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DM企業戦士 時任俊之助 第三十四話


第三十四話 時任、死す!?

前回までのあらすじ
 時任俊之助(ときとうしゅんのすけ)。DM企業戦士達が集まる大会で優勝し日本一になった男だ。彼は自分の夢を追うために会社を辞める。彼の夢は新しいカードゲームを作る事だ。夢のために日本から飛び立った時任だったが、飛行機を謎のテロリスト集団「納豆団」にハイジャックされる。納豆団のリーダーとのデュエルで勝利し、人質達を解放させた時任だったが、飛行機は墜落してしまった。

 上も下のない。前も後ろもない。真っ白な雲のようにふわふわした世界。そんな世界の中に時任は漂っていた。
「なんか、気持ちがいいな」
 非常に暖かく、居心地がいい。ベッドの上でまどろんでいる時の心境に似ている。
「とすると、これは夢か……。じゃ、後五分だけ寝かしてくれ~」
「眠っている場合ではないぞ。時任俊之助」
 厳かな雰囲気の声を聞いて、時任は目を開ける。そこには、髪を白くして、白い口髭を生やした百瀬(ももせ)が立っていた。もちろん。着ている服はいつもと同じイタリア製のスーツである。
「……って、桃太郎!夢にまで出てくるなよ!」
「私は桃太郎ではない!」
「判ってるよ、百瀬光太郎(こうたろう)だろ。俺のライバルの」
「違うな。私は百瀬光太郎という人間でもない」
 目の前の男は首を横に振った。しかし、時任には百瀬にしか見えなかった。
「あ、判った!百瀬、お前ふざけてんだろ!何だよ、ヒゲなんか生やしちゃって……」
 時任は男の口髭をつかむと引っ張り始めた。
「痛い痛い!やめんか!」
「この口髭も、付け髭だろ。で、髪はかつらか何かだ。前の最強デュエリスト要請ギプスみたいなもんで、おもしろいからつけてるんだよな?」
「やめぬか!光の精霊達よ、主の名の元にこの者に天罰を与えよ!」
 口髭男の口調に怖くなって、時任は瞬時にその場を離れた。すると、さっきまで時任がいたはずの場所に雷が落ちたのだ。
「あっぶね~。おい!雷なんか落とすなよ!当たったら死ぬじゃねえか!」
「ツッコミどころはそこか!雷を落とした事は無視かい!」
 口髭男は時任にツッコミを入れた後、コホンと咳払いをして威厳を保とうとする。
「当たったら死ぬと言うが、その心配はしなくてもよい」
「夢の中だからな」
「この世界はお前の夢ではない。私は神だ」
「……やっぱり夢だ」
 鼻で笑う時任。だが、神を名乗る男は話を続ける。
「私は全能の神。そして、時任俊之助。お前は飛行機が墜落した事によって、死んでしまったのだ」
「俺が……死んだ?」
 声が震える。確かに、飛行機が墜落の衝撃に耐えられたとは思えない。そもそも、飛行機が墜落事故を起こす事などまれだ。墜落はすなわち死を意味する。
 時任は墜落した時の衝撃までしか記憶がない。だとしたら、目の前の神が言うように、本当に死んでしまったのかもしれない。
「そんな……。こんなところで……!」
 脱力感の後には、怒りがこみ上げてくる。まだ自分には夢があった。自分のカードゲームを作るまでは死んでも死に切れない。仲間達と約束した事でもあるのだ。
 そんな時任の心境を汲み取ったのか、神はこんな事を言った。
「時任よ、お前が今から出す試練を乗り越えられたらお前を、いや、あの飛行機に乗っていた者達を生き返らせてやっても良い」
「生き返らせる……?」
 阿呆のように神の言った言葉を反芻する時任。絶望のふちに立たされた彼にとって、これはまさに蜘蛛の糸だ。
「そうか。あの飛行機に乗っていたのは俺だけじゃない。納豆団のメンバーや普通の乗客もいたんだ。それを全員生き返らせてくれるんですか?」
「左様。神に不可能はない」
 神が手を振るうと、その手に木でできた杖が収まる。神が杖で足下を突くと、周囲がカードショップのデュエルスペースのように変わっていった。
「ここは、デュエルスペースの神。様々なデュエリストがここでデュエルをしたが、建物が老朽化していた為に取り壊され、残っていた魂だけがこうして神となったものだ。神々しか使えぬこのデュエルスペースでお前は私と戦うのだ」
 神はスーツの胸ポケットからデッキを取り出す。
「時任、もう一度言う。勝てば生き返らせてやる。だが、私に負けた場合……」
 神は杖でデュエルスペースの床をつく。すると、床が透明になった。
「なんだ、あれは!」
 床の下には、蠢く亡霊達がいた。百や二百ではない。一千人はいるだろう。
「あれは、私とデュエルをして敗れた者達だ。敗れた者はあのデュエル地獄に入り、勝者が現れるのを待つしかない。次のデュエリストが来るまで……お前は自分を保てるか?」
 神は時任に対していやらしく微笑む。時任は突きつけられたプレッシャーに足がすくんでいた。あれだけのデュエリストが挑戦しても勝てない相手なのだ。それに、負けたら……時任も自我を失った哀しい亡霊になってしまうかもしれない。
「怖い……」
 デュエルを前にしてここまで怖いと思ったのは初めてだ。時任のデュエルに多くの命が懸けられている。そして、敗北は死よりも残酷な結末が待っているのだ。
「だけど……」
 それでも、時任は前を向いた。どんなピンチでも、どんなプレッシャーでも、ほんの少しのチャンスと最高の切り札で乗り越えてきたのだ。
「それが、俺。DM企業戦士、時任俊之助だ!」
 時任が手をかざすと、デュエルスペースの天井が光を発し一つのデッキとなった。そのデッキは時任の手に収まる。
「これは……みんなが俺にくれたデッキか」
『時任、お前のために我々が力をあわせて作ったデッキだ。このデッキを使いこなせるようになるまで、そして、何かをつかむまで日本には帰ってくるな。いいな?』
 百瀬が言っていた。このデッキは仲間達が力を合わせたデッキ。そこへ時任の腕がくわわれば、怖い者などない。
「神様。そのデュエルお受けします!」
 時任はデッキをシャッフルし、シールド五枚、手札五枚を準備する。
「いいぞ、人間。神の出す試練の前に崩れ落ちるがいい!」
 神も場の準備を終える。にらみ合う二人。時任は相手が神であっても、たじろぐ事はなかった。
「デュエル、スタート!」
 今、究極のデュエルが始まろうとしていた。

次回に続く(次回、ついに最終話!)

次回予告
 皆のもの、元気にしているか?百瀬だ。時任よ、死んでしまうとは何事だ!まあいい。相手が神であってもデュエル・マスターズのルールまでは変えられん。時任よ、我々の全ての力を継いだお前ならば勝てる。行け、DM企業戦士時任俊之助!次回『最終話 輝ける切り札』 最強の一撃、放て!『アポロヌス・ドラゲリオン』!!

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