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DM企業戦士 時任俊之助 第二十七話


第二十七話 選ばれた四人

前回までのあらすじ
 特例により、時任(ときとう)と熊本(くまもと)のデュエルが行われた。熊本との戦いに勝利した時任の次の相手は文美(ふみ)だ。今まで文美に勝った事がない時任は自分の全てをぶつけるため、デッキを手にした。一方、百瀬(ももせ)は決勝トーナメント二回戦を勝ち抜くため、部下、雉宮(きじみや)との戦いを始めるのだった。

「『鋼鉄大使ジャンボ・アタッカー』を召還し、ターンを終了する」
「私は『炎のたてがみ(バーニング・ヘアー)』を召喚して終了です」
 準決勝へと進む最後の切符を懸けた百瀬と雉宮の対戦。特別に二人の目の前での観戦を許された犬飼は今までに見た事がない二人の表情に言葉を失った。
 ピリピリとした緊張感。デュエルが始まった瞬間から、二人は牙を剥いた獣となっている。一瞬の判断ミスも許されない。裏の読み合いと、自分のデッキとの信頼が勝負を決める。
(こんな二人は初めて見た。雉宮は本気で百瀬さんを倒すつもりだ。もちろん、百瀬さんも本気だ。二人とも目の前にいるのは同じ会社の社員じゃない。敵だ)
 まばたきをするのも忘れるほど、二人のデュエルは犬飼を魅了した。

「『エマージェンシー・タイフーン』!二枚ドローして、手札の一枚を墓地へ置きます」
「『バブル・ランプ』を召喚してターン終了だ」
 一方、熊本の目の前で行われている時任と文美の対戦。熊本は文美が今使っているデッキを見た事がない。どんな戦い方をするのか全く判らない。
 だが、時任のデッキとは一度対戦した事がある。いつだったか、時任が話していた。あのデッキには、時任が初めてデッキを作った時に使った大切な切り札が入っていると。
「『バブル・ランプ』ですか。時任さんがドローのためのカードを入れるなんて意外ですね」
「俺だって成長してるんだ。ドローの重要性ぐらい判ってるさ」
「ふぅん。でも、ドローがうまく行ってもその後の戦略がうまくないと駄目ですよ。『エナジー・ライト」で二枚ドロー」
 文美の手札がさらに増えていく。
 時任は、文美に一度も勝った事がない。思えば、連勝中の時任を負かして、時任を努力させた相手が文美だった。百瀬に勝つために努力したし、それと同じくらい文美に勝つためにも努力をした。
(このデュエルで…俺、勝てるかな?)
 越えられないような大きな壁を見るような思いで、時任はプレイしていく。
「『ブレイブハート・ドラグーン』を召喚!こいつはスピードアタッカーだ!」
「火文明特有の速攻ですか。最初ならば、シールドを攻撃されても問題はないですね」
『ブレイブハート・ドラグーン』と『バブル・ランプ』がシールドを攻撃する。だが、二枚目のシールドは『デーモン・ハンド』だった。時任の『ブレイブハート・ドラグーン』は破壊される。
「じゃ、私のターン。『封魔ウェバリス』と『ブラッディ・イヤリング』を召喚して、ターンを終了します。『バブル・ランプ』と手札のスピードアタッカーでまた攻撃するつもりなんでしょうけど、そうは行きませんよ」
「くっ……!」
 文美に戦略が見抜かれていた。時任は、今手札にある『猛菌剣兵チックチック』を召喚して、一気に攻撃しようと考えていたのだ。
「へっ……。だったら、別の戦い方をするだけだ。ドロー!そして、マナをチャージ。『バブル・ランプ』を『アストラル・リーフ』に進化!」
「そんな!」
 文美もこれは予測していなかった。時任がドローのためにこんな強力なクリーチャーを使ってくるとは思っていなかったのだ。
「三枚ドローして、『不死身男爵ボーグ』を召喚する。そして、『アストラル・リーフ』で攻撃だ!」
「『ブラッディ・イヤリング』でブロックです!」
 攻撃を阻止できたが、これで『バブル・ランプ』が一枚墓地に行った。次から『バブル・ランプ』を出す時に時任はドローが可能になる。
 練習で相手をした時任とは違う。今の時任は、強い。
「やるじゃないですか。時任さんのくせに……」
「だろ!?……って、それ褒めてんの?けなしてんの?」
 カードをドローして、文美は冷静に場を観察する。マナと今まで使ったカードから考えて、時任のデッキは水と火の速攻デッキ。そして、文美のデッキは、中盤から終盤がメインの闇・水デッキだ。序盤さえしのげれば勝てると思うが、スピードアタッカーは厄介だ。
 最後の最後まで気は抜けない。時任相手にこんなスリリングな対戦ができた事を、文美は満足している。

 百瀬と雉宮の対戦は、終盤を迎えていた。互いに一歩譲らない攻防に、観客達も息を呑んでいる。
「『ベインズ・セーレ』を『守護聖天ラルバ・ギア』に進化!『大勇者「大地の猛攻」』と『ラルバ・ギア』でリーダーのシールドをブレイクします!」
 ブロッカーが無力化された状態で百瀬のシールドが全てなくなった。場にいるクリーチャーは、『無敵巨兵オメガブラックZ』と『爆腕ロボ・リターンエース』、そして、『キャプテン・メチャゴロン』が一体ずついる。
 雉宮のシールドは三枚。場には、『ラルバ・ギア』と『大地の猛攻』のみ。だが、彼のシールドには、クリーチャーの攻撃を中止させる呪文、『スローリー・チェーン』が入っている。
「やはり、お前は強いな。ドロー。そして、『仮面鉄人ブリキオン』を召喚!スリリング3でシールドを手札から三枚追加だ。さらに、『オメガブラックZ』で『大地の猛攻』を攻撃!」
 さらに『オメガブラックZ』のアタックトリガーで山札の上から四枚めくり、その中にあった『深海メカ・オーシャーン』が手札に加わる。
「すごい……。水文明のカードで手札を大量に増やして、『ブリキオン』でシールド回復。さらに、『オメガブラックZ』で仲間を増やすなんて……。百瀬さんのデッキはすごい!」
 犬飼が無邪気に喜ぶ。そして、そんな強い百瀬と互角に戦っている雉宮に対しても、素直にすごいと思った。
「『キャプテン・メチャゴロン』でシールドを攻撃!」
 どうやら、今のシールドはシールド・トリガーではないらしい。雉宮は手札に加える。
「では、『ベインズ・セーレ』を召喚して『深海メカ・オーシャーン』をタップ。『炎のたてがみ』を召喚し、『大地に猛攻』に進化!『ラルバ・ギア』で『深海メカ・オーシャーン』を攻撃します」
「『リターンエース』でブロックする」
「では、『大地の猛攻』で『オーシャーン』を攻撃!ターン終了です」
 百瀬のブロッカーが全て倒される。雉宮もまだ負けていない。
「私は、『封魔ニューロ・マルヴァス』を召喚。二枚ドローし、『オメガブラックZ』でシールドを攻撃!」
 百瀬がアタックトリガーを終了し、残り二枚のシールドが割られる。一枚目にシールド・トリガーはない。二枚目……。
「シールド・トリガー、『スローリー・チェーン』!リーダーには攻撃を中止していただきます!」
 ギリギリのところで、雉宮のシールド・トリガーが発動した。そして、彼は自分のターンに二体の『ジル・ワーカ』を召喚する。
「『ラルバ・ギア』、『ベインズ・セーレ』、『大地の猛攻』でシールドを攻撃します」
 百瀬のシールドにシールド・トリガーはなかった。これでシールドの枚数は同じ。
「でも、雉宮の場には破壊された時に相手のクリーチャーを二体タップする『ジル・ワーカ』がいる。百瀬さんが強くても、この状況じゃ勝てない」
 犬飼は、雉宮の勝利を確信した。だが、雉宮を見るとまだ警戒を解いていない。この状況でまだ百瀬に倒される可能性があると考えているのだ。
「では、行くぞ。我が切り札、『キャプテン・ミリオンパーツ』!」
「……!そのカードは!」
 犬飼も雉宮も目を見開く。百瀬が出したクリーチャーによって、グレートメカオーとキカイヒーロー以外のクリーチャーはブロックができなくなってしまったのだ。
「雉宮、これで『ジル・ワーカ』はブロックができなくなった。『オメガブラックZ』で直接攻撃!」
 百瀬の直接攻撃が雉宮に届いた瞬間、観客が沸いた。今まで張り詰めるような緊張感から解放され、さらに素晴らしい対戦に感動したからだ。

「『封魔の戦慄ジュマゾール』を召喚!これで、私のグランド・デビルは種族にデーモン・コマンドを追加します」
 文美の場には、『ジュマゾール』の他に『封魔ウェバリス』が一体と『封魔メールワスプ』が一体いる。そして、シールドは三枚だ。
「今のでマナはなくなったな。じゃ、俺のターン……」
「まだですよ、時任さん」
 マナもない状態で、文美はまだやる事があるという。手札から出したそのカードは……。
「『漆黒戦鬼デュランザメス』。G・0発動です」
「何だって!そんなクリーチャーを残してたのか!」
 『デュランザメス』の効果で、文美が意図的に墓地に送ったクリーチャーと、序盤の戦闘で墓地に行ったクリーチャーが全て手札に戻る。『ジュマゾール』一体で形勢が変わってしまった。
 時任には、『一撃勇者ホノオ』が二体と『ブレイブハート・ドラグーン』が一体いる。シールドは二枚だ。
「だけど、俺にもこの場を何とかするための切り札はある!進化GV、『超新星マーズ・ディザスター』!」
 時任が場に出した切り札。それは、メテオバーンでパワー4000以下のクリーチャーを全て破壊する進化クリーチャーだった。
「『マーズ・ディザスター』のメテオバーンで進化元を抜いて、文美ちゃんのブロッカーを全て破壊!そして、シールドを三枚ともブレイクだ!」
 文美のシールドにシールド・トリガーはない。だが、切り札は入っていた。
「私のデッキには『マーズ・ディザスター』を倒すカードが入っています。このデュエル、私の勝ちですよ!」
 文美は手札から一枚のカードを出した。その瞬間、時任の表情が凍りつく。
「『ジュマゾール』を『悪魔神バロム』に進化。『マーズ・ディザスター』を墓地へ」
「せっかく出した『マーズ・ディザスター』が………!」
 時任のクリーチャーがいなくなった。さらに、シールド・トリガーがなければその場で時任の敗北が確定する。
「『封魔ウェバリス』を召喚。そして、『悪魔神バロム』でシールドをW・ブレイク!」
「うぅっ……!」
 観念して一枚ずつシールドを見る時任。そして、奇跡は起きた。
「来たぜ、シールド・トリガーが。『アクア・サーファー』を召喚!『デュランザメス』を手札に!」
 何とか負けだけは逃れた時任だったが、『バロム』を倒せるカードはない。今、手札に一枚あるカードだけでは文美を倒せない。
「だけど……なんだろう。この状況で俺はあの切り札を引けそうな気がする」
 会社の命令で初めてデュエル・マスターズのデッキを作った時の、あの切り札。あれで百瀬との対戦を制したのだ。
「頼む。来い!『ヴァルディオス』!」
 時任が引いたカード。それは、時任が信じて待ち続けた切り札だった。
「『不死身男爵ボーグ』を召喚。そして、『ボーグ』を進化!『機神装甲ヴァルディオス』!!」
 場に降り立つ機神装甲。その登場によって時任の勝利が確定した。
「『アクア・サーファー』で直接攻撃!」
「『封魔ウェバリス』でブロック!」
「無駄だ!『ウェバリス』はこれでブロックできなくなった。『ヴァルディオス』でとどめだ!」
 『ヴァルディオス』での攻撃が決まった瞬間、時任の何かが軽くなった。ついに、自分の目標であった文美に勝利できたのだ。
「あ~あ、まさか時任さんに負けるなんて……。ちょっとショック」
 文美はむくれていたが、すぐに顔を元に戻すと時任に手を差し出した。
「準決勝、がんばって下さいね。というか、ここまで来たら優勝しないと駄目ですよ」
「もちろんさ。ありがとう、俺は文美ちゃんと熊本が一緒に練習してくれたからこれだけ強くなれたんだ」
「どうやら、時任のデュエルも終わったようだな」
 別の対戦テーブルから百瀬達もやってくる。
「お互い、いいデュエルをしたみたいだな。で、百瀬が勝ったのか?」
「ああ、私は準決勝進出が決まったぞ。あと一人倒せば決勝でお前と戦える。それまで、誰にも負けるなよ」
「判ってる。お前こそ、準決勝で……」
「HAHAHA!そんな青臭いセリフはどこか別の場所で言ってくれYO!」
 会場に響く男の声。その声の主は、時任達に向かってゆっくりと歩いてきた。
 青いシャツに黄色のネクタイ、グレーのスラックスに身を包んだ長身の男。髪がブロンドで目が青い事から、西洋人だと判る。
「OH!イントロデュースが遅れたね。俺の名はアルフレッド・カーター・ディアス。長いから省略してアルカディアスと呼んでくれてもいいYO!俺は『聖霊王アルカディアス』を使った事はないけどね」
「貴様、何の用だ」
 百瀬がアルフレッドに近づく。今まで陽気な表情で笑っていたアルフレッドだが、百瀬を見て視線だけが鋭くなった。
「HAHAHA!準決勝の相手に向かって何の用、か!一応、あんたのデュエルを偵察していただけだYO!これなら、安心して勝てるネー!」
 そこで笑いを止めたアルフレッドは、時任達に指を突きつけ、こう宣言した。
「俺はアメリカに本社を持つアルティメットコーポレーション日本支部から来た。俺の目的は日本企業の弱体化。そして、祖国の企業を日本に進出させて日本の経済界を乗っ取る事だYO!そのためにもこの大会は絶対に俺が優勝してやる。おっと、日本の経済界を乗っ取った後は法律で納豆の存在を禁止にしてやるYO!あんなものは食べ物じゃないYO!」
「日本の経済界を乗っ取るだと……?貴様ごときに乗っ取られるほど日本経済界は甘くない事を教えてやる」
 睨み合う百瀬とアルフレッド。準決勝は、波乱が待ち受けているようだ。

次回に続く(今回、長すぎ)

次回予告
 HAHAHA!アルフレッドだYO!俺と対戦する事になったモモタロだが、どんなデッキを使おうと俺の相手じゃないYO!そして、別のテーブルで同時に行われるもう一つの準決勝では、トキトーという奴と料理人が対決するらしい。どうでもいいけど、早く終わらせて俺の優勝する姿をみんなに見せてやりたいYO!次回『第二十八話 二つの準決勝』

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