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『デュエルのくに』 第一話

第一話 光の部屋~Light and Justice~
 勉と幸一は電車に乗り継いで、招待された村に到着した。駅の改札口には駅員が立っている。まだ、自動改札を採用していないようだ。
「へぇ、ここが塩沢か」
 幸一は周りの風景を見る。土産物屋が少しある程度の簡素な風景。絵に描いたような田舎町だ。
「ここが雛見沢とかそういう地名じゃなくて良かったな」
「勉、どうしてそういう地名じゃ駄目なの?」
 コーラの缶を片手に持った勉に対して、近くの土産物屋を眺めていた幸一が聞く。『デュエルのくに』でありながら、土産物屋にカードのパックはなかったようだ。
「その場合、惨劇は避けられない」
 そういった勉はその直後、付け足すように「まあ、判る奴にしか判らんネタだ」と言った。
 二人はベンチに座って、案内人が来るのを待つ。しばらくすると、黒塗りの車が静かな音と共にやってきて、二人の前に止まる。運転席から出てきたのは、黒服に蝶ネクタイという絵に描いたような執事。だが、おかしな点があるとすれば、その男は犬の仮面を被っていたのだ。言葉が出ない二人に対して、犬の面の男は言う。
「お待たせいたしました、金谷様。『デュエルのくに』の案内人でございます。私の事は犬とお呼び下さい」
 自ら、犬と名乗った男の声は非常に若いもののように聞こえる。髪にも少し白い物が混じっている程度。年齢がいくつかは判らない。
「あ、どうも。僕が金谷幸一です。あと、彼が連れてきた友達です」
「俺は岸宮勉です」
「きしみや……つとむ……」
 犬はその名前を口の中で何回か繰り返す。その後、納得したのか二人の方を見て
「ようこそいらっしゃいました。金谷様、岸宮様、『デュエルのくに』までは少々お時間がかかりますので、こちらへどうぞ」
と、黒塗りの車の後部座席側のドアを開けて二人を促す。二人は犬に促されて、車に乗る。普通の乗用車ではない、高級なシートが二人の体を包んだ。勉はふと、「行きの電車もこのシートだったら良かったのに」と思った。

 犬が運転する車は遊園地のような場所に止まった。巨大な『ボルシャック・ドラゴン』のようなオブジェが天井の役割を果たしているようである。
「いいなー、でっかい『ボルシャック』」
 幸一は子供のように素直に喜んでいる。勉もこれだけのものは想像していなかったので、驚いていた。ゲートをくぐって中に入る。今回は無料だが、本来は有料なのだろう。
 最初の部屋は、豪華な宮殿の内装のような作りの部屋だった。柱は太く、きらびやかな装飾がしてある。その部屋の内部を観察していると、犬に呼ばれて二人は別の部屋に移動する。そこには、デュエルをするためのテーブルが置いてあった。
「ここは本来、遊技場として使われる場所です。フリーデュエルをするためのスペースになっています。ですが、今はお二人を試す試験の場所となっています」
「試験?」
 幸一は頭の上に疑問符を浮かべながら、テーブルに近づく。そこには、何枚かのカードが並べてあった。
 南側の場には、シールドが二枚、表向きにしてあって、一枚は『アクア・サーファー』、もう一枚は『風撃の求道者ラ・バイル』、そしてクリーチャーは『開眼者クーカイ』だ。
「へぇ、『ラ・バイル』も『クーカイ』もブロックした後、アンタップできるブロッカーだね。初めて見たよ」
 幸一は生まれて初めて見るカードに目を輝かせる。勉はもう一方の場を見ていた。こちらには、『聖霊王アルカディアス』が一体。シールドはない。
「お二人にはこちらで問題を解いていただきます。相手のバトルゾーンには『開眼者クーカイ』シールドには『アクア・サーファー』と『風撃の求道者ラ・バイル』がいる状態です。あなたの場には『聖霊王アルカディアス』が一体のみ。マナのカードは光のカードが十枚。そして、手札は二枚です。その内、一枚はブロッカーでもう一枚は進化クリーチャーです。マナのカードと手札のカードを選んでこのターンに直接攻撃をして下さい。ただし、使えるカードは全て光文明のカードです」
 犬は幸一に光文明の進化クリーチャーのカードを全て渡した。
「なるほどな」
 これは、アトラクションのようだ。一種のパズル的要素を含んでいる。光文明のカードだけを使って、この状況を打破しろというのだ。
「幸一、やってみろよ。お前、得意だろ」
「うん!これは簡単だよ。まず、『時空の守護者ジル・ワーカ』を召喚して『守護聖天ラルバ・ギア』に進化!これで、『クーカイ』をタップ!『アルカディアス』でシールドをダブルブレイク……あっ!」
「……ほぅ、思ったよりも頭を使うな」
 勉は自分でも色々なパターンをシミュレートしてみた。幸一とは違うが、勉は『鎮圧の使徒サリエス』を召喚し、『聖天使クラウゼ・バルキューラ』に進化。それによって『開眼者クーカイ』をタップして『聖霊王アルカディアス』でシールドを攻撃するというもの。
 だが、これでは直接攻撃は不可能だ。『聖霊王アルカディアス』がいれば、光以外の呪文は使えなくなる。だが、クリーチャーは召喚が可能だ。シールド・トリガークリーチャーの『アクア・サーファー』は召喚が可能だ。『アクア・サーファー』が出ると、もう直接攻撃を仕掛けようとしていたクリーチャーは手札に戻されてしまうので、とどめをさせない。
「だったら、『アルカディアス』を『聖霊王アルファディオス』にすれば……」
 幸一は別のアイディアを考える。だが、それでも駄目だ。『聖霊王アルファディオス』がバトルゾーンにいれば、『アクア・サーファー』はシールドから出てこない。しかし、『開眼者クーカイ』をタップする手段がないから、ブロックされてしまう。
「勉、どうしよう……。僕には、判らないよ」
 不安そうな幸一の顔を見て、「自分で考えろ」と言おうと思った勉だったが、ふと、一つアイディアを思いついた。
「犬さん、マナのカードは全て光のカードですよね?それは何でもいいんですか?」
「ええ、光のカードであれば、どんなカードでもよろしいです。ただし、二色のカードではなく、光単色のカードとして考えてください」
「よし……」
 そう、謎を解く鍵はここにあった。これならば、ブロッカーを使い、『開眼者クーカイ』を無力化して上で、『アクア・サーファー』を防ぐ事ができる。
「幸一、交代しよう。俺がやってみる」
 勉は自信に満ちた表情で、幸一の進化クリーチャーを受け取るのだった。


第二話へつづく
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