勝利し、時任は自分のライバルの強さに驚愕するのだった。

決勝トーナメント一回戦から一週間後の日曜日。第二回戦に進める八人のDM企業戦士達は、再び東京ドームに集まっていた。
「ふぅん、この大会でドラマを生み出すのか」
時任は熊本(くまもと)の話を聞いていた。時任が選ばれた理由、それはこの大会を盛り上げる起爆剤としての役割を期待しているからなのだ。
「その後、文美(ふみ)さんはこうも言ったッス。この大会で優勝して利益を得る事で、多くの人々を苦しめる企業も出てくるって」
「確かにな……」
大企業になるためには、クリーンな事だけをやっていくわけにもいかない。生き残るために、汚い事をやる企業も存在するだろう。
だが、そんなレベルではなく自らの利益のために、全ての人間を犠牲にしようとする者も存在する。人の不幸がそのまま自分の利益になるような組織がこの大会に出ているとしたら、その企業の人間を勝たせてはいけない。
「でも、そんな奴がいるんだったら、そいつを出場させなければいいだけじゃないのか?」
「自分もそう聞いたッス。でも、それらの企業の中には一般の人にはクリーンだと認識されている企業もあって、出場停止になったら、アカシック・ホールディングの信用が失われかねないッス」
「なるほど。そりゃ、問題だよな。……そう言えば、文美ちゃんは?」
時任も熊本もすでに控え室にいるのに、文美だけが来ていない。時任が遅刻するのならば話は判るが、文美が遅刻するような事は考えられない。
「デッキリストを早く提出しないと、失格になっちゃうのに……。どうしたんだ?まさか、寝坊?」
「先輩じゃないんスから、それはないッスよ」
その時、二人がいた控え室のドアが開いて、一人の男が入ってくる。
「むっはっは!ごきげんよう、ジェントルメン!」
黒いタキシードにシルクハット、モノクルを右目につけ、ステッキをくるくると振り回す紳士。もちろん、口にはひげが生えている。
「な……なんだ、あんたは?」
「ん~、時任君。次の対戦相手を知らないとは、大変嘆かわしい!ショックだ!私は、浜崎邦彦(はまさきくにひこ)。君を倒す者の名だ、心に刻んでおきたまえ!」
謎の男、浜崎はステッキの先端を時任に突きつける。今まで以上に変な……いや、個性的な男だ。
「もっとも、この姿も私の仮の姿でしかない。私は前に一度君と戦った事があるのだよ。その時はR社の矢島(やじま)と名乗っていたがね」
「矢島だと?」
R社の矢島といえば、大会が始まる数週間前に東京ドームで戦った相手だ。その後、文美から矢島はイカサマをして袖に入っていたカードと手札を入れ替えていた事を聞いた。もちろん、矢島という男は現在、金井社長が主催する大会に出場できないようになっている。
「矢島なら、出場禁止処分を受けているはずだ!何を言っている!」
「だから、その時は矢島と名乗っていたと言っただろう。私の本当の姿は秘密。君達がデュエル・マスターズで契約を取ってくるDM企業戦士なら、私はデュエル・マスターズの対戦で敵を倒し、雇い主の依頼を引き受けるDM傭兵(ようへい)と言ったところか、むっふっふ……」
「DM傭兵だと……?」
関係ないけど、語呂が悪いと、時任は思った。
「そのDM傭兵が俺に何の用だ!」
「これからゆっくり話してあげよう。ちょっと待っていてくれたまえよ」
浜崎は携帯電話を取り出し、どこかにかけている。
「ああ、私だ。彼女を出してくれたまえ。こちらも時任君に替わろう」
時任は浜崎が差し出した携帯電話を受け取る。
「もしもし……」
『もしもし、時任さんですか!?』
「って、文美ちゃん!?今、どこにいるの?」
『それが……つかまっちゃったみたいなんです。暴力団に』
「何だって!」
そこで、時任は浜崎に電話を取り上げられた。
「そこまでだ、時任君。彼女を助けたければ、今回の対戦でわざと負けたまえ。おおっと、あまりにもわざとらしすぎるのは困るよ。うまく演出してくれなければ……」
「俺が言うとおりにすると思っているのか!」
「言うとおりにしなくてもいいよ。彼女がどうなってもいいならばね」
浜崎は時任を見る。彼にとってのデュエルは、ただのカードを使ったデュエルではない。時任の知人、弱点、その全てを利用して完全に勝つ。これは、悪魔の戦い方だ。
「汚いぞ……」
「ん~、私の機嫌一つで彼女の死体が東京湾に流れるかもしれないのだよ?口に気をつけたまえ」
浜崎はステッキを振り回しながら高い声で笑うと、そのまま去っていった。
「わざと負けろだって……?ちっくしょう!」
怒りに顔を赤くした時任は控え室の壁を殴る。だが、そんな事をしても何の解決にもならないのは明らかだった。
「先輩、落ち着くッスよ」
「その通りだ、時任」
再び、控え室のドアが開き、三人の男が入ってくる。
「桃太郎!それに犬飼(いぬかい)と雉宮(きじみや)も!」
「待て、時任!私の名前だけ間違えて、何故この二人の名前は覚えている!」
「桃太郎さん、こんにちはッス!この前の先輩とのデュエル、カッコ良かったッス!」
「ええい!褒めるのであれば、まず私の名前を覚えろ!私は百瀬光太郎(ももせこうたろう)だ。桃太郎ではない!」
そこで一つ咳払いをして、百瀬は用意していたセリフを口にし始めた。
「話は全て聞いていたぞ、時任」
「マジで?お前、俺のストーカー?」
「黙れ、話を続ける。どうやら、相原(あいはら)君が誘拐されてしまったようだな。そして、デュエルにわざと負けなければ相原君の身柄は保証しないと……。これは立派な犯罪だ。我々には、犯罪に屈しない権利と義務がある」
「でも、どうするんだよ?多分、警察に電話してもまずいと思うし。金井社長に言っても、奴にばれるかもしれないし、それならわざと負けた方が……」
「馬鹿者!お前が負けたらあのエセ紳士の思う壺だ!我々三人で相原君の居場所を探す。お前はあのエセ紳士を叩き潰して来い!」
「桃太郎……」
百瀬の提案に驚き、時任は呆然とする。
「先輩、自分も文美さんを探すッス!」
隣を見ると、熊本も立ち上がって百瀬の傍に行く。
「熊本、お前はもうすぐデッキリストの提出時間だろ?間に合わなくなるぞ!」
「もちろん、自分も戦いたいッス。でも、時任先輩が勝つためならば、自分は戦いを放棄してもいいッス!先輩は、遠慮なく全力で戦って欲しいッスよ!」
「熊本、ありがとう……」
時任は自分のデッキをしっかり握る。このデュエル、負けるわけにはいかない。男の意地を懸けて必ず、浜崎を倒す。
「俺、勝ってくるぜ!みんな、文美ちゃんを頼んだ」
時任は会場へと急ぐ。
「さあ、我々も行動を開始しよう。相原君を隠した場所の目星はついている。後は残ったいくつかの可能性を潰すだけだ!」
こうして、時任と百瀬が協力して最悪の敵に立ち向かうのだった。

次回に続く(今度の敵は最悪かつ、巨大!)

次回予告
 ごきげんよう、レディースアンドジェントルメン。浜崎だ。どうやら、百瀬君達がおかしな真似をしているようだね。だが、私も鍛え抜かれたDM傭兵の一人。普通にデュエルをしても時任君に負ける事はない。次回『第二十四話 二つの激闘』

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