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『デュエルのくに』 第二話

第二話 水の部屋~Blue Monday~
「俺には判る。ブロッカーを無力化し、さらにシールド・トリガーから逃れる術を!」
 勉は、まず状況を再現するために光のカードをマナゾーンに十枚並べる。これは幸一が持っていたものだ。
「まず、手札からブロッカーを出します。この時、出すブロッカーは『宣凶師ベリックス』です」
 勉は自分の場に『宣凶師ベリックス』を置いた。
「そして、この効果でマナから呪文を一枚手札に戻す。この場合、相手クリーチャーをタップできる軽い呪文なら何でもいいんです。今回は幸一が持っていた『バリアント・スパーク』を手札に戻し、3マナ使って『バリアント・スパーク』を使用。これで『クーカイ』はタップされ、俺のマナはまだ5マナ残っています」
「そうか、『聖皇エール・ソニアス』だ!」
 勉は幸一が叫んだカードを『宣凶師ベリックス』に重ねる。
「そうだ、幸一。『アルカディアス』でシールドを二枚ブレイク。当然、『アクア・サーファー』はバトルゾーンに出てきます。しかし……」
「『エール・ソニアス』は『選ばれない』クリーチャー。だから、『アクア・サーファー』の効果では手札に戻せない」
「以上です、犬さん」
 勉と幸一は同時に犬を見た。彼は上品な仕草で拍手をする。
「お見事です。では、次のお部屋へご案内しましょう」
 犬は部屋の隅にある自動ドアまで移動した。勉と幸一もそれについていく。
 三人が歩いているうちに、薄暗い水族館のような廊下に辿り着いた。水の中の世界をモチーフにしたその場所には、見た事がない海洋生物が泳いでいる。
「綺麗だな……」
 幸一は呑気にその海洋生物達を見て言った。勉はその光景に感動している余裕などはない。この犬と名乗った男は何故、勉達に試験を出すのか。そして、幸一を呼んだ理由は何か。他にも聞きたい事はたくさんあるが、この男はすぐに答えてくれないだろう。
 そうこうしている内に、二つ目の部屋に辿り着いた。円柱状の水槽がいくつもあり、青い光がその中を照らしている。光に照らされるのは、サイバーウイルスやリキッド・ピープルを模したオブジェだ。精巧にできている。
 端には、パソコンが五台置いてある。普通のデスクトップだが、キーボード、マウス、ディスプレイの色はクリアブルーだ。このために特注で作らせたのだろう。部屋の色に合っている。
 色々な青が混ざり合った世界。恐らくこれは水文明の世界をイメージした部屋なのだろう。一つだけ、その世界とかけ離れたものがある。さっきの場所にもあったデュエル用のテーブルだ。
「ここは、情報室です。そこにあるパソコンには、千以上のデッキのデータや、対人用の対戦プログラムが入っています。ここにいれば、様々な戦略を相手にシミュレーションが出来るのです。専用のIDカードを使えば、自分で作ったデッキのデータ、戦歴を保存できます。さて……」
 説明をした犬が対戦用のテーブルを見る。やはり、そこにはカードが並べてあった。
 片方の場には『黒神龍ザンジバル』が三体。もう一つの場には、『アクア・アナライザー』が一体いる。共にシールドはなし。これも問題なのだろう。
「あ、これも何かの問題なんだね。今度は僕が解いてみるよ!」
 幸一が『アクア・アナライザー』が置いてある場に移動する。
「今、見ていただきましたように、相手のバトルゾーンには『黒神龍ザンジバル』が三体、あなたのバトルゾーンには『アクア・アナライザー』が一体います。使用できるマナは五枚。全て水のカードです。そして、手札には水文明の呪文が一枚あります。この状況で相手に直接攻撃をしてください。ただし、墓地には一枚もカードがないものとします」
 シンプルだが、難しい問題だ。『黒神龍ザンジバル』はタップした相手クリーチャーのパワーを2000下げる効果を持つ。パワーが0になったクリーチャーは当然、破壊される。その『ザンジバル』が三体もいるのだ。パワーは6000もマイナスされる。
「犬さん、今回の問題について一つ質問があります」
 少し離れた場所で幸一の様子を見ていた勉は、犬を呼ぶ。彼にも問題の答えがまだ判らないのだ。
「場にある『アクア・アナライザー』はこの状況になる1ターン前に出したものですか?」
「その通りでございます。次に引けるカードは『クリスタル・ブレイダー』です」
「そうか、判った!」
 幸一が手を叩いて、場を見る。
「だったら、『クリスタル・ブレイダー』を引けばいいんだよ。『クリスタル・ブレイダー』は2マナ、3マナのドロー呪文『エナジー・ライト』で……」
「待て、幸一。それは違う」
 答えを言おうとしていた幸一を勉が止める。
「え?どうして?」
「確かに『エナジー・ライト』を使えば、進化もできてマナも足りる。だけど、『ザンジバル』は三体いるんだ」
「あ……そうだった……」
 『クリスタル・ブレイダー』のパワーは5000。『ザンジバル』の効果で墓地に行ってしまう。
「じゃ、『ザンジバル』を何とかしなきゃ……。あ、そうだ!『テレポーテーション』があるよ!」
「いや、駄目だ」
 勉もその可能性にはすぐ気付いていた。だが、『テレポーテーション』では二体までしか戻せない。『アクア・アナライザー』で攻撃しても、残った一体の『ザンジバル』の効果で破壊されてしまう。
「じゃあ、どうしよう?」
 幸一は諦めたような顔で、勉を見る。勉も焦っていた。
 唯一、一枚で『ザンジバル』三体を手札に戻す呪文はあった。『クローン・スパイラル』だ。だが、それも駄目だ。犬は「墓地には一枚もカードがない」と言っていた。墓地に二枚の『クローン・スパイラル』がなければ、使っても意味はない。
「どうにかして、『ザンジバル』を一体戻して、『クリスタル・ブレイダー』も引ければなぁ……」
 幸一が呟く。だが、そんなドローと手札戻しを同時に行えるカードなどありはしないはずだ。そんな便利なカードがあれば、みんな使っている。
「いや……待てよ。あのカードなら……」
 勉は場を見て確信した。この状況であれば、ドローと手札戻しを同時に行う呪文がある。
「これが正解だ!」
 ついに勉は二問目の正解に辿り着くのだった。


第三話へつづく
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