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『デュエルのくに』 第四話

第四話 自然の部屋~Perfect Green Dream~
 闇の問題の正答が判った勉は、三枚のカードを選ぶ。
「最初にブロッカーを召喚する。俺が選ぶのは、『ヘキサリオ・ドラグーン』だ!」
「待って、勉!」
 檻の外から幸一が声をかける。その選択は間違っていると言いたいらしい。
「勉、『ヘキサリオ・ドラグーン』は召喚した時にシールドを一枚、手札に戻せる。だけど、それがシールド・トリガーでも使う事はできないんだよ!」
「大丈夫だ」
 余裕を見せるためなのか、勉はそこで軽く笑う。
「シールドを手札にくわえ、それを墓地へ。その効果で俺が使うのはストライク・バック呪文『ファンタズム・クラッチ』だ!」
 勉は二枚目のカードを使う。シールドを捨てた事により、『ファンタズム・クラッチ』はコストを払わずに使う事ができたのだ。
「これで、『聖帝ファルマハート』を撃破!さらに、『ヘキサリオ・ドラグーン』を『覇竜凰ドルザバード』に進化する!」
 相手のクリーチャーがいない場に登場した進化ティラノ・ドレイク。もはや、彼の行く手を阻むものは存在しない。
「フォートエナジーを使い、シールド・トリガーを無効に。そして、もう一つのフォートエナジーで最後のシールドをブレイク。プレイヤーに直接攻撃だ!」
 直接攻撃が宣言された瞬間、檻が上に上がっていく。これが正解だったようだ。
「やれやれ……」
 問題を解き終えた勉は深呼吸して、上を見る。檻を落とした者は、どこかでこの部屋の様子を見ているはずだ。
『さすがね、岸宮勉。あなたを招待した意味があったわ』
 どこかに備え付けてあるスピーカーから女の……いや、少女の声が聞こえる。この人物が『デュエルのくに』の主なのかもしれない。
「待てよ、招待状は幸一に来たものだろう?最初から俺を狙っていたのか?」
『あなたなら、同じ招待状を送ったとしてもここへは来ないでしょう?しかし、お友達の付き添いならば来る。大切なお友達と一緒ならば、ね』
「く、そ……。人の考え見透かしたような事を言いやがって……」
 奥歯をギリギリと音をさせ、ここにはいない主を睨む勉。勉のこんな顔を、幸一は初めて見るのだった。
『犬、彼らを自然の部屋へ案内して』
「はっ、かしこまりました」
 今まで立っているだけだった犬は、主人に敬礼し、二人を誘導する。

 途中から、道の隅に植物の姿が見えるようになった。さらに進んでいくと部屋のほぼ全てが緑色の植物の囲まれている。造花などではない。全て本物だ。
 植物園のような場所に違和感のある存在が一つ。問題が記されたテーブルだ。
 勉は幸一よりも先にテーブルに近寄ると、そこにあるカードを確認する。
「相手の場にシールドは二枚。さらに、『天界の精霊シリウス』が二体か……」
 『天界の精霊シリウス』はトリプル・ブレイカーでパワーが12000のブロッカーである。どちらもブロックが可能な状態でそこに置かれていた。
「俺の場には……バカなっ!」
「何……?どうしたの?」
 勉の驚きを見て、幸一もテーブルに近づき場を見る。勉の場には『炎のたてがみ』が三体いるだけだった。
「三体いても、所詮は特殊能力もないパワー2000のクリーチャー。問題の内容にもよるが、これで直接攻撃をしろってのか?」
『その通りよ、岸宮勉。今回の問題はシンプルでイージー。自然文明の呪文を一枚だけ使って、相手に直接攻撃をすればいい。相手のシールドにシールド・トリガーはない。それにさっきの問題みたいに、相手がストライク・バックを使う事もないわ。そして、『天界の精霊シリウス』は『炎のたてがみ』の攻撃を必ずブロックする』
「一枚の呪文だと……?」
 勉は場を睨む。呪文を使わずに攻撃をしたら、一回しか攻撃が成功しない。それでは、シールドが一枚残った状態で終わってしまう。
「ならば、ブロックされなければいいんだが……」
 自然文明でブロックされないための能力を与える呪文は、レインボー呪文の『霊鳥と水晶の楽園』しかない。だが、場にいるのは全て単色のクリーチャーだけだ。
 相手クリーチャーをタップするカードは光文明の呪文。そして、ブロッカー破壊のための呪文もない。
「ならば『インビンシブル・パワー』か……?」
 その呪文を使えば、パワーがあがる上にT・ブレイカーを得る。だが、ブロックされてしまったら、結局直接攻撃はできないのだ。
「『母なる大地』を使って、マナから『シェル・ストーム』を……。駄目だ、それでも一体しかマナに送れないから、意味がない」
 どれだけ考えても正解に到達できない勉は恨めしそうな視線で場を見る。
 そうか、自分は『炎のたてがみ』と同じように大した能力もない存在なのかもしれない。世の中には『天界の精霊シリウス』のように、たくさんの素晴らしい能力を持った人物が存在する。その差は大きい。
 スーパーレアカードとコモンカード。今、自分が挑んでいる相手との力の差もそれくらいあるのだろう。所詮、自分は力もないコモンカードと一緒……。その程度の意味がないような存在なのかもしれない。
「意味が、ない……?」
 その言葉にはっとする。この問題の答えはそこにあったのだ。
「そうだ。ブロックされてしまうのなら、ブロックさせておけばいい。俺はこの問題を解く。そして、俺に問題を出しているあんたのところまで追いついてみせる!」


第五話へつづく
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