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『デュエルのくに』 第三話

第三話 闇の部屋~black,crack,flag~
「まさか、あんな解き方があるなんて思わなかったよ」
 夜になった。水の部屋で問題を解いた勉と幸一は、犬が用意したホテルの301号室にいた。このホテルもデュエルのくにと一緒に建設したものらしい。この部屋は『ドリームメイトの間』といって、ファンタジーの世界のようにファンシーな内装になっている。壁紙にもドリームメイト、布団にもドリームメイト、ベッドの横には『白銀のシュシュ』のぬいぐるみが置いてある。最初にこの内装を見た時、勉は頭を抱えた。だが、幸一は大好きなデュエル・マスターズのクリーチャーがいるホテルという事だけで喜んでいる。
「考えてみれば簡単な事だったな」
 勉はようやく慣れた『ドリームメイトの間』でお茶を飲みながら、水の部屋での問題を思い出す。

「『黒神龍ザンジバル』を手札に戻し、『クリスタル・ブレイダー』を引くためのカードはこれだ!」
 勉が手にした水文明の呪文。それは、『ウエーブ・ランス』だ。
「そうか!『ザンジバル』はドラゴン・ゾンビ!『ウエーブ・ランス』はドラゴンを戻すと一枚カードを引けるカード!」
 幸一もようやく答えが判ったらしい。
「その通りだ、幸一。『ザンジバル』を手札に戻し、その効果で一枚ドロー。このカードは『クリスタル・ブレイダー』だから、残った2マナで進化できる!そして、進化した『クリスタル・ブレイダー』で直接攻撃!」

 問題を解きながら、勉は考えていた。犬は何のために自分達を試すのか。そして、この施設は何のために建てられたのか。幸一が呼ばれた理由は何か。判らない事が多すぎる。
「ねえ、勉。デュエルしようよ」
 悩んでいると、幸一が二つデッキを取り出す。対戦相手をやってくれという事だろう。旅行に来ていても、やる事は同じだ。
「判った。じゃ、俺はこっちのデッキな」
 室内にも置いてある対戦用のテーブルで二人はデュエルを始める。
「ねえ、勉の好きな事って何かな?やっぱり映画?」
 手札を見て戦略を考えていると、突然、幸一がそんな質問をしてきた。
「いきなりなんだよ。まあ、映画は好きだけど、何で判ったんだ?」
「勉はいつも映画の雑誌を見てるから。教科書を見ている時間よりも、誰かと話している時間よりも、その時間の方が長いよね」
「ああ、その事か」
 勉はゆっくりと着実に戦いを進めていく。また一枚、幸一のシールドが割られた。
「今から言う事は誰にも言うなよ。特にクラスの奴らには絶対に言うな!」
 そう言って勉は顔を少し赤くする。
「俺はな……。実は、映画監督になりたいんだ。俺だけの映画を作って色々な人に見て欲しい」
 そう言った勉はうつむく。自分の夢を話すのが、照れくさかったようだ。
「いいな、勉が作った映画。完成したら僕、一番最初に見たい!できたら、僕にも教えてね!」
 目をキラキラと輝かせて言う幸一。それはデュエル・マスターズの話をしている時の子供のような目と同じ目だった。
「ああ、期待して待っていろ」
 少なくとも、幸一に話すのだけは間違っていなかったと思う勉だった。

 一夜明けて、二人は犬に新しい部屋に連れて行かれた。黒い壁、紫色のライト、人工的に作った沼から湧き出る白い煙。ここは闇の部屋なのだろう。前の二部屋と同じようにテーブルとカードが置いてある。
「やっぱり、ここでも問題があるのか」
 勉がテーブルに近づいた時、上から金属製の檻が落ちてきて勉だけを閉じ込めた。幸一と犬は外にいる。
「くそっ!あんた、これはどういう事だ!」
 勉は檻につかまって、犬に問いただす。これは犬も驚いているようで
「私には判りません。この檻は本来、デッキを作った入場者の方が悪役のスタッフと対戦する時のものです」
と、慌てながら答える。
「つまり、アトラクション用だと?」
 その後の犬の説明を要約すると、こうだ。アトラクションで闇の力を操るデュエリストと戦う部屋として、この檻は作られたらしい。他にも同じ部屋がいくつかある。落ちてくる檻で怪我をしないように、落下地点に人がいたら、落ちない仕組みになっているし、デュエルが終わると、檻は自動的に上がっていくようにもなっているらしい。
「悪役を倒せって言っても……この檻の中には俺しかいない。問題を解けって事か……」
 勉が見ると、闇文明のカードがある場と光文明のカードがある場があった。闇文明の場に立って問題を解くのだろう。
 光文明側には、タップされた状態の『聖帝ファルマハート』が一体。進化元はまだ残っているようだった。
「なるほど、メテオバーンでブロッカーになる事はできるみたいだな」
 さらに、シールドが一枚ある。
 闇文明の場はマナが全て闇のカードで、十一枚置いてある。そして、こちらもシールドは一枚あって、中央に白い紙が置いてあった。
 『あなたは手札に一枚のブロッカー、一枚の進化クリーチャー、一枚の呪文を持っています。あなたが使えるのは全て闇文明のカードです。これらをうまく使って相手に直接攻撃をして下さい。マナのチャージ、ドローは全て済ませているものとし、デッキに入っているカードは全て闇文明のものとします。マナのカードは闇文明のカードであれば、どんなものでもよいものとします』
「さてと……」
 勉はまず、『聖帝ファルマハート』を見る。普通のブロッカーならば、『クリティカル・ブレード』で破壊できるのだが、メテオバーンで一時的にブロッカーになる『聖帝ファルマハート』にこれは通用しない。
「ならば、ブロックされなければいい」
 勉がここで選んだブロッカーと進化クリーチャーは、『ギガスラッグ』と『超幻獣ドグザバル』だ。
「『超幻獣ドグザバル』は光ステルスを持つ。『聖帝ファルマハート』がいるという事は相手のマナにも光のカードがある。これならば、ブロックされずに直接攻撃が……待てよ……」
 相手にはまだ、シールドが一枚残っている。『超幻獣ドグザバル』でブロックされなくても、直接攻撃はできない。
「だったら、シールドをぶっ壊せばいい。『ブラッディ・シンバル』と『死鬼者デスワルツ』を使う!」
 『ブラッディ・シンバル』を『死鬼者デスワルツ』に進化。そうすれば、最後のシールドは墓地に行くので、直接攻撃が可能だ。
「いや……駄目か。『聖帝ファルマハート』のメテオバーンでブロックされる」
 ここで『聖帝ファルマハート』が立ちふさがる。これは想像以上に厄介な問題だ。
「それにしても、何でシールド一枚あるんだ」
 相手の場にシールドがあるのは判る。だが、自分の場にシールドがある理由が判らない。
「いや、シールドがあればあれが使える!そうか、だからブロッカーと進化クリーチャーなのか!」
 勉は答えを見つけた。相手に直接攻撃をする方法はこれしかない。


第四話へつづく
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