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DM企業戦士 時任俊之助 第三十三話


第三十三話 空の上の決戦

前回までのあらすじ
 時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)。DM企業戦士達が集まる大会で優勝し日本一になった男だ。自分のカードゲームを作るために時任は会社を辞め、友と別れた。夢を追うために行動を開始したのだ。飛行機に乗り込み、仲間の事を思い出していると、そこへテロリスト『納豆団』が現れる。彼らの要求は納豆へ刻みネギをつける事の義務化だ。怒りを覚えた時任と納豆団リーダー鮎川による乗客の安全を賭けたデュエルが始まる。

 今までにない緊張が、時任の全身を支配していた。
 今回のデュエル、負ける事で失うものはない。まあ、納豆の食べ方に関する自由は奪われてしまうが、納豆団も時任が毎回納豆にネギを入れているかどうかなどのチェックはしないだろう。
 だが、勝てなかったら大問題だ。この飛行機に乗っている乗客、乗務員、全てを解放するチャンスなのだ。無駄にしてはいけない。1ターンでも状況を読み間違えたらアウトだ。
「どうした、日本一?考えすぎると頭がパーになるぜ」
「うるさい、もうちょっと考えさせろ」
 そう言って、時任は『フェアリー・ライフ』を使う。
「マナブーストか。どんな大型を出してこようと、俺の防御と超絶テクニックで粉砕してやるぜ」
 鮎川は『エナジー・ライト』を使って手札を増やす。
「手札って奴は重要だ。俺のデッキでは特にな……」
 増やした手札を扇子のように広げて扇ぐ鮎川。余裕のある彼の行動が、時任にとって無言のプレッシャーとなる。
(落ち着け、時任俊之助!俺は大会で誰を倒してきた!?DM傭兵を名乗る男とか、ニセ中国人とか、鳥尾さんみたいな誠実な人とか、桃太郎とか……無茶苦茶強い奴らと戦ってきたじゃないか!?こいつの実力もデッキの内容も判らないけれど、これは俺が作ったデッキ。必ず、俺に応えてくれる!)
 時任は覚悟を決めてドローした。手札を見て深呼吸。いい動きをしている事が自分でも判る。
「『青銅の鎧』を召喚してマナブースト。さらに『チッタ・ペロル』を召喚する!」
 時任の場にようやくクリーチャーが並んだ。そして、鮎川の目にも警戒の色が見え始める。
「『チッタ・ペロル』……。ドラゴンデッキか。『ガルドス』に注意ってとこだな」
 時任の戦略を読みきっている鮎川。簡単に勝てる相手ではなさそうだ。
「『ブラッディ・イヤリング』を召喚。そして、『エマージェンシー・タイフーン』を使う」
「げげっ!」
 過去の経験から、その名を聞いただけで時任の背筋には悪寒が走る。何度、そのカードによってピンチに陥っただろう。その度に切り抜けてきたが、一度身についた苦手意識は簡単に克服できるものではない。
「ターン終了だ。さあ、どうする?」
「『サイバー・ブレイン』でドロー。ターンを終了する」
 準備が整うまでは攻撃しない方がいい。クリーチャーが出ると、意味もなく攻撃するくせがある時任だったが、文美に言われて改善した。
「ほう、ドラゴンデッキだから、てっきりヒーロー気取りの攻撃バカかと思ったが違うようだ。久しぶりに燃えさせてもらうぜ!」
 鮎川は二枚目の『エマージェンシー・タイフーン』を使い、『リッピ・ウォッピー』を召喚した。
「水のファイアー・バード?じゃあ、こいつも……?」
「その通り。俺のデッキは超絶コンボを内臓したドラゴンデッキだ。技が決まったら、お前に勝つ術はない!」
「言い切ったな!俺も燃えてきたぜ!」
 同じドラゴン使いとの戦い。時任は他の種族のクリーチャーも好きだが、やっぱりドラゴンが一番好きだ。そして、ドラゴン好きのプレイヤーとの戦いも好きである。ドラゴンを連想させるカードが時任の魂に火を点け、彼の緊張をほぐした。

 一方、日本。
 時任を空港から送り出した百瀬は帰宅し、コーヒーを飲みながら昼食のメニューを考えていた。だが、ライバルがいなくなってしまって心が空っぽになり、何もする気が起きない。
「空虚とは……こういう事を言うのだな」
 BGM代わりにつけていたテレビの内容も頭には入らない。だが、テレビが緊急のニュースを流し始めた時、彼の第六感が反応した。
「日曜にニュースだと……?一体何が?」
 そのニュースを要約するとこうなる。本日午前九時に日本を出発したアメリカ行きの飛行機がテロ組織によってハイジャックされたというのだ。飛行機の番号、時間から考えて時任が乗っている旅客機に間違いない。
「時任……!時任オオォォォーッ!!」
 百瀬は親友の危機を察知して、この世の終わりのような声を喉から絞り出した。そのテロ組織が「納豆にネギを入れる事を義務化する」という目的のために行動するアホな組織だと知った時、彼はどこに怒りをぶつけるだろうか。それはご想像にお任せする。

「さぁて、そろそろ切り札の登場と行こうか。『黒神龍ギランド』を『超神龍アバス・ノナリス』に進化!そして、お前のシールドをW・ブレイクだ!」
 時任のシールドが二枚破壊される。だが、本当に怖いのはそんな事ではない。『超神龍アバス・ノナリス』と戦って勝てるサイズのクリーチャーが今の時任の場には存在しないのだ。
「くそっ!だったら、このカードで除去するだけだ。『ナチュラル・トラップ』で『アバス・ノナリス』をマナに!」
 『アバス・ノナリス』がマナへと消えていく。さらに追撃をかけるために、時任は『コッコ・ルピア』で鮎川のシールドを攻撃した。
(これで、鮎川のシールドは残り二枚。俺の場にあるのは『コッコ・ルピア』一枚だけど、手札もあるし、シールドは三枚ある。シールドが三枚あればドラゴンを出しながら勝てるはずだ!)
 勝利を確信した時任。だが、鮎川は静かに笑い出した。
「おもしろい!おもしろいぞ、DM企業戦士!こうだ!こうでなくては最高のコンボを出す意味がない!」
 追い詰められているというのに笑い続ける。それは絶対に自信があるという事だ。
「俺はこの次のターンでお前にとどめをさしてみせる。まず、防御のために『ブラッディ・イヤリング』を召喚。さらに、この残った一枚が三体のクリーチャーに化ける」
「何だって!?」
 そんな事は不可能だと、時任は思った。一枚のカードで三体のクリーチャーを場に出す方法など、存在しないはずだからだ。
「お前は知らないようだな……。死をも武器に変えるドラゴンの力を!」
 7マナをタップして、鮎川は『魔龍バベルギヌス』を召喚する。
「そして、俺は『バベルギヌス』の効果でこいつ自身を墓地に送る。代わりに出てくるのはドラゴン・ゾンビの中でも最大級の存在、『黒神龍ベルザローグ』だ!」
 ただのドラゴン・ゾンビがT・ブレイクを持った大型のクリーチャーへと変貌する。
「そうか!そのために『エマージェンシー・タイフーン』で手札を捨てていたのか!だけど、それだけじゃ一体。シールドを壊せてもとどめはさせない」
「これで終わりじゃない。俺のデッキは墓地に隠し味が仕込んであるのさ」
 鮎川は墓地から二枚のカードを引きずりだす。冥府から蘇る二体のドラゴン。
「名を刻んどけ。『黒神龍グールジェネレイド』!」
 予告通り、鮎川は一枚の『バベルギヌス』で三体のドラゴン・ゾンビを場に出した。
「まずい。シールド・トリガーで除去が出たとしても、止められるかどうか……」
「ターン終了だ。あがけ、DM企業戦士!」
 ギリギリの状況で時任は覚悟を決めた。『コッコ・ルピア』がいるのだ。守るのが無理なら、このターンで倒せばいい。
「『コッコ・ルピア』はドラゴンにとってただの友じゃない。戦友とかいて「とも」と読むんだ!まず、3マナで『グレガリゴン』を召喚!」
「パワーアタッカーのドラゴンか!攻撃されたら、『グールジェネレイド』でも負けるが、召喚酔いしてやがる。それがお前の答えか!?」
「まだだ。俺の切り札でお前の計画を沈めてやる!『超竜騎神ボルガウルジャック』、召喚!!」
 時任の場にあった『グレガリゴン』は、騎士のような風貌の龍へと進化をとげる。
「進化ドラゴンだと!?しかも、そいつは……!」
「ああ、『ボルガウルジャック』が攻撃する時、ドラゴンが進化元のクリーチャーであれば、『ボルガウルジャック』よりもパワーが小さいクリーチャーを破壊できる!『ボルガウルジャック』でシールドを攻撃!そして、『ブラッディ・イヤリング』を墓地へ!」
 ブロッカーとシールド。鮎川を守る壁を『ボルガウルジャック』が破壊した。
「これで終わりだ。人々の自由を奪うなら、ここで沈め!『コッコ・ルピア』でとどめだ!」
 敗北が決まった瞬間、鮎川は再び笑い出した。
「はっはっは、確かにお前の言うとおりだ、DM企業戦士。この程度の実力じゃ誰も俺の意見に従いはしないだろう。人々の自由を奪うだけだ。約束通り、乗客は全員解放する」
 納豆団のメンバーが顔を見合わせる。リーダーの言葉に戸惑っていたようだが、やがて全員納得した。
「お前、DM企業戦士ならもっとデッキを持っているだろ?別のデッキでもう一勝負と行こうや」
「ああ、俺はかまわないぜ!」
 時任が別のデッキを出した瞬間、機内に立っていられないほどの衝撃が走る。
「くそっ!舌噛んじまったじゃねぇか!何が起こった!」
 鮎川に言われて納豆団のメンバーが原因を調べる。そして、直後メンバーの一人が戻ってきた。
「大変です、リーダー!エンジンが一機止まったとかで、飛行機の高度がどんどん落ちています!このままじゃ、不時着しますぜ!」
「何だと!?操縦士は何をやってやがる!」
「それが……「納豆にネギを入れられるくらいなら、あっしの人生ここで終わりにした方がましや」とか言って念仏唱えてやがります!」
「ああん!?もうちょっとまともな奴を雇え!」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ!とにかく、酸素マスクとかをつけて衝撃に備えるんだ!」
 時任が叫んだその数秒後、不時着した飛行機全体を再び衝撃が襲った。

次回に続く(こんな操縦士は嫌だなぁ)

次回予告
 よう!革命派戦士鮎川時雄様だ。それにしても、時任とかいう奴はいいデュエルをしてたぜ。納豆に対する考え方さえ俺達と同じなら、納豆団の幹部にしてやれたんだが……。勿体ない。何?次回はどうなるんだって?明日の事など、神にしか判らないな。おっと!口が滑った。今の、ヒントだからな。時任がどうなったか知りたい奴は次回『第三十四話 時任、死す!?』を読めよ。って、時任死ぬのか!?


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