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DM企業戦士 時任俊之助 第二十四話


第二十四話 二つの激闘

前回までのあらすじ
 時任(ときとう)達が参加しているDM企業戦士最強決定戦。決勝トーナメント二回戦開始間近の時任の控え室に入ってきた謎の紳士。彼の名は浜崎邦彦(はまさきくにひこ)。かつて、矢島(やじま)と名乗り時任に倒されたDM企業戦士だった男だ。浜崎は文美(ふみ)を誘拐し、彼女の安全と引き換えにデュエルで時任に負ける事を要求する。卑劣な策略に時任だけでなく、熊本(くまもと)や百瀬(ももせ)の怒りも爆発するのだった。

「あの浜崎という男の所属会社、Pアーツを知っているか?」
 犬飼と雉宮、そして、百瀬と熊本がチームを組んで文美を捜す事になった。百瀬の車に乗った直後、助手席の熊本が話し始めた。
「Pアーツ……海外から美術品を輸入している会社ッスよね?」
「その通り。表向きは普通の会社だ。だが、この会社は暴力団の資金源でもある。美術品の輸入と偽って麻薬を運ぶ事もあるのだ」
「じゃ、そんな組織相手に自分達は戦いを挑むんスか!?」
 時任達の手前、「文美を助ける」という生返事をしてしまったが、これは怖すぎる。熊本は自分の軽率さを呪った。
「Pアーツと繋がっているのは、貝沢(かいざわ)組。飲み屋の元締めが発展した組織だ。すでにここまで判っていれば、充分だ」
 百瀬の車はとある雑居ビルの前に止まる。ここに、貝沢組の事務所があるのだろう。二人は、階段を上って事務所がある階まで移動する。
「相手に気付かれないように、静かに潜入するんスね?」
 できれば、相手に気付かれないように文美を救出したいと思っていた熊本は確認するように百瀬に尋ねる。
「ふん、誰がそんなこそ泥みたいな真似をするか」
 自信たっぷりの顔でそう言うと、百瀬は大きな音を立てて事務所のドアを開ける。
 中には、入れ墨の入った男やガラの悪そうなチンピラまで、色々な男達がいた。その奥で、口にガムテープを貼られ、パイプ椅子に座った文美がいる。否、パイプ椅子に座っているのではない。ロープで固定されているのだ。
「私は百瀬光太郎!我が盟友の相原文美君を向かえに来た!邪魔をする者は誰であろうと叩き伏せる!」
「んだとォラァ!!」
 近くにいたチンピラの一人がナイフを片手に百瀬に突進してくる。だが、百瀬は相手の腕をつかみ、軽く振るっただけで相手を地面に倒してしまった。
「二度は言わん!相原君を帰すか、痛い目を見るか選べ!」
「おもしろいじゃないか」
 奥に座っていた着物を着た五十代の男がゆっくりと立ち上がる。静かに立ち上がったのに、その体から噴出す気迫が百瀬の体を押す。
「俺が貝沢組の組長、貝沢竜夫(たつお)だ。お前、DM企業戦士とかいう奴だな。テレビで今も中継やってるぜ」
「ほう、我々も有名になったものだ」
 貝沢組長は杖をついて百瀬に近づく。嫌な汗が、百瀬の背中をつたう。
「あの嬢ちゃんを帰せっていうが、それはできねぇな。嬢ちゃんを帰しちまったら、時任かいう奴が本気を出すだろう?」
「相原君が帰さなくても、時任は手を抜かん。私が責任を持って相原君を帰すと約束したからな。あの浜崎という男は負け、相原君も無事に救出。貴様らはこれで終わりだ」
「おう、いい度胸してるじゃねえか。だが、金稼ぎのためにも浜崎には負けてもらっちゃ困るんでな」
 貝沢組長は百瀬の目の前まで来ると止まる。威圧。百瀬とは戦ってきた場所が違う。戦いを勝ち上がってきた生き残りだけが持つ鋭い牙。それを見せられているのだ。
「鳥尾(とりお)の兄弟を呼べ!」
「へい!」
 組長の支持で、近くにいた組員が動く。
「何をするつもりだ?」
「お前ら、デュエル・マスターズやってるんだろ?お前らとはやり方が違うが、俺のところにいる鳥尾兄弟もデュエリストでな。賭けデュエルをやってレアカードを巻き上げて日銭を稼ぐのが奴の仕事さ」
「外道、が……!」
「何とでも言えよ。金を稼ぐのに正道も外道もない。効率がいいか悪いかの違いだ。お前らが鳥尾と戦って二人とも勝てたら、あの嬢ちゃんを帰してやってもいい」
「私達が負けたら……?」
「そうだな……その時は」
 いかつい顔をしていた組長の顔がそこで突然真っ赤になる。
「じょ……嬢ちゃんを俺の嫁にもらうっ!」
「な……なんだってぇーっ!!」
 シリアスな展開から、突然コメディに。その場にいた全員が声を揃えて驚きのセリフを口にしていた。
「な……何を言っているのだ!嫁にもらうと言うのは、すなわち……結婚するという事だぞ!結婚するという事は……キスしたりとかするんだぞ!判っているのか!?」
「桃太郎さん、落ち着くッス」
 混乱した百瀬を見て、意外にも熊本が一番最初に冷静になった。
「ええい!何を言っている!私は桃太郎じゃない!こんなおっさんが、自分の子供ほどにも年齢を離れた女性にキスをするのだぞ!認めん!断じて認めん!絶対認めん!」
「認めないなら、お前が鳥尾に勝って引き離してみろや」
 奥から、まったく同じ顔をした二人の男が現れた。二人とも百瀬と歳はそう変わらないようだが、裏の世界で生きてきた威圧感がある。
「俺が鳥尾一郎」
「俺が弟の鳥尾次郎だ」
 鳥尾兄弟がテーブルの前に座る。そして、懐からデッキを取り出した。
「やれやれ……。熊本とやら、君は次郎の方を頼む」
「判ったッス」
 デュエル・マスターズなら勝機はある。相手が多少卑怯な手を使ったとしても、百瀬は自分が勝てると確信していた。だが、隣の熊本に実力は正直な話、よく判らない。敗北する可能性も捨てきれない。この勝負、一人でも負けたらそれでアウトなのだ。
「シールドを置いたぜ、さっさと始めようや」
 一郎に言われて、百瀬も急いでデッキをシャッフルし始める。
「おい」
 突然、組長が杖を振った。その軌跡には百瀬がいて、杖の先がもう少しで百瀬の鼻先をかすめるところだった。その杖は一郎の顔を打ち付ける。
「一郎、お前シールド仕込んだな。本気の決闘でケチな真似してんじゃねぇ!」
「へ、へい、親分!」
 一郎は鼻血をぬぐうのも忘れて、シールドを戻しデッキをシャッフルし直す。
(どうやら……ちゃんとしたデュエルができそうだ)
 だからこそ、鳥尾兄弟は手ごわいのかもしれない。不安と緊張が入り混じり、百瀬のボルテージは静かに上がっていった。

 その頃、東京ドーム内。大会の決勝トーナメント第二回戦第一試合が始まろうとしていた。
 対戦台に立った時任の目に迷いはない。百瀬達のためにも、日本の経済界の未来のためにも、目の前のエセ紳士を倒さなければならない。
「ん~時任君、私の言った事は覚えているかね?」
「覚えているぜ。だからこそ、俺はあんたを全力で倒す!」
「いいセリフだね、むっふっふ」
 浜崎は時任が演技をしていると思い、油断をしている。普通にシャッフルをして、普通にシールドを並べているようだ。
(なんだ。DM傭兵っていうから、シールドとかにシールド・トリガーを仕込んでいるのかと思ったけど、違うみたいだ)
 互いに準備が整い、対戦が始まる。
「ふっ、まずは『光線人形ストリウム』を召喚だ!」
「俺は『シビレアシダケ』を召喚!手札をマナへ!」
 まだ、浜崎は時任が本気である事に気付いていない。演技であると思っているうちに少しでも有利な状況を作らなければならない。
「ん~、私は『死劇人形ピエール』を召喚するとしよう。『ストリウム』でシールドを攻撃!」
「シールド・トリガーで『フェアリー・ライフ』を使う!山札の上をマナに!」
「何っ!貴様、まさか……!」
 浜崎の目が見開かれる。時任が本気である事にようやく気付いたようだ。
「その通り。俺はこのデュエル、本気で戦っている!『ブレイン・チャージャー』を使ってドローとマナブースト。ターン終了だ」
「ふ、そうか」
 ゆっくりと息を吐いて、浜崎がにやりと笑う。
「時任君、人質作戦だけで君を倒せるとは思っていない。私の真の力の前に、君はなす術もなく、倒れる事になるだろう」
「そんなの、はったりだ!」
 そう言いながらも、時任は浜崎の眼光の鋭さに脅えていた。彼は、人質以外にも策を持っている。
「時任君、いいカードを持っているね。右から、『コッコ・ルピア』、『緑神龍ミルドガルムス』、『アクア・サーファー』。ドラゴンデッキかな?」
「なっ……!」
 マナを見ている?いや、マナゾーンには一枚も『コッコ・ルピア』など置いていない。この男は、時任の手札を言い当てている。
「言っただろう。君はなす術もなく、倒れると……。『解体人形ジェニー』を召喚!『コッコ・ルピア』を捨ててもらおうか」
 浜崎は、時任の手札を見ずにそう言い放つ。静まり返る会場。時任は、自分の手札から墓地へ『コッコ・ルピア』を置いた。その瞬間、会場を歓声が包む。
「聞きたまえ、彼らの声を。すごい推理力と言っているよ。観客(オーディエンス)は無知で無垢だ。これは推理などという曖昧なものではない。時任君、私の千里眼の前に敗れたまえ」
 謎の力を持った男、浜崎。そして、鍛えられた刺客、鳥尾兄弟。圧倒的な強さを持ったこの敵に、時任と百瀬、熊本はどうやって立ち向かうのか?

次回に続く(次回、ついに決着!)

次回予告
 文美です。いきなり誘拐されちゃうし、デッキはできてないしもう最悪!今からじゃ、どうやってもデッキチェックには間に合わないよね。でも、失格になるのを覚悟で熊本君も着てくれた事だし、よしとしてあげますか!時任さん、浜崎の技には仕掛けがありますよ。この世に千里眼なんてものはないんだから。それから、桃太郎さんと熊本君、絶対に勝ってよね!一人でも負けたら、私があんなおっさんと結婚しなくちゃいけないんだから!次回『第二十五話 究極の切り札』強大な敵、焼き尽くせ!『ライラ・ボルストーム』!!

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